楽天がロアンシー・コントレラスを獲得 パワー系右腕は当たり助っ人になれるか。

移籍

東北楽天ゴールデンイーグルスが、MLBのコロラド・ロッキーズからFAとなっていたロアンシー・コントレラス投手と契約合意を発表しました。
26歳の本格派右腕で、150km/h台前半のストレートと多彩な変化球を持つ「元トッププロスペクト」。
ここでは、これまでの成績や球種データを整理しつつ、「日本でどの程度の活躍が期待できるのか」を考えてみます。またおまけで、投球動作の可視化までやってみました。

ロアンシー・コントレラスのプロフィール

  • 名前:ロアンシー・コントレラス(Roansy Contreras)
  • 生年月日:1999年11月7日(26歳)
  • 出身:ドミニカ共和国
  • 身長・体重:185cm・約92〜93kg
  • 投打:右投右打
  • ポジション:投手
  • 経歴:ヤンキース → パイレーツ → エンゼルス → オリオールズ → ロッキーズ → 楽天

ヤンキース時代から評価の高いプロスペクトで、パイレーツ移籍後の2022年には先発ローテの一角としてメジャーで頭角を現しました。ドミニカ代表としてWBCにも出場しており、ポテンシャルは折り紙付きです。

MLB通算成績とこれまでのキャリアの流れ

MLBでの主なシーズン成績

球団登板先発防御率投球回奪三振
2021PIT11000.003.04
2022PIT2118553.7995.086
2023PIT1911376.5968.155
2024PIT+LAA493244.3568.156
2025BAL+COL50005.6812.26
MLB通算4球団953310164.77247.1207

通算10勝16敗、防御率4.77と数字だけ見ると「一流先発」というほどではありません。しかし、22歳だった2022年には防御率3.79をマークしていて、ローテーション投手として十分通用するだけの片鱗は見せています。
その後はフォームのバラつきや球速の変動もあり、先発とリリーフを行き来しながら、安定感を欠いたままここ数年を過ごした、というのが正直なところです。

2025年AAAノーフォークでの復活気配

オリオールズ傘下AAAノーフォークでは、2025年に28試合(14先発)で7勝3敗、防御率3点台前半、約90イニング超を投げて70奪三振という好成績を残しています。
メジャーでは起用法も含めて噛み合わない時期が続いた一方、先発に戻ったマイナーでは「ストライクゾーンで勝負できるパワーピッチャー」として再評価されていたことがわかります。

球種・球速データから見るコントレラスの特徴

平均152〜153km/hのフォーシーム

コントレラス最大の武器は、MLBでもトップクラスに近い球速帯に入るフォーシーム(ストレート)です。
シーズンによって差はあるものの、直近のデータでは

  • フォーシーム平均球速:おおよそ94〜95mph(約152〜153km/h)
  • 最速:158〜160km/hクラスを計測

とされており、「日本ではなかなか見られない剛球派」のカテゴリーに入ります。
ただし、球速の割に空振り率が突出しているわけではなく、「速さ+コースで押すタイプ」に近い印象です。

多彩な5球種 配球の軸はストレート+スライダー+カーブ

MLBで投げていた主な球種は次の5つです。

  • フォーシーム(ストレート):投球の約4割前後
  • スライダー:130km/h台後半
  • カーブ:120km/h台後半
  • シンカー:150km/h台前半
  • チェンジアップ:140km/h前後

特にフォーシームの質は評価が高く、MLBの指標でもプラス評価が付くシーズンが続いています。
一方で、決め球として期待されるスライダーやカーブは「ノビるストレートを活かすための変化球」という位置づけで、いわゆる魔球級の変化ではありません。
総じて「直球でカウントを作り、変化球を散らすパワーピッチャー」というタイプです。

課題はファーボールと一発

MLB通算のデータを見ると、

  • 奪三振率:おおむねK/9=7〜8台(平均〜やや上)
  • 与四球率:BB/9=4前後(やや多め)
  • 被本塁打率:HR/9=やや高め

といった傾向で、「三振も取れるが四球も多く、時々一発を浴びる」という典型的な若いパワー系投手の数字になっています。
制球の粗さがある一方、ボール自体は一級品というタイプなので、日本での「環境変化×指導次第」で大きく伸びしろがあるとも言えます。

楽天での起用法と、日本野球との相性を考える

先発か、セットアッパーか

MLBではデビュー当初は先発、その後はリリーフ主体という起用が続きましたが、先発・中継ぎ両方の経験があるのは大きな強みです。
楽天としては、

  • ローテを任せたい先発候補
  • 最悪、中継ぎやクローザーにも回せる柔軟性

の両方を見込んでの獲得と考えて良いでしょう。
本人もコメントで「チャンピオンになるために全てを尽くす」と語っており、日本でキャリアを立て直すモチベーションは高そうです。

日本のマウンド・ボールとの相性

NPBは

  • ボールに粘り気があり、変化球のキレを出しやすい
  • マウンドは球場によって硬さが異なるが、MLBより低めの傾向
  • 打者はコンタクト能力が高く、カットしながら球数を投げさせてくる

といった特徴があります。
コントレラスの場合、

  • ストレートの球速・質はNPBでも明確な武器
  • 多彩な球種を持っているので、日本向けの配球に再構築しやすい
  • 一方で、制球が荒いと球数がかさみ、球数制限で早降板になりやすい

というプラスとマイナスを併せ持っています。
「四球をどこまで減らせるか」が、日本で成功するための一番のポイントになるでしょう。

楽天投手陣の中でどんな役割を担えるか

楽天はここ数年、「エース級の大黒柱はいるものの、シーズン通して計算できる先発が不足しがち」というシーズンが続いています。
その中で、26歳とまだ若く、150km/h台のストレートを投げ込めるコントレラスは、

  • ローテーションの2〜3番手を狙えるポテンシャル
  • シーズン途中からでも中継ぎに回せるフレキシビリティ

を兼ね備えた存在として、チームバランスを整えるピースになり得ます。
特にパ・リーグは右の剛腕助っ人が活躍する土壌があり、球場によってはゴロピッチャーよりも「空振りとフライで打ち取るタイプ」がハマるケースも多いリーグです。

データから見る「日本で活躍できる可能性」

ポジティブ要素

  • 150km/h台前半のストレート:NPBでは依然として貴重な武器。
  • 5球種を投げ分ける引き出しの多さ:配球の組み立ての幅が大きい。
  • 若さ(26歳):修正・成長の余地が十分にある年齢。
  • 先発・リリーフ両方の経験:チーム事情に応じた柔軟な起用が可能。

ネガティブ要素・不安材料

  • 与四球の多さ:カウントを悪くしてから苦しくなるパターンが多い。
  • 被本塁打の多さ:ストレートでゾーンに入りすぎると長打を浴びるリスク。
  • ここ数年のメジャーでの不安定さ:2022年以降、成績が上下にブレている。

NPBではMLBよりも本塁打が出にくい一方、ファウルで粘られて球数が増える傾向があります。
「ストライクゾーンの中でどれだけ勝負できるか」に加え、「決め球の精度」が上がるかどうかで、日本での成績は大きく変わりそうです。

もしハマったらどのくらいの成績を残せそうか?(仮想ライン)

もちろんあくまで机上の空論ですが、MLB・AAAでの数字と球質、日本の環境を加味して「うまくハマった場合」のイメージを置いてみます。

  • 登板:24〜26試合(先発)
  • 投球回:150〜160回
  • 勝敗:10〜12勝、7〜9敗
  • 防御率:2.80〜3.30
  • 奪三振:150個前後

逆に、四球と被弾が改善しなければ、防御率3点台後半〜4点台前半で「ローテ5〜6番手の助っ人」という評価に落ち着く可能性もあります。
「制球面の改善にどれだけ成功するか」が、エース級になるか、ローテの谷間にとどまるかの大きな分かれ目になりそうです。

おまけ:投球フォームを可視化してみた

注意:肘肩は可視化できていません(フレーム単位だと早すぎて消えてしまう)。足の運びや体幹の動きなどは参考程度に。全く完璧ではないので、多少のズレは、許容してもらえますと。

引用元:https://www.youtube.com/watch?v=lsevWDfWrfY&pp=ygUk44Ot44Ki44Oz44K344O844O744Kz44Oz44OI44Os44Op44K5

まとめ:リスクはあるが、夢も大きい26歳の剛腕

ロアンシー・コントレラスは、MLBで圧倒的な成績を残してきたスター投手ではありませんが、「150km/h台の剛速球」「5球種」「まだ26歳」という要素を考えると、NPB向きのポテンシャルを秘めた投手と言えます。
制球と被本塁打という課題はあるものの、環境が変わることで一気に花開くタイプでもあり、楽天としては「ハイリスク・ハイリターンというより、中〜高リターンを狙えるギャンブル」くらいの位置づけでしょう。

イーグルスファンとしては、まずは春季キャンプやオープン戦での投球をじっくりチェックしながら、「2022年のような安定感を取り戻せるか」に注目したいところです。
ストレートでグイグイ押していく姿がハマれば、楽天のローテーションに新たな柱が誕生する可能性は十分にあります。

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