MLBピッツバーグ・パイレーツの内野手キャム・デバニー(Cam Devanney)が、NPB・阪神タイガースと契約すると複数の米メディアが報じています。
MLB Trade Rumorsや地元記者の報道によれば、2025年シーズン途中にメジャーデビューしたばかりの28歳内野手が、日本行きを決断した形です。
キャム・デバニーとは? 基本プロフィール
・フルネーム:Cameron Michael “Cam” Devanney(キャム/カム・デバニー)
・生年月日:1997年4月13日(28歳)
・出身地:アメリカ合衆国 ニューハンプシャー州ナシュア近郊
・身長・体重:6フィート1インチ(約185cm)、195ポンド(約88kg)
・投打:右投右打
・ポジション:遊撃(ショート)を中心に、三塁・二塁も守れる内野ユーティリティ
2019年ドラフトでミルウォーキー・ブルワーズから15巡目(全体463位)指名を受けてプロ入り。
マイナーでは主に遊撃・三塁を守りながら、3Aで複数年に渡り長打力を発揮してきた「打てる内野手」です。
これまでの経歴と主なステップ
大学〜プロ入り
・高校:マサチューセッツ州の名門 Central Catholic High School
・大学:ノースカロライナ州 Elon University(イーロン大学)の主力遊撃手としてプレー
・2019年:MLBドラフトでブルワーズに指名され、プロ入り。
ロイヤルズ傘下3Aでブレイク
2023年オフにカンザスシティ・ロイヤルズへ移籍。2025年は3Aオマハ・ストームチェイサーズで69試合出場し、
.272 / .366 / .565、18本塁打、55打点という強烈な成績を残しました。:contentReference[oaicite:6]{index=6}
3A通算ではシーズン20本前後の本塁打をコンスタントに放つ中長距離砲で、2025年もリーグ有数の長打力を持つ打者として評価されています。
パイレーツ移籍〜MLBデビュー
2025年7月、ロイヤルズがアダム・フレイジャーを再獲得したトレードで、デバニーはピッツバーグ・パイレーツに移籍。
その後3Aインディアナポリスを経て、8月31日にフェンウェイパークでのボストン・レッドソックス戦でメジャーデビューを果たしました。
2025年シーズンのMLB成績は、
打率.139、0本塁打、1打点、OPS .351(14試合)と、数字の上では苦しんだ形です。
一方でマイナー通算では打率.251、65本塁打と、長打力に特徴のある遊撃手としてキャリアを築いてきました。
デバニーのスタッツとプレースタイル
3Aでの打撃スタッツ
2025年までの情報をまとめると、直近の代表的なシーズンは以下の通りです。
- 2024年(3Aオマハ)… 打率.254、19本塁打、77打点(長打率.445)
- 2025年(3Aオマハ)… 打率.272、出塁率.366、長打率.565、18本塁打、55打点(69試合時点)
- 2025年(マイナー通算)… 打率.266、20本塁打、66打点、OPS .846(インディアナポリスなど含む)
三振はやや多めで、いわゆる「コンタクト型」ではありませんが、
「当たれば長打」タイプの中長距離砲として3Aでは結果を残してきました。
守備:ショートを任せられる実力
守備では本職ショートに加え、サード・セカンドも守れるユーティリティ。
3Aでは遊撃で長いイニングをこなしており、守備率もおおむね.960台後半〜.970前後と「きちんと守れるショート」として評価されています。
肩の強さと平均以上の守備範囲を持ち、「打撃型ショート」というよりは
「守備もちゃんとできるパワー型ショート」というイメージに近い選手です。
打撃スタイルのイメージ
- ややフライボール寄りで、強い打球を引っ張り方向へ飛ばす傾向
- ゾーン内のボールをしっかり叩き、失投を長打にするタイプ
- 一方で三振率は高く、コンタクト面は平均〜やや下くらい
甲子園を本拠地にする阪神で考えると、
「レフト方向へのライナー〜フライでフェンス直撃、たまにスタンドイン」
というような打球をイメージするとわかりやすいでしょう。
阪神での起用イメージ
基本像:守れるパワーショート
阪神に来た場合、もっとも自然なのは「6番ショート」前後に据える形です。
上位の近本・中野・森下などでチャンスを作り、中軸の大山・佐藤輝明で返しきれなかったランナーを、
デバニーの長打で一掃する…というような青写真が想像できます。
また、サード・セカンドも守れることから、
- 大山の休養日に一塁へ回し、三塁佐藤・遊撃デバニー
- 中野休養日には二塁デバニー+他の遊撃手
など、柔軟な布陣も組みやすくなります。
若手ショート(山田脩也ら)との競争・橋渡し役としても位置づけやすい補強です。
マートンとの比較:アベレージ型とパワー型ショートの違い
ここからが本題の一つ、「アベレージ型のマット・マートン」との比較です。
阪神ファンにとって、外国人野手の成功例といえばまずマートンが思い浮かびますよね。
マートンの阪神時代の成績とスタイル
マット・マートンは2010〜2015年まで阪神に在籍し、NPB通算で
打率.310、77本塁打、417打点、通算1020安打をマークした右打ち外野手です。
特に2010年は打率.349で当時のNPBシーズン最多安打記録(214本)を更新し、
「とにかくヒットを量産するアベレージヒッター」として、阪神打線の中核を担いました。
- コンタクト能力が非常に高く、三振が少ない
- 右方向への打球も多く、広角にヒットを打てる
- 長打もあるが、本質的には高打率・高出塁の中距離型
ざっくりまとめると、マートンは「一番〜三番も打てるアベレージ型の外野手」です。
デバニーは「マートン型」ではなく「パワーショート型」
一方のデバニーは、3Aで20本前後の本塁打を放っていることからもわかるように、
打率よりも長打力がウリのタイプです。
- マートン:高打率&低三振、外野手(主にレフト)
- デバニー:三振は多いが長打力がある、ショートを守れる内野手
守備位置の違いもあり、「マートン2世」というよりは、
「守りの計算も立つパワーショート」という全く別タイプと見たほうがしっくりきます。
打線の中での役割の違い
マートンは2010〜2011年頃、
「3番・マートン」「2番・平野」「1番・マートン」など、上位打線の軸として
出塁とチャンスメイクを兼ねた存在でした。
デバニーは、おそらく
- 5〜7番あたりで長打を期待される打順
- 「打てるショート」として下位からの一発・長打で試合を動かす役割
を担うことが想定されます。
イメージとしては、「マートン+ブラゼルの中間」のような外国人ではなく、
「守備重視ポジションにパワーを乗せるタイプ」です。
「マートンの再来」ではないが、当たれば価値は同等級?
マートンは6年間にわたって高打率を維持し、1000安打を超える歴代屈指の助っ人野手になりました。
さすがにそこまでの再現をいきなり期待するのは酷ですが、ポジションを踏まえて考えると、
- マートン…外野手として打線の中心を張るアベレージヒッター
- デバニー…遊撃手として「守れる+20本前後の長打」を計算できる存在
という形で、ポジション価値まで含めると「当たった時の価値」はかなり大きい補強と言えます。
期待値と不安材料を整理
ポジティブ要素
- ショートを中心に内野の複数ポジションを守れる守備力
- 3Aで複数年にわたり20本前後の本塁打を放つ長打力
- まだ28歳と若く、成長余地・伸びしろが見込める
- メジャーを経験したうえでのNPB挑戦で、「一山当てに来た」年齢ではない
不安要素
- 三振が多く、NPBの変化球・ゾーンへの対応に時間がかかる可能性
- 甲子園という広い本拠地で、本塁打がどこまで数字に反映されるかは未知数
- MLBでの実績はまだ乏しく、「メジャーで失敗して日本へ」という構図に不安を覚えるファンもいる
現実的なラインとしては、
「打率.250〜.260、15〜20本塁打クラス+ショートで平均以上の守備」
が達成できれば、阪神の補強としては大成功と言えるでしょう。
おまけ:キャム・デバニーのバッティングを可視化してみた
例のごとく、限界点はあるのを承知の上で参考程度に見てもらえますと幸いです。
参考動画:https://youtu.be/5Y8HiwRP_iA
まとめ:阪神が狙う「新時代の助っ人像」
・マートン:高打率でヒットを量産したアベレージ型外野手
・デバニー:守備も計算できるパワー型ショート
かつてのマートンのように「とにかく打つ助っ人」ではなく、
守備ポジションの価値も含めてチームの底上げを狙う補強が、今回のデバニー獲得と言えそうです。
阪神の正式発表や背番号、来日会見のコメントなどが出れば、
改めてフォームやヒッティングゾーンの傾向なども細かく分析してみたいところです。
「マートンの再来」ではなく、「デバニーという新しいタイプの当たり助っ人」になれるのか——
2026年の甲子園が、今から楽しみですね。
また他球団も外国人選手を補強しているのでそちらも要チェックですね。




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