オリックス・バファローズが、今季レイズでメジャーデビューしたボブ・シーモア内野手(27)を獲得したと報じられました(https://news.yahoo.co.jp/articles/d9e7458768e72ef0e7ff5adf74c9f635f7a29a38)。今季3Aで30本塁打を放った左の一塁手で、長打力はメジャーでも注目されていた存在です。
ここでは、これまでの3A成績と、すでにNPBで結果を出している フランミル・レイエス、タイラー・ネビン、ドミンゴ・サンタナ、ホセ・オスナらとの比較から、 日本でどれくらい活躍できそうかを考えてみます。
ボブ・シーモアのプロフィール
- 氏名:ボブ・シーモア(Bob Seymour)
- 生年月日:1998年10月7日(27歳)
- 出身:アメリカ・イリノイ州ハーヴィー
- 身長/体重:約190cm/113kg
- 投打:右投左打
- ポジション:一塁手
- 経歴:マウントカーメル高 → ウェイクフォレスト大 → レイズ傘下
- ドラフト:2021年ドラフト13巡目(全体401位)でレイズから指名
- 2025年MLB:レイズで26試合出場、打率.205、1本塁打、5打点(サンプルは小さい)
大学時代から「打点マシーン」と呼ばれるほどのスラッガーで、プロ入り後も一貫して長打力を武器に 階段を駆け上がってきたタイプです。守備位置はほぼ一塁固定で、まさに“打ってなんぼ”の典型的な左のスラッガーと言えます。
これまでの3A成績まとめ
シーモアがNPBでどれだけやれそうかを考えるうえで、一番の判断材料になるのが直近2年の3A成績です。
| 年 | レベル/球団 | 試合 | 打席 | 打数 | 打率 | 本塁打 | 打点 | OPS |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2024年 | 3A・ダーラム(レイズ傘下) | 57 | 218 | 193 | .269 | 19 | 44 | .954 |
| 2025年 | 3A・ダーラム | 105 | 443 | 403 | .263 | 30 | 87 | .880 |
| 2年通算(3A) | ダーラム | 162 | 661 | 596 | .265 | 49 | 131 | OPS.9前後 |
2年で3A49本塁打、OPS.9前後という数字は、純粋なパワーという意味では 「NPBでもクリーンアップ候補」と見ていいレベルです。一方で気になるのが三振の多さ。 2024年3Aでは三振率34.9%、2025年は25.7%と、もともと三振の多い打者ですが、 今季はある程度改善している点はポジティブ材料と言えます。
マイナー通算では打率.280台前半、OPS.8中盤〜後半、ホームランもシーズン20〜30本ペースと、 「ミドルレンジ〜トップクラス寄りのマイナー・スラッガー」という評価が妥当でしょう。
NPBで活躍している外国人スラッガーとの比較
フランミル・レイエス(日本ハム)
- 2024年:打率.290、25本塁打、65打点、OPS.912
- 2025年:打率.277、32本塁打、90打点、OPS.861
- NPB2年通算:打率.282、57本塁打、OPS.880超
- MLB通算:打率.249、108本塁打、OPS.770台(パワーは一級品だが三振も多いタイプ)
レイエスも「メジャーでは三振の多い典型的パワーヒッター」でしたが、 日本ではストライクゾーン管理がある程度改善され、四球も増えたことで トップクラスの主砲になりました。
シーモアも、三振が多いが一発の破壊力で勝負するという意味で、タイプ的にはかなり近い存在です。
タイラー・ネビン(西武)
- 2025年西武:137試合、打率.277、21本塁打、63打点、OPS.794
- MLB通算:打率.204、12本塁打、OPS.600台前半と苦戦
- MiLB通算:打率.280台、OPS.810前後とマイナーでは優秀
ネビンは「マイナーでは打てるが、MLBではなかなかOPSが上がらない」タイプで、 シーモアと似たステータスからのNPB挑戦でした。結果的に、西武では 打率.270台・20本塁打超と、立派な主砲クラスの数字を残しています。
「マイナーOPS.800〜.850クラス+ある程度選球眼がある打者」は、 日本に来ると20〜25本塁打クラスに落ち着くことが多く、シーモアもこのパターンにはまる可能性があります。
ドミンゴ・サンタナ(ヤクルト)
- 2024年:打率.315、17本塁打、70打点(ほぼ首位打者級の活躍)
- NPB通算(〜2024):打率.299、69本塁打、233打点
- MLB通算:打率.255、77本塁打、OPS.780台と、長打力と四球を兼ね備えるタイプ
サンタナは、MLB時代から「三振は多いが、四球も取れて長打もある」タイプ。 NPBではゾーン管理の良さがそのまま武器になり、高打率+長打という形で結果を残しました。
シーモアはサンタナほど出塁能力は高くない一方で、純粋な長打力だけなら同レベルに近いポテンシャルがあります。
ホセ・オスナ(ヤクルト)
- 2024年:141試合、打率.267、17本塁打、72打点、OPS.730台後半〜.800弱
- NPB通算(〜2024):打率.263、73本塁打、277打点(2021年以降、安定して中軸を担う)
- MLB通算:打率.241、24本塁打、OPS.710と、やや物足りないが長打力は一定以上
オスナは、NPBでは「超一流の大砲」というより、「安定感のある中軸」タイプ。 シーモアも打率は.260前後で落ち着きつつ、20本台中盤〜後半のホームランを量産するイメージを持ちやすい選手です。
4人との比較から見える、シーモアのNPB適性
① パワー水準はNPBトップクラス候補
3A2年で49本塁打という数字は、レイエスやサンタナ、オスナらがマイナーで残してきた 長打力と比べても見劣りしません。
特に2025年のダーラムでは、30本塁打・87打点に加え、リーグ屈指の長打率を記録しており、 「長打力だけ見れば、NPBに来た瞬間からリーグ屈指」と言っていいレベルです。
② 三振の多さは“許容範囲ギリギリ”だが、改善傾向
シーモアの最大の弱点は三振の多さです。
ただし、2024年3Aでは三振率34.9%とかなり高かったのに対し、2025年は25.7%まで改善。 NPBの多くの投手はストライクゾーンで勝負してくるため、 「ある程度ゾーンで振れるかどうか」が鍵になりますが、 今季の改善傾向を見ると、日本側としては「修正次第でどうにかなるレベル」と判断してもおかしくありません。
③ 左の大砲+一塁専任は、今のオリックス打線と相性◎
オリックスの現状を見ると、森、杉本、中川、頓宮ら生え抜きの主力はいるものの、 「純粋な左の大砲」というタイプは不足気味です。
シーモアは典型的な左の一塁手で、右投手に強い長距離砲。 京セラドーム大阪はフェンスがそれほど高くなく、引っ張りの打球がスタンドに届きやすい球場のため、 球場との相性も悪くありません。
④ レイエス&ネビン型か、サンタナ型か
タイプとしては、「レイエス+ネビン寄り」と見るのが妥当でしょう。
高打率と出塁率を両立するサンタナ型というより、 「打率は.260前後でも、とにかく長打で試合を決めるタイプ」のスラッガー像がイメージに近いです。
もしオリックス入りした場合の“現実的なライン”
もちろん、実際に日本の投手と対戦してみないことには分からない部分も多いですが、 これまでのデータと他助っ人のパターンから、ある程度の目安は立てられます。
① 「ハマった場合」のイメージ
- 打率:.270前後
- 本塁打:30本前後
- 打点:90前後
レイエス級とまではいかなくても、「パ・リーグ本塁打ランキング上位に入る」くらいのインパクトは十分あり得ます。 カウント有利からの一発、得点圏での長打が出始めると、一気にタイトル争いに絡む可能性も。
② 「まずまず成功」のイメージ(現実的な中央値)
- 打率:.250〜.265
- 本塁打:20〜25本
- 打点:70〜80打点
このラインでも、ネビンやオスナのように「優勝争いするチームの主軸」として十分な数字です。 三振は多いが、1シーズン通してクリーンアップを任せられる助っ人、というポジションになります。
③ 「苦戦した場合」のリスク
- 変化球対応に苦しみ、打率.230台・本塁打15本未満で終わる
- インコース攻めへの適応に時間がかかり、シーズン途中で入れ替え…というケース
三振の多い助っ人は、ボールゾーンを振らされ始めると一気に悪循環に陥りがちです。 それでもシーモアの場合、「たとえ打率が低くても、10本台後半〜20本弱は打てるだけの原石のパワー」は間違いなく持っています。
おまけ:シーモア選手の打撃を可視化
解析の都合上、可視化の際に軸足の挙動がインパクトあとに少々ズレでいる(解析の限界)ので、がっつり分析というよりかは参考程度に見る感じですね。
参考:https://www.youtube.com/watch?v=qPRn7rVPmww&t=13s
総括:シーモアは「レイエス&ネビン級」となるか?あとは適応力次第
まとめると、ボブ・シーモアは
- 3A2年で49本塁打を放ったパワーはNPBでもトップクラスになり得る
- 三振の多さはリスクだが、今季はある程度改善傾向
- 「マイナーでは打てるがMLBではもう一歩」だった点は、ネビンやオスナとよく似ている
- オリックスの編成上、「左の一塁大砲」はまさに補強ポイント
という点から、「うまくハマればレイエス級、現実的にはネビン〜オスナ級の当たり助っ人」になれるだけの素材と言えます。
あとは、日本のゾーンにどこまで順応できるか、変化球への対応をどこまで磨けるか。 オリックスが本当に獲得に踏み切るのか、そして来季どんな数字を残すのか—— パ・リーグの新たな“飛ばし屋”誕生に期待が高まります。



コメント