同じ相手にばかり負けるシーズンがあります。
しかも、その感じが一度始まると、ただの1敗じゃ済まなくなる。
「またこの相手か」「今日も無理そう」という空気まで含めて、チームを削っていくやつです。
2026年の日本ハムが、まさに少しその匂いを出し始めています。4月12日時点で、ソフトバンク相手に開幕から5戦5敗。リーグ全体の勝敗表でも、日本ハムの対ソフトバンク成績は0勝5敗と並んでいます。まだ4月中旬で、当然ここから立て直す時間は十分あります。とはいえ、ファン心理としてはもう気になります。「同じ球団にここまで負け続けると、歴史的にはどれくらいヤバいのか?」と。
結論から言うと、日本ハムの対ソフトバンク5連敗はまだ“嫌なスタート”の段階です。ですが、NPBの歴史にはここから本当に壊れていった例があります。代表格が2024年の西武-ロッテで、西武はロッテに開幕16連敗、最終的に4勝21敗。これは同一カード開幕連敗のNPBワーストであり、1シーズンの対戦相性としてもかなり極端でした。さらに視野を広げると、1961年近鉄の36勝103敗1分、1955年大洋の31勝99敗のように、シーズン全体そのものが歴史級の惨状に沈んだ例もあります。つまり、同一相手への連敗は、ときにシーズン崩壊の入口にもなります。
まず、日本ハムの対ソフトバンク5連敗はどのくらい重いのか
2026年4月12日時点のパ・リーグ勝敗表では、日本ハムは14試合で7勝7敗。そのうちソフトバンク戦は0勝5敗です。つまり、借金ゼロで踏ん張っているように見えて、対ソフトバンクだけで借金5を全部抱えている形になっています。
これが嫌なのは、単なる1カード負け越しではないことです。ソフトバンクは同日時点で10勝4敗、対日本ハムは5勝0敗。片方にとっては得意カード、もう片方にとっては完全な取りこぼし禁止カードになりつつある。シーズン序盤とはいえ、同一リーグ6球団制ではこの偏りがかなり効いてきます。
ただし、歴史的な数字としてはまだ序章です。開幕から5連敗は十分きついですが、NPBにはこの程度では済まなかった例がある。だからこそ、ここで止まるのか、それとも“対戦相性の事故”に発展するのかが分かれ目です。
2024年の西武-ロッテは、近年で最も分かりやすい「一方的な相性」だった
近年でいちばん分かりやすいのは、2024年の西武とロッテです。NPBの2024年パ・リーグ勝敗表では、西武の対ロッテ成績は4勝21敗。逆にロッテ側から見ると21勝4敗でした。25試合やって、21敗。これはもう「苦手」というより、シーズンの一部がほぼ機能停止していたレベルです。
しかも、この年の西武はロッテ相手に開幕16連敗まで行きました。パ・リーグ.comは2024年12月の振り返り記事で、これが同一カードの開幕連敗プロ野球新記録だったと整理しています。8月1日の時点で14連敗となり、その時点で1965年サンケイの13連敗を上回るNPBワーストを更新。その後さらに16連敗まで伸びました。
ここが恐ろしいところです。4勝21敗という最終着地だけでも十分にひどいのに、途中経過がもっとひどい。開幕から一度も勝てないまま夏まで来ると、もう対戦カードそのものがチームにとって重荷になります。打線が沈黙する、投手が踏ん張れない、ちょっとしたミスで崩れる。そういう「相性の悪さ」が、数字以上にチームの空気を悪くしていきます。
「同一球団への連敗記録」はどこまで伸びたことがあるのか
同一球団への連敗には、いくつか見方があります。
ひとつは開幕から同じ相手に何連敗したか。
もうひとつは、年をまたいでも含めた同一対戦相手への通算連敗です。
開幕からの同一カード連敗で、いま一番分かりやすいNPB記録は、2024年西武のロッテ戦16連敗です。これは近年の公式系・報道系記事でも一貫して「プロ野球ワースト」として扱われています。
一方、もっと長いスパンで見ると、古い記録としては1955年から56年にかけて大洋が中日に26連敗、同一シーズン内では1955年に19連敗という整理もあります。こちらは歴代記録の一覧系でよく参照される数字で、いかに昔の弱いチームが特定相手に徹底的にやられていたかが分かります。
要するに、2026年日本ハムの対ソフトバンク5連敗はもちろん嫌ですが、歴史の中ではまだ入口です。問題は、ここから10、12、15と伸びた時に、いよいよ“記録の話”になってしまうことです。
1年の勝敗の最悪はどれくらいなのか
ここで話をシーズン全体に広げると、さらにスケールが変わります。NPB公式の年度別成績で見ると、シーズン最多敗戦は1961年近鉄の103敗です。成績は36勝103敗1分、勝率.261。いまの感覚でも十分に異常ですが、これは今もNPBで唯一の100敗到達です。
ただし、勝率の濃さで言えば1955年大洋もかなり重いです。NPB公式では31勝99敗、勝率.238。103敗には届いていませんが、試合数が130なので、負けの密度はむしろこちらのほうが悪い。言い換えると、シーズンの最悪を考える時は、単純な敗戦数だけでなく勝率も見ないと少しズレます。
最近の例で言えば、2024年西武は49勝91敗3分、勝率.350で球団ワースト級の低迷でした。パ・リーグ.comもこの年を「91敗は球団最多」と整理しています。つまり、現代プロ野球では100敗まではなかなか行かなくても、90敗台に乗るだけで十分に“歴史級の弱さ”になります。
同一相手に負け続けると、シーズン全体にどう効くのか
ここがこの記事のいちばん大事なところです。
同一相手への連敗は、ただのその相手との相性話で終わらないことがあります。
2024年西武が分かりやすいですが、ロッテ戦で4勝21敗ということは、その25試合だけで借金17です。シーズン全体の借金は42でしたから、借金のかなり大きな部分をロッテ戦だけで作っていたことになります。こうなると、どれだけ他カードで踏ん張っても追いつきません。
逆に言えば、日本ハムも2026年の段階ではまだ引き返せます。対ソフトバンク5連敗は痛いですが、25試合制のうち5試合を落とした段階にすぎない。ここで7勝8敗、あるいは8勝7敗くらいまで戻せるなら、単なる“序盤の偏り”で済みます。問題は、このまま2勝10敗、3勝14敗みたいな形になることです。そうなると、一気に2024年西武-ロッテの系統に近づいていきます。
歴史的に見ると、「最悪な相性」はだいたい弱いチーム側に起きる
当たり前と言えば当たり前ですが、同一相手に歴史級に負けるケースは、たいていその年のチーム自体がかなり弱いです。2024年西武は49勝91敗3分で最下位。1961年近鉄は36勝103敗1分。1955年大洋は31勝99敗。つまり、相性の悪さは単独事故というより、チーム全体の弱さが特定カードに濃く出た結果として現れやすいです。
だから日本ハムの2026年対ソフトバンク5連敗を歴史級の話にするには、まだ早いです。むしろ今は、「ここから持ち直せるか」を見る段階です。もし最終的に対ソフトバンクが8勝17敗とかに落ち着けば、嫌な相性で済む。4勝21敗級まで行って初めて、“歴史の並び”に顔を出します。
結論。日本ハムの5連敗はまだ入口、だが西武-ロッテ級まで行くと一気に歴史になる
結論です。
同一球団に連敗した記録はどれくらいか。
そして1年の勝敗の最悪はどれくらいか。
答えをかなり雑にまとめると、5連敗はまだ普通にある、10連敗でかなり危険、14連敗を超えると歴史級です。2024年西武のロッテ戦は開幕16連敗、最終的に4勝21敗で、近年の“最悪な相性”の代表例になりました。一方、シーズン全体の最悪クラスは1961年近鉄の36勝103敗1分、1955年大洋の31勝99敗で、こちらはもう球団相性の話を超えてチーム史そのものが壊れている水準です。
だから2026年日本ハムの対ソフトバンク5連敗は、たしかに不穏です。ですが、まだ歴史ではありません。歴史になるのは、ここから止まらなかった時です。西武-ロッテの2024年がそうだったように、同じ相手に負け続けることは、ただの苦手ではなく、シーズン全体を沈める穴になりうる。そこがこの話のいちばん怖いところです。

