WBC選手の先取り紹介。オーストラリア代表内野手ジャリッド・デールとは?

動作分析

2023年WBCで日本戦に出場し、2024年プレミア12でもオーストラリア代表の一員としてプレーした ユーティリティ内野手がジャリッド・デールです。2025年にはオリックスと育成契約を結び、ウエスタン・リーグで結果を残したことで 日本のファンにも一気に名前が浸透しました。次回WBCや国際大会で日本代表の前に再び立ちはだかる可能性が高い選手と言っていいでしょう。

基本プロフィール

名前ジャリッド・ジェームス・デール(Jarryd James Dale)
国籍オーストラリア
生年月日2000年9月11日(25歳)
出身地ビクトリア州メルボルン
身長 / 体重188cm / 90kg
投打右投右打
ポジション内野手(二遊間が本職だが、三塁や外野も守れるユーティリティ)
主な所属メルボルン・エイシズ(ABL) – サンディエゴ・パドレス傘下(2017〜2024) – オリックス・バファローズ育成(2025)
背番号オリックスでは125番

来歴:16歳でプロの世界へ飛び込んだユーティリティ

デールは地元メルボルンのクラブで頭角を現し、16歳だった2016年に オーストラリアン・ベースボールリーグ(ABL)のメルボルン・エイシズで プロデビューしました。10代半ばで大人に混じってプレーしながら経験を積み、 翌2017年にはサンディエゴ・パドレスとマイナー契約を締結。アメリカ本土で 本格的にプロキャリアをスタートさせます。

パドレス傘下ではルーキーリーグからA級、A+級、AA級、AAA級まで幅広いレベルを経験。 本職はショートやセカンドですが、三塁や一塁、外野もこなし、「守れるところは全部守る」タイプの ユーティリティとして評価されてきました。

マイナーリーグでの成績まとめ

各種データベースや報道を総合すると、パドレス傘下でのマイナー通算は以下のようになります。

期間試合打率本塁打打点盗塁
2018〜2024年(通算)372試合.22914本137打点76盗塁

特に結果を残したのがシングルAでプレーした2021年シーズン。 102試合で打率.269、6本塁打、60打点、31盗塁と、パンチ力と走力を兼ね備えた内野手として 一気に評価を上げました。
一方で、A+やAAのレベルでは打率1割台後半〜2割前半と苦しむシーズンも多く、 「守備と走塁は高水準だが、打撃面で突き抜けられていない」タイプと言える数字になっています。

母国・ABLでの成長とブレイク

オフシーズンには毎年のように母国リーグであるABLに出場しており、 メルボルン・エイシズの主力として長くプレーしてきました。

  • 2016-17シーズン:25試合出場、打率.206、1本塁打(プロデビュー)
  • その後もコンスタントに出場を重ね、国内リーグ通算では約250試合出場で打率.260台後半・二桁本塁打
  • 2022-23シーズン:33試合で打率.265、3本塁打
  • 2023-24シーズン:33試合で打率.381、3本塁打、19打点と大爆発

特に2023-24シーズンは打率.380台という圧巻の数字を残し、 「打撃も日本で通用するレベルに乗ってきたのではないか」と評価されるきっかけになりました。 この時期にオリックスの選手たちとチームメイトとしてプレーしていたことも、 のちのオリックス入りにつながっています。

国際大会での実績:侍ジャパン戦、WBC、プレミア12

侍ジャパンシリーズ2022

2022年11月に東京ドームで行われた侍ジャパンとの強化試合 「侍ジャパンシリーズ2022」ではオーストラリア代表として出場。 第1戦に「9番・二塁」でスタメン出場し、当時DeNAに在籍していた 今永昇太から遊撃への内野安打を記録しています。
まだ無名に近かった段階で日本のエース級からヒットを放ったことで、 スカウト陣の印象に強く残る存在になりました。

WBC2023

第5回WBC(2023年)ではオーストラリア代表に選出。 日本戦を含む1次ラウンドで主に代走や守備固め、代打として起用され、 少ない打席ながらもヒットを放ち打率.500(小サンプル)と紹介されるなど、 限られた出場機会で結果を残したユーティリティ要員という位置づけでした。

プレミア12・2024

2024年秋のWBSCプレミア12でもオーストラリア代表の内野手として登録。 スタメンと途中出場を織り交ぜながら3試合に出場し、4打数無安打と 打撃面では結果が出ませんでしたが、複数ポジションを守れる守備要員として 代表での立場を固めつつあります。

オリックス育成時代:テスト生からウエスタンで「結果」を残す

2025年2月、デールはテスト生としてオリックスの宮崎キャンプに参加。 キャンプ中のアピールが実り、2月17日に育成契約が正式発表されました。 年俸は推定500万円、背番号は125。球団の福良GMは 「攻守ともに見るべきものがある。めちゃくちゃ真面目」とコメントしており、 まずは二遊間のバックアップ候補として期待されていました。

2025年シーズンはウエスタン・リーグ(ファーム)でプレー。 主にショートとセカンドを守りながら、41試合で打率.297、2本塁打、14打点という 形で数字でも結果を残しました。シーズン途中には日ハムのドラ1・柴田投手から 逆転の適時二塁打を放つなど、NPBの有望株相手にもインパクトのある打撃を見せています。

シーズン終盤にはKBOの秋季リーグ参加のため韓国へ渡ることが発表され、 オリックスからは引き続き契約を検討する旨も報じられましたが、 2025年オフのNPB公示では自由契約となり、現時点では来季の所属は未定です。
いずれにせよ、「NPBの投手を相手に3割近い打率を残した豪州代表内野手」として 次のWBCでも要注意の存在になるのは間違いありません。

成績の整理:主な数字

カテゴリ / 年チーム・リーグ試合打率本塁打打点盗塁
マイナー通算パドレス傘下各球団372.2291413776
ABL通算(目安)メルボルン・エイシズ約248.26台後半1480
2021年A級(Lake Elsinore他)102.26966031
2023-24ABL(メルボルン)33.3813198
2025年ウエスタン・リーグ(オリックス)41.297214

ジャリッド・デールはどんなタイプの選手か?

① 守備・走塁がベースのユーティリティ

デールの最大の売りは守備と機動力です。ショートとセカンドを中心に、 三塁や一塁、時には外野まで守れるユーティリティ性を持ち、 代表チームでも「どこにでも入れられる内野手」として重宝されています。
マイナーでも複数ポジションをこなしてきた実績があり、オーストラリア代表でも 守備固めや終盤の代走で起用されることが多いタイプです。

② 打撃:コンタクト重視+ギャップヒッター

長距離砲というよりは、ライナー主体でギャップに打ち分けるタイプ。 ABLでの打率.300超や、ウエスタン・リーグでの.297という数字からも分かる通り、 「ボールにコンタクトする技術」は高いものがあります。
一方で、マイナー上位レベル(AA以上)ではパワー不足とコンタクトの粗さが同時に出てしまい、 打率・長打率とも伸び悩んだのも事実です。日本で見せたような、 コンパクトに振り抜いてセンターから右方向にライナーを飛ばすバッティングが 安定して出せるかどうかが、今後のカギになるでしょう。

③ 走塁:数字以上に相手バッテリーにプレッシャー

マイナー通算76盗塁、1シーズン30盗塁前後のシーズンもあるように、 足でもチームに貢献できる選手です。
盗塁数だけでなく、二塁打で一気にホームに還るベースランニングや、 守備位置・打球方向を見たスタートの良さなど、野球IQの高さも評価されています。

WBCでの役割予想と「日本目線」での要注意ポイント

次回WBCやプレミア12でもデールがオーストラリア代表の内野を担う可能性は高いと見られます。 現状の立ち位置からすると、スタメンと守備固めを両方こなせるユーティリティ内野手 という起用がメインになりそうです。

  • 日本・韓国といったアジア勢の投手と対戦経験が豊富(侍ジャパン戦、NPBファームでの実戦)
  • 二遊間を守れる右打ちの内野手で、終盤の守備固め・代走で必ずベンチ入りしてくるタイプ
  • 打席数は多くなくても、一打席で試合を動かすタイプ(内野安打、エンドラン、進塁打など)

日本代表の視点で見ると、「クリーンアップの脇でイヤな仕事をしてくる9番打者」あるいは 「終盤に出てきて流れを変える控え内野手」というイメージを持っておくと良さそうです。
2025年には日本球界でプレーしNPBの球場やボール、投手の傾向にも慣れており、 次の国際大会では“日本慣れしたオーストラリア内野手”として さらに厄介な存在になってくるでしょう。

WBCの予習という意味でも、ジャリッド・デールの名前とプレースタイルは 今のうちに頭に入れておきたいところです。

ちなみに過去にオーストラリア野球の観戦方法についてまとめた記事はこちらです。

おまけ:ジャリッド・デールのバッティングフォームの可視化をしてみた

あくまでも動画ベースなので限界はありますが、こんな感じです。

参考動画:https://www.youtube.com/watch?v=LclE0AMqrTM

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