野球ファンが自チームを嘆く時、だいたい語彙は3つに集約されます。
「貧打」、「投壊」、「守乱」。
じゃあこの3つ、どれが一番やばいのか。感覚では人それぞれですが、歴史を見ていくとわりとはっきり傾向があります。[1][2]
結論から言うと、一番やばいのは投壊です。優勝争いの条件として投手力はほぼ必須で、パ・リーグ.comやFull-Countの分析でも、近年10年の優勝20チームのうち、2015年ヤクルトを除く19チームがリーグ防御率1位か2位でした。逆に言えば、投壊したまま優勝するのはかなり難しい。一方で、一番マシなのは守乱です。2025年のソフトバンクはパ・リーグ優勝を決めた一方で、チーム守備率.985、失策77でリーグ最下位でした。守備が荒れていても、打って投げられれば勝てる余地は残ります。[1][2][4][8][9][10]
ただし、ここでややこしいのが貧打です。貧打は投壊ほど即死ではないけれど、最下位に沈むには十分すぎる破壊力があります。2024年の中日はチーム防御率2.99、失策68でどちらもリーグ下位壊滅レベルではなかったのに、得点373で最下位。2024年の西武も防御率2.99でパ2位相当、失策72で平均圏なのに、打率.212、得点350で最下位でした。つまり、優勝の条件としては投手力が最優先、最下位回避という意味では貧打もかなり危険というのが、歴史を見た時の答えに近いです。[11][12][13][14][15][16][17][18]
まず「優勝チーム」は何を持っているのか
優勝チームの共通点を探すなら、いちばん分かりやすいのは投手成績です。パ・リーグ.comとFull-Countはともに、近年10年・20チームの優勝チームのうち、2015年ヤクルトを除く19チームが防御率1位または2位だったと紹介しています。要するに、優勝チームはほぼ必ず投手が強い。これはかなり重い事実です。[1][2]
実際、2025年の優勝チームもかなり分かりやすいです。セ・リーグ優勝の阪神は85勝54敗4分で、防御率2.21がリーグ1位。パ・リーグ優勝のソフトバンクは87勝52敗4分で、防御率2.39がリーグ1位でした。両リーグとも、結局は失点を最も抑えたチームが勝っています。[4][6][9]
ここから見えるのは、投壊は優勝争いにほぼ耐えないということです。打線が多少弱くても、守備が少し怪しくても、投手力が圧倒していれば何とかなる。でも投手が壊れると、毎試合失点が積み上がり、チーム全体の修正コストが一気に跳ね上がる。優勝を狙ううえで一番致命的なのは、まずここです。[1][2]
貧打でも優勝はできるのか
できます。しかも、かなり象徴的な例があります。2011年の中日です。NPB公式の球団年度別成績では、2011年中日は75勝59敗10分でリーグ優勝。その一方で、チーム打率は.228、チーム防御率は2.46でした。打率.228はかなりしんどい数字ですが、それでも優勝している。つまり、極端な貧打でも、投手力が飛び抜けていれば優勝は可能ということです。[3]
落合博満本人も、この2011年について「12球団最低打率.228で優勝した」と振り返っています。言い換えると、貧打はもちろん危険ですが、投手と守備でかなり補填できる欠点でもあります。だから「優勝するには打たなきゃ無理」と言い切るのも少し雑です。実際には、打てなくても守り切れば勝てる年はあります。[3][19]
守乱でも優勝はできるのか
これも、できます。しかも割と最近の例で起きています。2025年のソフトバンクはパ・リーグ優勝チームですが、守備成績は守備率.985、失策77でリーグ最下位でした。それでも87勝52敗4分、防御率2.39、得点551でリーグ制覇です。つまり、守乱はかなり目立つ欠点だけど、勝てなくなる決定打とは限らないわけです。[4][8][9][10]
もちろん、守備の数字は失策だけでは測れません。範囲の広さや打球処理まで考えればもっと複雑です。ただ、少なくともファンが言う「守乱」のような見た目の荒れ方は、投手力と打力が十分なら上から押し切れてしまうことがある。ここは、投壊や貧打との大きな違いです。[10][20]
じゃあ最下位チームは何で沈んでいるのか
ここは少し面白くて、最下位チームには2つの落ち方があります。
ひとつは、投壊でそのまま沈むタイプ。
もうひとつは、打てなさすぎて沈むタイプです。[4][5][6][8][9]
投壊型の分かりやすい例は2025年です。セ・リーグ最下位のヤクルトは57勝79敗7分で、防御率3.59がリーグ最下位。パ・リーグ最下位のロッテは56勝84敗3分で、防御率3.60がリーグ最下位でした。この年は両リーグとも、いちばん失点を止められなかったチームが最下位に沈んでいます。投壊の破壊力がいちばん素直に出た年と言っていいです。[4][6][9]
一方で、貧打型の分かりやすい例は2024年です。セ・リーグ最下位の中日は60勝75敗8分で、防御率2.99はリーグ4位、失策68はリーグ3位相当でした。それでも得点373、打率.243で最下位。さらにパ・リーグ最下位の西武は49勝91敗3分、防御率2.99でリーグ2位相当、失策72で平均圏でしたが、打率.212、得点350で沈みました。つまり、投手が持っていても、打てなさすぎると普通に最下位になるということです。[11][12][13][14][15][16][17][18]
歴史から見ると、どれが一番マシなのか
ここまでを整理すると、かなりはっきりします。
一番マシなのは守乱です。守備が荒れても、投手力と打力が強ければ優勝できる。2025年ソフトバンクがほぼその実例です。守乱は見た目のストレスが大きいので最悪に感じやすいですが、歴史的にはまだ補修可能な欠点です。[4][8][9][10]
次に危ないのが貧打です。貧打でも2011年中日のように優勝できる年はありますが、それは投手力がリーグ最上位であることが前提です。そこまで強い投手陣がなければ、2024年中日や2024年西武のように、そのまま下へ沈みます。つまり貧打は、条件が揃えば耐えられるけれど、条件が足りないとかなり危険です。[3][11][12][15][16]
一番やばいのは投壊です。優勝チームの大半が防御率1位か2位という傾向はかなり強く、2025年の両リーグ最下位もそろって防御率最下位でした。打線は波があっても、守備はある程度修正できても、投壊は毎試合の失点として直接効いてくる。しかも失点が増えると、打線に常時多得点を要求し、守備ミスもさらに目立ちます。要するに投壊は、他の欠点まで連鎖的に悪化させやすいのが本当に厄介です。[1][2][4][6][9]
結論。優勝を狙うなら投壊が最悪、最下位を避けるなら貧打もかなり危険
結論です。
この3つを総合して順位をつけるなら、一番やばいのは投壊、いちばんマシなのは守乱です。貧打はその中間ですが、思っている以上に危険です。[1][2][4]
優勝チームの歴史だけを見るなら、答えはかなり単純です。投壊したチームはほぼ優勝できない。一方で、貧打でも2011年中日のように勝てるし、守乱でも2025年ソフトバンクのように押し切れることがあります。つまり優勝争いの観点では、投壊が断トツで最悪です。[1][2][3][4]
ただ、最下位回避まで視野を広げると少しだけ話が変わります。2024年中日や2024年西武のように、投手がそこそこ良くても、打てなさすぎると普通に最下位になるからです。だからファン目線で言えば、「投壊は一番やばい。でも貧打も全然笑えない。守乱はまだマシ」という並びが、一番しっくり来ると思います。[11][12][13][15][16][17][18]
参考文献・出典
- パ・リーグ.com「『ベスト』と『ワースト』ともに驚愕の結果。歴代優勝チームの防御率は?」
- Full-Count「歴代優勝球団の防御率は?」
- NPB.jp 中日ドラゴンズ年度別成績
- NPB.jp 2025年度 公式戦成績
- NPB.jp 2025年度 セ・リーグ チーム打撃成績
- NPB.jp 2025年度 セ・リーグ チーム投手成績
- NPB.jp 2025年度 セ・リーグ チーム守備成績
- NPB.jp 2025年度 パ・リーグ チーム打撃成績
- NPB.jp 2025年度 パ・リーグ チーム投手成績
- NPB.jp 2025年度 パ・リーグ チーム守備成績
- NPB.jp 2024年度 セ・リーグ チーム勝敗表
- NPB.jp 2024年度 セ・リーグ チーム打撃成績
- NPB.jp 2024年度 セ・リーグ チーム投手成績
- NPB.jp 2024年度 セ・リーグ チーム守備成績
- NPB.jp 2024年度 パ・リーグ チーム勝敗表
- NPB.jp 2024年度 パ・リーグ チーム打撃成績
- NPB.jp 2024年度 パ・リーグ チーム投手成績
- NPB.jp 2024年度 パ・リーグ チーム守備成績
- スポニチ「落合博満氏 2011年のチーム打率.228での優勝を振り返る」
- 1.02 Essence of Baseball「守備の目的と評価の考え方」


