WBC注目選手。韓国代表・ムン・ドンジュ──韓国最速160キロ剛腕のスタッツと経歴

動作分析

次回WBCで日本が必ず意識せざるを得ない右腕が、韓国ハンファ・イーグルスの ムン・ドンジュ(文東柱)です。
KBOリーグの韓国人投手として史上初めて160キロ台に到達した最速右腕であり、 2023年には新人王を受賞。2022年杭州アジア大会ではエースとして金メダルにも貢献した、 まさに「次世代韓国代表の顔」と言える存在です。

基本プロフィール

名前ムン・ドンジュ(文東柱/Moon Dong-ju)
国籍韓国
生年月日2003年12月23日(21歳/2025年シーズン時点)
出身地韓国・光州広域市
身長/体重188cm/97kg
投打右投右打
ポジション先発投手
所属チームハンファ・イーグルス(KBO)背番号1
ドラフト2022年ハンファ1次指名(地域ドラフト)
主なタイトル2023年 KBO新人王、2022杭州アジア大会 金メダル(韓国代表)
ニックネーム「大田のプリンス」「韓国最速右腕」など

KBOでの成績推移(2022〜2025)

ムン・ドンジュは2022年に一軍デビュー。2年目の2023年に先発ローテの柱として台頭し、 8勝・防御率3点台で新人王を獲得しました。以降も球界屈指の剛腕として成長を続けています。

登板先発防御率投球回奪三振WHIP
2022134135.6528回2/3361.47
20232323883.72118回2/3951.31
20242121775.17111回1/3961.67
202524231154.02121回1351.18
通算8127234.39379回2/33621.39

2023年は8勝8敗・防御率3.72でKBO新人王を受賞。2025年には自身初の二桁勝利(11勝)と 135奪三振をマークし、本格的に「リーグ有数のエース格」として認められつつあります。

160キロ超えの剛腕──韓国人最速右腕

ムン・ドンジュを語るうえで外せないのが、160キロを超えるストレートです。
2023年4月12日のKIAタイガース戦で、公式計測160.1km/hのストレートを記録。 KBOの韓国人投手としては史上初の160キロ台到達となり、大きな話題を呼びました。
その後も2025年のプレシーズンで159.7km/h(表示160km/h)をマークするなど、 150キロ台後半を連発する速球はすでに「日常運転」レベルになっています。

球種は主に、

  • 最速160キロ超のフォーシーム
  • 130キロ台のスライダー
  • カーブ
  • フォーク(チェンジアップ系の落ちるボール)
  • 場面によってツーシームも使用

速球の威力に目が行きがちですが、近年は制球と球種のコンビネーションも向上。 指標面では2025年に9イニングあたり10個前後の奪三振(K/9)を記録しつつ、 四球率(BB/9)も2点台前半まで改善しており、「速いだけの投手」から 「ゲームを作れる本格派先発」へ進化してきた印象です。

投球フォームの可視化(下半身と体幹のみ)

例によって体幹と下半身だけの描画になります。マウンドの傾斜があまり加味されていない推定なので、こちらの骨格はあくまでも参考程度です。

見た感じ全身バネみたいな躍動感がすごく伝わるピッチング。昔の佐々木朗希みたいに足を高くあげているのも似ているポイントかもしれませんね。

別アングルはこちら

参考動画:https://www.youtube.com/watch?v=GdjXJxY40Ak&pp=ygUV44Og44Oz44O744OJ44Oz44K444Ol0gcJCQMKAYcqIYzv

経歴:高校時代から“世代No.1”として注目

光州の名門・鎮興高校時代から150キロを超える速球を投げる世代屈指の有望株として知られ、 2022年ドラフトではハンファが地域1位指名で獲得。入団時から 「将来の韓国代表エース候補」として大きな期待を背負っていました。
1年目の2022年は肩の状態にも配慮されながら13試合に登板し、1勝3敗・防御率5.65と 結果は控えめでしたが、2年目の2023年に一気にブレイクします。

2023年は先発ローテーションを1年間守り、23試合で8勝8敗・防御率3.72。 そして160.1キロの国内最速を叩き出したことで「韓国野球の新エース」として 一躍スターダムにのし上がりました。シーズン後には肩の違和感で少し離脱したものの、 2024〜25年も先発の柱として投げ続け、2025年には自己最多の121イニングを消化。 奪三振135・11勝という数字は、スタミナと安定感の両面で一段階ギアを上げたことを示しています。

国際試合での実績:アジア大会金メダル&APBCでエース格

2022杭州アジア大会(2023年開催)

ムン・ドンジュの名前を世界に知らしめたのが、2023年に行われた杭州アジア大会です。
予選リーグの台湾戦では敗戦投手となり悔しさを味わいましたが、 決勝の台湾戦で再び先発のマウンドを任されると、6回無失点の完璧な投球。 スコア2-0の完封リレーで韓国の4大会連続金メダルに大きく貢献しました。
この試合ではスコアボード表示で160キロに達するストレートを連発し、 「大舞台に強い次世代エース」という評価を決定づけています。

アジアプロ野球チャンピオンシップ(APBC)2023

2023年11月のAPBC(東京ドーム)でも韓国代表入りし、 オーストラリアとの開幕戦で先発登板。中盤まで粘り強い投球を見せて勝利の土台を作り、 韓国は同大会で準優勝となりました。
この時点で、韓国内ではすでに 「次のWBCではムン・ドンジュが先発ローテーションの軸になる」という見方が 支配的になっています。

MLB相手のテストマッチ:パドレス戦

2024年3月、ソウルシリーズ前のエキシビションマッチでMLBのサンディエゴ・パドレスと対戦した際には、 韓国代表の先発として2回を投げ、剛速球と空振りを奪う変化球で 「メジャー相手にも通用するボール」を証明しました。
まだ制球面で荒さを見せる場面もありますが、平均150キロ台後半のストレートは MLBスカウト陣からも注目されており、将来的なメジャー挑戦候補としても名前が挙がっています。

WBCでの役割予想と、日本から見た要注意ポイント

2023年WBCには最終的に選出されませんでしたが、 その後の活躍により次回WBC(2026年大会)では韓国代表先発ローテの中心になると見られています。
韓国メディアではすでにサムスンのウォン・テインとともに 「右のワンツーパンチ」と評されており、韓国代表のエース格として 日本戦・重要なノックアウトステージでの先発が濃厚です。ウォン・テイン投手についてまとめた記事はこちらになります。

日本代表目線のチェックポイント

  • 真っすぐは低めよりも高めが危険ゾーン
    高めのフォーシームは回転質も良く、空振りが多いボール。カウントを取りにくる高め速球は 無理に叩きにいくより、見極めて球数を投げさせたいところです。
  • 序盤の制球がやや不安定になりがち
    国際試合や重要なゲームでは立ち上がりに力んで四球が増える傾向があり、 低めの変化球がボール先行になる場面もあります。日本としては 初回〜2回にかけて粘って球数と四球を稼げれば、一気に試合を優位に運べる可能性があります。
  • スライダーとフォークの見極めがカギ
    速球に差し込まれまいと前に突っ込むと、スライダーやフォークで簡単に空振りを奪われます。 逆に変化球をしっかり見極め、ストレート系を絞った打席を作れれば攻略の糸口が見えます。

総じて、ムン・ドンジュは「球威・ポテンシャルはメジャー級、完成度は伸びしろ込み」というタイプ。 2025年時点でもまだ21歳と若く、次回WBCまでの1〜2年で どこまで制球とゲームメイク能力を高めてくるかが、日本としても最大の関心事になるでしょう。

いずれにせよ、「韓国代表の160キロ剛腕ムン・ドンジュ」の名前と投球スタイルは、 WBCの予習段階でしっかり頭に入れておきたいところです。

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