NPB通算成績と主な活躍
横浜DeNAベイスターズのタイラー・オースティン内野手(34)は、2020年の来日以来6年間でNPB通算403試合に出場し、打率.293、85本塁打、236打点、OPS.945という優秀な成績を残しましたja.wikipedia.org。2021年には自己最多の28本塁打・74打点、打率.303をマークし、2024年には打率.316で首位打者のタイトルを獲得していますsponichi.co.jpja.wikipedia.org。
特に2024年シーズンは25本塁打69打点を記録し、来日後初のタイトルとなる首位打者に輝きましたsponichi.co.jp。ポストシーズンでも勝負強さを発揮し、クライマックスシリーズから日本シリーズにかけて計3本の本塁打を放ち、ベイスターズの26年ぶり日本一に大きく貢献していますsponichi.co.jp。2020年のデビュー当初から長打力は健在で、来日1年目に20本塁打(65試合)full-count.jp、翌2021年には28本塁打を放つなど、NPBで3度のシーズン20本塁打超えを達成しましたfull-count.jp。
その間、2020年10~11月、2021年6月、2024年6月に月間MVPを受賞するなどja.wikipedia.org、短期間で爆発的な打棒を見せることもあり、助っ人スラッガーとしてファンに強い印象を残しています。
度重なる故障と構想外となった背景
輝かしい実績の一方で、オースティンは近年相次ぐ故障に悩まされ、チームの戦力構想から外れる形となりました。2022年は開幕前に右肘の不調を訴えてリハビリを行い、4月にクリーニング手術を受けたためシーズンの大半を棒に振っていますja.wikipedia.orgja.wikipedia.org。2023年も開幕に間に合わず5月に一軍復帰しましたが、わずか1か月後の6月にヘッドスライディングで右肩鎖関節を捻挫し離脱し、その後9月に右肩の手術を受けるなど、2年連続で長期離脱を強いられましたja.wikipedia.org。度重なる故障により、在籍中は「ガラスの大砲」とも揶揄され、満足にシーズンを戦い抜けない状況が続きました。実際、2022~2023年はシーズン出場数がそれぞれ38試合、22試合にとどまり、本塁打も2年間で合計1本に終わっていますja.wikipedia.orgja.wikipedia.org。
2024年は肩の手術から復活し、先述の通り打率.316・25本塁打の大活躍でフルシーズン近く出場しました。しかし翌2025年シーズンは再び故障が襲い、オールスター前後に右膝の違和感で戦列を離れましたnikkansports.com。球団は2024年オフに契約延長オプションを行使して残留させましたが、2025年は結局65試合の出場にとどまり、打率.269、11本塁打と不本意な成績でしたfull-count.jpsponichi.co.jp。シーズン終盤のクライマックスシリーズでも膝のコンディション不良でメンバー外となり、「日本シリーズでの復帰を目指してリハビリを続けていた」ものの出場は叶いませんでしたnikkansports.com。
シーズン終了後、球団は11月13日付でオースティンをウェイバー公示から自由契約とすることを発表full-count.jp。6年間在籍し高い能力を示しながらも、 「度重なる故障に苦しめられた」 ことが放出の背景にあると報じられていますnikkansports.com。また、チーム事情としては一塁手や指名打者での起用が中心となったことで守備負担軽減を図りましたが、2023年にはネフタリ・ソトとの併用で先発を外れる試合も多くja.wikipedia.org、外国人枠の制約もあって構想上戦力計算しづらい存在になっていたことも一因と言えるでしょう。
移籍先候補:右の長距離砲を求める球団はどこか
NPB他球団に目を向けると、右打ちの長距離砲を補強ポイントに挙げる球団は少なくありません。オースティンほどの実績を持つスラッガーが市場に出るとあって、水面下では複数球団が関心を示す可能性があります。ここでは特に右の長距離打者を必要とする主な球団と、オースティンを獲得した場合の起用法・チーム編成への影響について展望します。
福岡ソフトバンクホークス
パ・リーグで真っ先に候補に挙がるのがソフトバンクです。ホークスは近年、右の大砲タイプが手薄であり、実際に2023年オフには西武から国内FA権を取得した山川穂高選手の獲得に動いた経緯がありますuediiiblog.online。2025年シーズンもチームはリーグ優勝を果たしたものの、主力打者の柳田悠岐選手(左打ち)や近藤健介選手(左打ち)、栗原陵矢選手らが相次いで負傷離脱し、打線強化は引き続き重要課題ですuediiiblog.online。そうした中でオースティンは、コンディションさえ整えばOPS.900超えの破壊力を持つNPB屈指の右のスラッガーであり、補強ポイントに合致しますuediiiblog.onlineuediiiblog.online。何より日本球界で実績がある分、新外国人を一から連れてくるより計算できる点はソフトバンクにとって大きな魅力でしょうuediiiblog.online。
ソフトバンクには指名打者(DH)制があるため、オースティン獲得となれば主にDH起用で打撃に専念させるプランが考えられます。守備による負担を軽減しつつ、柳田・近藤ら左の強打者と並ぶクリーンアップを形成できれば、打線の厚みはリーグトップクラスとなります。仮に柳田選手らが故障で離脱しても、オースティンが中軸に控えていれば代役として十分戦える層の厚みが生まれるでしょうuediiiblog.online。
編成面でも、ソフトバンクは2026年からモイネロ投手が日本人登録となり外国人枠に余裕ができる見込みでuediiiblog.online、2025年時点でも実働した野手助っ人が皆無(モイネロ投手以外は不振)だったことを考えればuediiiblog.online、オースティンを1人加えても運用上の問題は小さいと見られます。年齢的に複数年契約やコンディション面のリスクはあるもののuediiiblog.online、ホークスが長打力アップの切り札として獲得に乗り出す可能性は十分あるでしょう。
読売ジャイアンツ
セ・リーグでは読売ジャイアンツが有力な移籍先候補と見られます。ジャイアンツは2024年にリーグ優勝こそ果たしたものの(クライマックスシリーズで敗退)、チーム本塁打の多くを岡本和真選手に依存しており、もう一枚迫力のある打者を求めているとされています。過去にも他球団の主軸級外国人を獲得した例(2014年オフのアンダーソン、2019年オフのバレンティン獲得など)があるように、実績十分なオースティンには関心を寄せても不思議ではありません。
実際、一部では「岡本選手の将来的なメジャー挑戦に備えてオースティン獲得に動くのでは」との声も上がっていますyoutube.com。リーグ内のライバルであるDeNAで打率王・本塁打王経験者(※オースティンは本塁打王は未獲得ですが複数回20発超を記録)の大砲となれば、他球団に渡すより自軍に迎え入れたいという思惑が働いても不思議ではありません。
ジャイアンツに加入した場合の起用法としては、一塁手や左翼手での先発起用が想定されます。現在岡本選手が主に三塁を守りながら4番を打っていますが、一塁には中田翔選手や若手が日替わりで入る状況です。オースティンが加われば一塁手に固定し、岡本選手との強力な**“Wクリーンアップ”**体制を築くこともできるでしょう。また守備負担を考慮して休養日には代打で待機させるなど、柔軟な起用も可能です。
編成上は外国人野手枠との兼ね合いがありますが、2024年のジャイアンツは野手では新外国人ブリンソン外野手らを起用しつつも決め手を欠いたため、実績あるオースティンの加入は打線強化の最優先事項と言えます。岡本選手の後ろを打てる長打力のある打者を据えられれば相手投手へのプレッシャーは増し、得点力向上に直結するでしょう。ファン人気の面でも、クライマックスシリーズで巨人投手陣から放った勝負強い本塁打の記憶が新しいオースティンなら話題性も十分ですja.wikipedia.org。ジャイアンツが積極補強路線を継続するなら、オースティン獲得に動いても不思議ではありません。
阪神タイガース
阪神もまた右の長距離砲を求める球団の一つです。2023年にリーグ優勝を果たした阪神ですが、その後は得点力強化が課題となっています。主軸の佐藤輝明選手や近本光司選手が左打者であるため、打線の左右バランスを取る上でも右の強打者の補強はポイントです。事実、阪神は2024年オフに前エンゼルスのケストン・ヒウラ内野手(右打ち、MLB通算50本塁打)を新外国人候補として調査していると報じられましたyakyumaru.com。この動きからも、球団が右の大砲タイプを求めていることがうかがえます。
オースティンが阪神に加入すれば、一塁手あるいは外野の両コーナーでの起用が考えられます。現在、一塁は主に大山悠輔選手や助っ人不在時には日本人選手が日替わりで務めており、固定できていません。オースティンを一塁に据え、大山選手を三塁にコンバートする、もしくはオースティンを右翼手に起用し佐藤選手を三塁または一塁に回す、といった布陣も可能でしょう。
いずれにせよ、佐藤選手とオースティンがクリーンアップを組めば左右の長距離砲が揃う打線となり、得点力アップが見込めます。編成面では、阪神は投手含めて最大9人の外国人枠候補を抱える体制を敷くなど積極補強を進めていますtora-ojisan.com。新たに大砲候補を獲得しても競争力を高める方針と一致しますし、実績十分のオースティンならば計算違いのリスクも比較的小さいでしょう。課題である得点力不足の解消策として、NPBで実績のあるオースティンは魅力的な存在であり、阪神が補強リストに加えていても不思議ではありません。
千葉ロッテマリーンズ
パ・リーグでは千葉ロッテもオースティン獲得に動く可能性があります。ロッテは2023年オフに同じくDeNAから退団したネフタリ・ソト選手を獲得し、2025年シーズンに右の長距離砲として起用しました。しかしソト選手の2025年成績は打率.230、13本塁打、44打点とやや物足りない数字に終わりbaseball.yahoo.co.jp、チーム本塁打数もリーグ上位には届きませんでした。長打力強化は引き続き補強ポイントとなっており、かつてソト選手とクリーンアップを組んでいたオースティンは、その有力な候補になり得ます。
ロッテに加入した場合、起用法としては一塁手または指名打者でのスタメン起用が有力です。ソト選手とはポジションが重なるため、もしオースティン獲得となれば編成上どちらか一人を選ぶ形になるでしょう。ただ、ソト選手は今オフに去就未定とも報じられており、仮に退団となればその後釜としてオースティン獲得に本腰を入れるシナリオも考えられます。
オースティンを4番または5番に据え、安田尚憲選手や山口航輝選手ら生え抜きと並べば打線の厚みは増し、得点力不足解消に大きく寄与するでしょう。ロッテは投手力に定評があるものの近年優勝争いで一歩及ばないシーズンが続いており、あともう一押しの長打力を求めて補強に動く可能性は十分あります。他球団の動向次第ではありますが、球界経験豊富なオースティンはロッテにとっても魅力的な補強ターゲットと言えそうです。
埼玉西武ライオンズ
西武もまた候補の一つです。主砲だった山川穂高選手が2023年に不祥事もあって戦列を離れた影響で、チーム本塁打数は大幅に減少しました。穴埋めとして2025年は新外国人タイラー・ネビン選手(右打ちの内野手)を獲得し、シーズン途中の6月には早くも2026年以降の残留契約を結ぶなど一定の成果を挙げていますmlbtraderumors.commlbtraderumors.com。ネビン選手は68試合で打率.269、120wRC+(リーグ平均比で2割増しの攻撃力)とまずまず健闘したものの、長打力という点では長年4番を張った山川選手に比べ見劣りするのも事実ですmlbtraderumors.com。西武打線はリーグ最下位に低迷しており、さらなる長距離砲の補強を模索しても不思議ではありません。
オースティンを獲得できれば、西武では指名打者あるいは一塁手として起用し、既存のネビン選手と併用するプランが考えられます。例えばオースティンをDHに据え、ネビン選手を一塁または外野で併用すれば、クリーンアップに強打者2人を並べることが可能です。これにより中村剛也選手や森友哉選手(※森選手は2023年オリックス移籍)らが抜けて弱体化した打線の厚みを取り戻す狙いがあります。もっとも、西武は例年外国人枠を主に投手に割く傾向があり、野手2人体制は編成上の贅沢かもしれません。しかし山川選手の穴を埋めるためには多少の投資は必要との見方もあり、実績あるオースティンが手ごろな条件で獲得可能なら検討に値するでしょう。
西武ドーム(ベルーナドーム)は本塁打が出にくい球場とされますが、パワーと巧打を兼ね備えるオースティンなら地の利を生かしてギャップヒッティングもでき、得点力向上に貢献できるはずです。チーム再建中のライオンズにとって、打線の核となれる即戦力外国人の補強は急務であり、オースティンの去就は注視しているところかもしれません。



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