「アジアクォーター枠」ってなんだ?――仕組みをわかりやすく整理し、楽天・王彦程の“いま”と重ねて解説

野球

近年スポーツ界で耳にする「アジアクォーター(アジア枠)」。ざっくり言うと、
通常の外国人枠とは別に、アジア出身選手を“追加で”起用できる特別枠のことです。サッカーのJリーグやバスケットボールのBリーグ、そして2026年からはKBO(韓国プロ野球)でも本格導入が決まっています。


1.まず定義:どんな競技でどう運用されている?

① Jリーグ(2009〜)の「アジア枠」

Jリーグは2009年にAFC加盟国の選手を+1名登録できる「アジア枠」を創設。目的はゲームレベル向上とアジア市場開拓でした(=外国籍3+アジア枠1 → 同時起用4まで)。

② B.LEAGUEの「アジア特別枠」

Bリーグは対象国(中国・韓国・台湾・フィリピンなど)を定めたアジア特別枠を運用。競技力とビジネス拡大(放映権・スポンサー・インバウンド)を狙った制度設計が公式に明記されています。

③ KBO(韓国プロ野球)の「アジアクォーター」(2026年から)

2026年シーズンからKBOは既存の「外国人3」+アジアクォーター1を導入。試合での同時起用は通常3 → アジア枠込みで4まで拡張、年俸等の総額上限は原則20万ドルとするなど細かなルールが整備されています(対象はアジア圏国籍+豪州)。

実運用の芽もすでに出ており、2025年11月には「アジアクォーター枠としての日本人選手」契約が報じられました。


2.NPB(日本のプロ野球)はどうなっている?

NPBには現時点で「アジアクォーター枠」はありません。
1軍の同時起用は外国人選手4名まで(投手・野手の内訳制限あり)が原則で、アジア出身者の特例加算はなし。支配下登録の人数に上限はありませんが、ベンチ入り=同時起用は最大4まで、という運用です。


3.楽天・王彦程(ワン・イェンチェン)とは?――略歴と2025の足跡

略歴(ショート)

  • 2001年2月14日生まれ、台湾・穀保家商高出身の左腕。
  • 2019年に楽天へ(育成)。球団公式選手名鑑にも台湾出身の左投手として登録。

2025年の成績メモ

2025年は主に二軍(イースタン)で登板し、22試合(先発19)116回 防御率3.26、10勝5敗という内容。公式サイトや主要ポータルの記録で確認できます。


4.「アジアクォーター枠」と王彦程を“重ねて”考える

  • NPBにアジア枠があれば?
    NPBは現状、アジア選手も通常の外国人枠。仮にKBO型の「アジア枠(+1)」が導入されれば、ベンチ入りの選択肢が拡大し、王彦程のようなアジアの若手・育成上がりにとって“起用の間口”が広がる可能性があります(実際、KBOは既存3+アジア1=同時起用4まで拡張)。
  • ビジネス面の効果
    Bリーグの事例では、アジア特別枠がマーケティング/放映権の起点にもなってきました。NPBでも台湾・韓国・東南アジア市場の開拓にレバレッジが利く制度設計になり得ます。
  • 制度設計の難しさ
    一方で、KBOはアジア枠に年俸等の総額上限(原則20万ドル)を設け、チーム編成の歪みを抑える工夫をしています。NPBで導入するなら、競争力と育成のバランス、既存外国人枠との整合が論点です。

5.クイックQ&A

  • Q. 今のNPBで「アジア枠」の特例はある?
    A. ありません。外国人は一律に同時4名まで(内訳制限あり)です。
  • Q. どの競技が先行している?
    A. Jリーグ(2009〜)とBリーグ(アジア特別枠)が先行。KBOは2026年から正式導入。
  • Q. KBOの具体は?
    A. 外国人3+アジア枠1で同時4人までアジア枠は年俸等の上限20万ドルなど。対象はアジア圏+豪州

まとめ

アジアクォーター枠=「アジア出身選手を追加で起用できる特別枠」
JリーグやBリーグで前例があり、KBOは2026年から実装。NPBは現状未導入で、王彦程のようなアジアの若手は通常の外国人枠で競争しています。制度が変われば、出場機会の拡張・アジア市場の接続というメリットは確かにある。

追記:早速元ソフトバンクの武田投手がKBO移籍になりました。アジアクォーター枠らしいですね。


一方で、チーム編成のバランスや年俸設計など、導入するなら細部の設計が鍵です。またKBOを見る上で欠かせない選手もリサーチしておくとWBCも楽しく見ることが出来るでしょう。


※本稿は2025年11月13日時点の公開情報をもとに作成。制度の詳細・各選手の去就は今後更新される可能性があります。王彦程の成績はNPB公式・主要ポータルを参照。

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