移籍後の古巣との対戦は成績どうなる? 過去の主要な移籍先発投手の成績を見てみる

野球オカルト

プロ野球で移籍選手の初対戦が決まると、だいたいこう言われます。
「古巣相手だから燃える」
「逆に知り尽くされてるから厳しい」
どっちやねん、という話です。

結論から言うと、移籍後の古巣戦に一律の傾向はありません。 圧倒する投手もいれば、妙に打ち込まれる投手もいる。しかも面白いのは、初戦は微妙でも、回数を重ねると普通に戻っていく例が多いことです。要するに、古巣戦はドラマとしては盛り上がるけれど、数字で見ると「絶対に強くなる」「絶対に弱くなる」と言えるほど単純ではありません。[1][2][3][4][5][6][7][8]

まず、古巣戦で本当に起こりやすいこと

古巣戦で起こりやすいのは、能力の急変というより感情と情報のせめぎ合いです。投手側は相手打線の特徴を知っているし、打者側も投手の球筋や配球傾向をある程度知っている。しかも初対戦では、本人も周囲も必要以上に意識しやすい。結果として、すごく良い方向にも、すごく悪い方向にも振れやすいです。[6][7]

だから古巣戦は、1試合単位では派手でも、長い目で見ると結局はその投手の実力や、その年のチーム状況に寄っていくことが多いです。ここを過去の先発投手で見ると、かなり分かりやすいです。[1][2][3][4][5][6][7][8]

西勇輝は「最初苦戦、あとで回収」型だった

分かりやすいのが西勇輝です。阪神移籍後、2023年6月の時点で日刊スポーツは、西が古巣オリックス戦に過去2試合登板し、2019年は7回1/3を5失点で敗戦、2021年は7回2失点で勝敗なしと紹介していました。つまり、最初の2戦は勝てていなかったわけです。[1]

ところが2023年6月14日、その西がオリックス相手に6回2失点で勝利し、12球団勝利を達成しました。さらに2024年6月13日には、京セラドームで古巣オリックス相手に114球6安打で完封勝利。日刊スポーツはこの試合前まで、阪神移籍後の京セラドーム登板は8試合で1勝5敗だったと伝えていましたが、その不振を完封でひっくり返した形です。[2][3]

西のケースが示しているのは、古巣戦は「ずっと苦手」でも「ずっと得意」でもなく、時間差で収束することがあるということです。最初はうまくいかなくても、対戦回数が増えると単なる1カードに近づいていく。かなりそれっぽい例です。[1][2][3]

岸孝之は古巣相手でもかなり普通に強い

逆に、古巣相手でもわりと普通に抑えているタイプが岸孝之です。楽天移籍後の岸は、西武戦で2024年に4試合1勝2敗、防御率2.45、2025年も5試合1勝2敗、防御率3.77でした。勝敗だけ見ると派手ではありませんが、防御率ベースではそこまで崩れていません。[4][5]

しかも2024年7月13日には、古巣・西武相手に楽天モバイルで完封勝利。日刊スポーツもこの試合を、通算2500投球回達成を古巣戦で飾った節目の登板として報じています。要するに岸は、古巣戦だから特別に苦しむというより、普通に試合を作って、その中で好投もしているタイプです。[6]

こういう投手を見ると、「古巣だから不利」という定説もあまり当てになりません。むしろベテランで引き出しが多い投手ほど、古巣戦でも結局は自分の投球に戻していける感じがあります。[4][5][6]

美馬学は「最初かなり苦しんだ」側の代表例

一方で、古巣にかなり苦しんだ例としては美馬学が分かりやすいです。ロッテ移籍後、2020年8月25日の時点で日刊スポーツは、美馬の楽天戦について前回まで0勝1敗、防御率9.00と伝えていました。実際、その試合でも6回8安打4失点と楽ではなく、ようやく楽天相手に移籍後初勝利を手にした、という流れでした。[7]

これはかなり“古巣戦あるある”っぽいです。相手打線を知っているはずなのに、相手もこちらを知っている。しかも元チームメートだった打者は、球筋や配球のクセを肌感覚で知っている。そのせいか、美馬の楽天戦は少なくとも序盤はかなりしんどかった。[7]

なので、古巣戦は必ずしも「燃えるからプラス」ではありません。知っている相手だからこそ打たれるという、地味に嫌なパターンも普通に起こります。美馬はその代表例として挙げやすいです。[7]

涌井秀章は、長い目で見ると“意外と普通”だった

さらに面白いのが涌井秀章です。涌井は西武からロッテ、楽天、中日と渡ってきたので、古巣戦のサンプルがかなり多い。Full-Countは2023年6月時点で、涌井の西武戦通算成績を11勝18敗、防御率4.00と紹介していました。[8]

これ、すごく象徴的です。涌井ほどの実績がある投手でも、古巣戦だから圧倒しているわけではない。逆にめちゃくちゃ苦手というほどでもない。つまり、回数を重ねると「古巣」という物語性より、ただの対戦成績に近づいていくんです。[8]

古巣戦というと、ついドラマチックな結果を期待しがちですが、長期で見るとこういう“普通さ”に落ち着くケースも多い。これはかなり重要だと思います。[8]

山﨑福也は「初戦は力み、2戦目で修正」型だった

新しめの例だと山﨑福也も面白いです。日本ハム移籍後、2024年5月21日の古巣オリックス戦が初対戦でしたが、日刊スポーツによると5回1/3で今季ワーストの4失点。それでも打線の援護を受けて勝利し、本人も「力みましたね」と振り返っていました。[9]

ところが同年7月31日の再戦では、スポーツナビ掲載のパ・リーグインサイト記事で6回5安打1失点。かなりきれいに修正しています。つまり山﨑のケースも、初戦は古巣を意識して崩れ気味、でも2戦目ではだいぶ普通に戻ったと言えます。[9][10]

この流れはかなり示唆的です。古巣戦で影響が出るとしても、それは永続的というより、最初の1回か2回に濃く出るだけ、という見方がしっくりきます。[9][10]

結局、古巣戦で成績は上がるのか下がるのか

ここまでの例をざっくり並べると、かなりバラバラです。

  • 西勇輝:最初は苦戦、あとから勝てるようになった[1][2][3]
  • 岸孝之:古巣相手でもだいたい普通に試合を作る[4][5][6]
  • 美馬学:移籍直後はかなり苦しんだ[7]
  • 涌井秀章:長期では“普通の対戦成績”に近い[8]
  • 山﨑福也:初戦は力み、次で修正[9][10]

つまり、「移籍後の古巣戦はこうなる」という共通ルールはほぼないです。あるのはせいぜい、初戦はちょっと特殊になりやすい、ということくらい。時間がたつと、結局はその投手の地力と、その年のチーム状態に引っ張られていきます。[1][2][3][4][5][6][7][8][9][10]

結論。古巣戦は“最初だけ特別”、長く見ると普通に戻る

結論です。移籍後の古巣との対戦で成績はどうなるのか。
答えは、最初は特別、でもずっとは続かないです。

古巣相手の初登板は、どうしても意識が入るし、相手もこちらをよく知っています。だから西勇輝や美馬学、山﨑福也のように、初戦で苦戦したり、内容が不安定になったりすることは普通にあります。ですが、何度か当たるうちに、岸孝之や涌井秀章のように、成績はだんだん“その投手らしい数字”へ寄っていくことが多い。[1][4][7][8][9][10]

要するに、古巣戦はドラマとしてはかなり面白い。
でも数字の世界では、ずっと特別なカードであり続けるわけではない。
最初の数試合は感情、長く見れば実力。
これが、過去の主要な移籍先発投手を見た時のいちばん自然な結論だと思います。

参考文献・出典

  1. 日刊スポーツ「阪神西勇輝、古巣オリックス戦先発 12球団勝利なるか」
  2. BASEBALL KING「阪神がオリックスに快勝 西勇輝6回2失点で4勝目&古巣斬りで12球団勝利達成」
  3. 日刊スポーツ「阪神西勇輝が古巣オリックス相手に京セラドーム大阪で通算40勝達成」
  4. プロ野球ヌルデータ置き場f3 2024年度版 楽天・岸孝之 投手成績
  5. プロ野球ヌルデータ置き場f3 2025年度版 楽天・岸孝之 投手成績
  6. 日刊スポーツ「楽天岸孝之、史上48人目の通算2500投球回 古巣の西武戦で達成」
  7. 日刊スポーツ「ロッテ美馬が古巣楽天から初勝利」
  8. Full-Count「涌井の西武との対戦成績は11勝18敗、防御率4.00」
  9. 日刊スポーツ「日本ハム山崎福也リーグ単独トップ5勝! 古巣に初登板」
  10. スポーツナビ/パ・リーグインサイト「山崎福也が6回5安打1失点で7勝目」
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