※2025年11月9日時点の情報です。松本剛選手はこの時点でFA宣言・残留いずれについても最終的な結論を公表していません。
松本剛はFA宣言するのか。決断目前の“首位打者”は、残留か、新天地か
北海道日本ハムファイターズの松本剛が取得した国内FA権を行使するのかどうか――。締め切りが目前に迫る中、本人は「どっちもあり得る」と話し、残留と権利行使の間で最後の熟考を続けている。9日時点の取材でも「どっちにしろ近いうちに決めないといけない。今言えることはない」と明言を避けており、進路は依然ベールに包まれたままだ。
本稿では、「松本剛はFA宣言に踏み切るのか?」という論点と、「もし宣言すれば、どの球団が有力となるのか」を整理していく。
松本剛というカード:実績と現在地
- 2011年ドラフト2位で日本ハム入り。帝京高出身の右打ち外野手。
- 外野を中心に複数ポジションを守れるユーティリティ性。
- 2022年には打率.347でパ・リーグ首位打者。高いコンタクト能力と広角への打撃が持ち味。
- プロ通算では打率.260台半ばを維持しつつ、守備・走塁・献身性で評価されてきた。
- 選手会長も務め、真面目な人柄とリーダーシップ込みで球団内外の評価は高い。
今季は打撃面で苦しんだものの、守備力と経験値を含めた総合力は依然として魅力的で、「環境次第で復活が見込める元首位打者」という位置付けの選手だ。
FA宣言するのか? 二つのシナリオ
1. 残留シナリオ:日本ハムへの“恩義”と安心感
まず有力なのは、日本ハム残留の選択肢だ。
- ドラフトから育ててもらった球団への思い。
- 首位打者を含むブレイクを支えた環境、新庄政権下での信頼関係。
- 選手会長としての役割を任されてきたチーム内での立場。
日本ハム側も「功労者であり模範的存在」として高く評価していることは想像に難くなく、複数年契約や起用方針を提示して引き留める可能性は十分ある。
2. 行使シナリオ:ラストチャンスとしての「新天地探し」
一方で、松本がFA権行使に踏み切る理由も明確だ。
- 32歳という年齢は、条件面・出場機会を含めて大きく動ける“ラストチャンス級”のタイミング。
- 今季は出場機会が読みづらく、このままでは控え・プラトーン要員にとどまる懸念。
- 日本ハムは外野を中心に若手有望株が多く、競争が激化している構造。
実際に松本も「どっちもあり得る」と含みを持たせており、「宣言して他球団の評価を聞いたうえで、残留も含めて決める」という近年主流のスタイルを選択しても不思議ではない立ち位置だ。
もしFA宣言すれば? 有力候補球団を読む
ここからは、あくまで現時点の戦力バランスと補強傾向にもとづく筆者独自の見立てである。
有力候補1:読売ジャイアンツ ― 「東京帰還」の本命シナリオ
- ここ数年、外野の固定に苦しむシーズンが続いており、「計算できる日本人外野手」は常にニーズが高いポジション。
- 松本は帝京高出身で首都圏ゆかり。大都市圏・人気球団というブランド力は、選手側からも魅力的。
- 1〜2番や下位打線、センター・ライトなど柔軟に起用できる点は、巨人の編成が好む“総合力型”と合致する。
巨人がレギュラー候補として明確な構想を示せるなら、「本命級候補」と見る向きは自然だ。
有力候補2:横浜DeNAベイスターズ ― 厚い外野陣に“職人”を足す
- 佐野、桑原、度会らタレントは豊富だが、年間を通じたコンディションや守備バランスには課題も残る。
- 松本は巧打・堅守・走塁で“隙間を埋める存在”になれるタイプで、4番手〜準レギュラーとしてのフィット感は高い。
- 攻撃型のチームカラーの中で、守備・つなぎ役としての価値も明確。
主力を動かさず戦力の底上げを図りたいDeNAにとって、「計算できるユーティリティ外野手」として十分検討対象となるだろう。
有力候補3:福岡ソフトバンクホークス ― 常に市場をチェックする“補強常連”
- 豊富な資金力と、「市場に出る実績組は一通りリストアップする」スタンスは毎年の定番。
- 外野は層が厚いものの、長いシーズンを見据えれば、守備と献身性に優れた日本人外野手の需要は常にある。
- 優勝争い常連の環境でプレーしたい選手にとっても魅力的な選択肢となり得る。
完全なレギュラー確約まではいかなくとも、「優勝を狙うチームの層を厚くするピース」としてチェックされる可能性は高い。
その他の可能性:阪神など守備重視の球団
阪神をはじめ外野レギュラーが固定されている球団でも、守備走塁型の4番手外野手として興味を示す余地はある。ただし、レギュラー獲得のイメージが描きづらい分、「出場機会」を重視する松本側の優先順位としてはやや下がると見るのが妥当だ。
結論:鍵は「どれだけ明確な役割を提示されるか」
松本剛のFA判断において、焦点となるのは年俸額だけではない。
- レギュラー争いのポジションをどこまで具体的に示してくれるか。
- 1〜2番や守備固め、ユーティリティ起用など、自身のスタイルを最大限に活かせる起用案があるか。
- 選手会長も務めた人格面まで含めて評価し、チームの一員として尊重してくれる環境か。
日本ハムは“情”も含めて最有力の残留候補でありつつ、巨人・DeNA・ソフトバンクは編成上のニーズや球団カラー、松本のキャリア像と比較的噛み合う有力候補群として浮上する。
ラストチャンスとも言えるタイミングで、松本剛が最終的に選ぶのは、馴染みある北海道の青空か、首都圏の大舞台か、新たな優勝常連チームか――。元首位打者の決断は、このオフのFA市場において決して小さくない波紋を呼ぶはずだ。



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