要旨:千葉ロッテマリーンズが2021年に掲げた中期計画「VISION 2025」は、令和の常勝軍団を標榜し、チームブランド強化・地域連携・日本一の達成を柱にした球団ビジョンだった。だが2025年の一軍は最終盤まで最下位に沈み、目標未達のまま計画期を終えた。一方で、西川史礁や寺地隆成ら若手に“次期プラン”へつながる芽も確認された。ここでは①ビジョンの趣旨、②今年の戦績と何が足りなかったか、③若手の伸長と来季への示唆を整理する。
1.「VISION 2025」の中身——“令和の常勝軍団”をつくる
- コアメッセージ:「新たな常勝軍団に」「新たなスポーツエンタメの創造」「チームブランドの強化」「地域提携の強化」を掲げ、2025年までに日本一を狙う中期構想。
- ねらい:短期の順位だけでなく、体験価値とブランド価値を同時に高める総合ビジョン(フロント主体の“球団計画”)。:
“自他ともに認める、令和の常勝軍団に。”(球団ビジョンより要約)球団コーポレートサイト「VISION 2025」
2.2025年の結果——数字が語る「圧倒的最下位」
9月27日時点の順位表では、ロッテは55勝80敗3分(勝率.407)で6位。得失点でも大きくマイナスを背負い、対パ6球団すべてに負け越しという厳しい最終盤を迎えた。
- 順位・成績:パ・リーグ6位、55-80-3(9/27時点)。打率.241、防御率3.63(スポナビ集計)。
- 月別の失速:夏場以降に打線の長打・出塁が細り、接戦を拾えず。カード別に見ても“連敗阻止”が効かない局面が多かった(試合結果一覧より)。
- 構想とのギャップ:“常勝”どころか、競争力の下振れが長期化。中長期ビジョン自体は妥当でも、一軍の戦力最適化・勝ちパ固定化が追いつかなかったのが実態だ。
補足:フジ系列の年始特集も「VISION 2025は2025年までに日本一を」と明言していたが、現実は程遠い着地となった。
3.それでも“兆し”は見えた——西川史礁と寺地隆成
西川 史礁(外野)——1年目からレギュラー級の出場と打撃指標
- 出場・打撃:2025年は102〜103試合、打率.282〜.284、本塁打3、打点37前後。二塁打27、三振82。長打率.388〜.389、出塁率.319〜.321と基礎指標は合格点。
- 評価:球場特性(海風・広い外野)下でギャップ二塁打を量産。選球とゾーン管理が安定すれば、2番or3番の土台に
寺地 隆成(捕手)——高卒2年目で一軍定着、打てる捕手像に前進
- 出場・打撃:2025年は111試合、打率.258、本塁打5、打点33。出塁率.302/長打率.333。高卒捕手としては上出来のスピード感で一軍に根付いた。
- 評価:リード・肩は伸びしろ段階でも、打撃ツールは既に戦力。将来的に左右病を減らす打席設計と、走者時のクイック/ブロッキング改善が鍵。
メディアでも「最下位でも未来は明るい」との論調が出はじめ、若手群の台頭が来季の復権ストーリーの核になる、という期待が高い。
4.なぜ勝てなかったか——“数字”から逆算する3つの論点
- ① 長打と出塁の同時目減り:夏以降、OPSが伸びず“あと一本”が出ない試合が連続。得点効率(R/HR、ISO×BB%のバランス)が低位に。※チーム打撃は順位表掲載の総量指標からも停滞が窺える。
- ② 勝ちパ構築の遅れ:接戦の終盤でビハインド拡大・逆転許容が散発。救援の固定と役割分担に時間を要した。
- ③ 直接対決の星勘定:上位3球団(SB/日本ハム/オリックス)への負け越しが致命的に。カード初戦を落とすと連敗が伸びる“形”にはまりやすかった。
まとめ:計画は正しく、結果が追いつかなかった——“芽”を育て直す一年に
「VISION 2025」は、球団が何を目指すかを明確化した意義深い計画だった。だが2025年のトップチームは、得点力と終盤力の欠乏で最下位に沈んだのも事実。西川史礁(.28台の打率)と寺地隆成(打てる捕手像)は、“次”を作るリアルな材料である。ここを核に、出塁×長打×勝ちパの3点を制度設計で固め直せば、“ポストVISION”の再出発は十分に間に合う。
出典:球団コーポレート「VISION 2025」/年始特集(FNN)/NPB公式・スポナビ順位表・試合結果/選手個人成績(NPB/スポナビ/PL公式)/論評記事。公開基準日:2025-09-28(JST)。:contentReference[oaicite:18]{index=18} ::contentReference[oaicite:19]{index=19}
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