MLBやNPBのシーズンが終わると「もう野球ないの…?」という気分になりますよね。でも実は、オフシーズンこそ野球が一番“濃い”季節です。
10月〜1月にかけては、カリブ海エリアや中南米、さらに台湾・オーストラリアでもプロの公式リーグが動いています。この冬のリーグは「ウィンターリーグ」「ウインターリーグ」と呼ばれ、若い有望株・ケガ明けの選手・メジャーの控え・ベテラン復活狙いの選手など、いろんな事情を抱えた選手が集まる場になっています。
この記事では、代表的な冬リーグをまるっと紹介します。スケジュール感、どんな選手が出るか、何が面白いのか。視聴方法(配信サービスなど)は別の記事でまとめているので、そちらを内部リンクでチェックしてください。
1. ドミニカ共和国・LIDOM(リドム)正式名:リーガ・デ・ベイスボル・プロフェシオナル・デ・ラ・レプブリカ・ドミニカーナ
冬の野球といえば、まずドミニカ。ドミニカ共和国のプロリーグ「LIDOM」はウィンターリーグの代名詞的存在で、毎年10月中旬に開幕し、12月下旬までレギュラーシーズン、1月にかけてプレーオフという流れで進みます。
2025-26シーズンも10月15日に開幕し、6球団(アギラス・シバエーニャス/ティグレス・デル・リセイ/レオネス・デル・エスコヒード/エストレージャス・オリエンタレス/トロス・デル・エステ/ヒガンテス・デル・シバオ)が、約50試合のレギュラーシーズンを戦います。
特徴は「ガチ度が高い」こと。
・球場は満員で鳴り物・太鼓・爆音の応援
・MLB経験者や現役メジャーリーガーのベンチ入りも珍しくない
・若手トッププロスペクトが“来年メジャー呼ばれる準備”として実戦を積む
という、本気モードの真剣勝負です。ドミニカはMLB最大の人材供給国のひとつなので、スカウトの数も桁違いです。
プレーオフ形式も独特で、上位4球団が年末〜年明けにかけて再び総当たりのラウンドロビン(総当たりリーグ戦)を行い、そこで上位に残った2チームが最後に直接対決(ベスト・オブ・7〜9形式)で優勝を争います。優勝チームは「カリビアン・シリーズ(カリブ海シリーズ)」と呼ばれる地域王者決定戦に進み、他国リーグのチャンピオンと激突します。
まとめると、LIDOMは
「メジャー直結のハイレベル×お祭り騒ぎの熱量」
これが同居する“冬の本丸”です。ドミニカの優勝クラブはそのままカリビアン・シリーズで国の代表になるので、国民的プライドもとんでもなく高いです。
2. プエルトリコ・LBPRC(ロベルト・クレメンテ・プロ野球リーグ)
プエルトリコのウィンターリーグは「LBPRC」。レジェンドであるロベルト・クレメンテの名を冠したリーグで、1938年から続く歴史あるプロリーグです。
開幕は毎年11月上旬。2025-26シーズンも11月7日に開幕カード(サン・フアン vs マヤグエス)が組まれています。参加は6球団で、12月末までリーグ戦、その後プレーオフ、そして1月には優勝チームがカリビアン・シリーズに出場という流れはドミニカに近いです。
LBPRCの魅力は「育成と復活のステージ」という側面。
・MLBやマイナーでケガした選手の“実戦リハビリ”
・NPB/MLB候補の若手が打席数・投球回を稼ぐ場
・地元レジェンド級ベテランがまだ普通にプレーしている
など、バラエティがすごい。プレーの質とストーリー性が強いリーグです。
プエルトリコは過去にも、メジャーのスター候補たちが若い頃にここで打席経験を積んで飛躍した歴史があり、いまもスカウトの注目度は高め。球場も比較的アクセスしやすい都市部にあるので、現地観戦のハードルは比較的低いと言われています。
3. メキシコ太平洋リーグ(LMP)
メキシコのウィンターリーグは「LMP(Liga Mexicana del Pacífico/メキシコ太平洋リーグ)」と呼ばれ、メキシコ北西部の太平洋沿いの都市を拠点に10球団が参加するリーグです。
このリーグも10月中旬に開幕し、12月末までフル稼働。年明けにプレーオフが走り、優勝チームはやはりカリビアン・シリーズへ。カリブ圏のウィンターリーグは基本的に同じカレンダーで動いていて、最終的に各国王者が1月の「カリビアン・シリーズ」で国対抗戦になるイメージです。
LMPの特徴は「打撃戦の花火」と「地域密着」。観客がものすごく近い距離感で、メジャー経験者やメキシコ代表クラスの打者がフルスイングしてくるので、点が一気に動くことが多いリーグとして知られています。
メジャーやWBCで名前を聞いたメキシコ人選手が普通に出ていたりするので、「あ、この人まだ全然打ってる(投げてる)んだ…!」という再会が楽しめるのも大きいポイントです。
4. ベネズエラ・LVBP/ベネズエラ・プロ野球リーグ
ベネズエラにもウィンターリーグがあり、一般的には「LVBP(Liga Venezolana de Béisbol Profesional)」と呼ばれます。開幕は10月中旬で、12月末までペナント、1月にプレーオフ。そして優勝チームはやっぱりカリビアン・シリーズへ参加します。
ベネズエラは内野手・打者の名産地として有名で、メジャーリーガーの大物OBやトッププロスペクトが出場することも多く、「あのスターが普通に現地で打席入ってる!?」というサプライズも起こりやすいリーグです。
政治・経済の事情で一時はリーグ運営が難しい時期もありましたが、それでも“野球は国民的スポーツ”という熱はまったく冷めておらず、スタンドの情熱はドミニカと並ぶレベルです。
5. カリビアン・シリーズ(Caribbean Series)とは?
ここまで紹介したドミニカ・プエルトリコ・メキシコ・ベネズエラ(最近はコロンビアやパナマなども加わる年があります)が、各リーグの優勝チームを代表として送り込み、「どの国のチャンピオンが一番強いのか」を1月〜2月頭に決めるトーナメントが、カリビアン・シリーズです。
2026年の開催地はベネズエラ予定と報じられていて、1月中旬(例:2026年1月12日スタート予定)から各国王者が一堂に会します。まさに“カリブ海の冬のクラシック”。
この大会はMLB的にも重要で、短期決戦のプレッシャー下でどの若手が使えるか、どの投手が修正してきたかを一気にチェックできる場になっています。スカウト・GM・メディアが総集合し、「ここからメジャー昇格」という選手も毎年出ます。
6. アジア圏の“冬野球”もある:アジア・ウィンター・ベースボール・リーグ(台湾)
カリブだけじゃありません。アジア側でも冬の公式リーグが存在します。それが台湾開催の「アジア・ウィンター・ベースボール・リーグ(Asia Winter Baseball League)」。このリーグは台湾プロ野球(CPBL)がホストとなり、NPBの若手、韓国KBOの若手、社会人/独立リーグ勢、さらにはメジャー機構のスカウト対象選手などを集めて、11月〜12月にかけて行われます。
目的は「育成と査定」。
・1年通して出場機会が限られた選手に“ガチの実戦”を追加で与える
・他国のスタイルに触れさせて成長させる
・スカウトがまとめてチェックできる場を用意する
といった役割を担っています。実際、各国リーグやMLB系スカウトが大量に視察し、「冬リーグで評価を上げて契約を掴む」というケースも珍しくありません。
カリブ系リーグよりはエンタメ全振りではなく、どちらかというと「次のチャンスを取りにくる若手の公開オーディション」に近い雰囲気。選手の人生がダイレクトに動くので、見ているとドラマ性は高いです。
7. オーストラリア・ABL(Australian Baseball League)
南半球も忘れちゃいけないのがオーストラリアのABL(Australian Baseball League)。11月〜2月ごろにかけて行われるリーグで、現地のプロ選手に加えて、日本(NPB)、韓国(KBO)、台湾(CPBL)、そしてMLB組織の若手やマイナー選手が派遣されるケースが増えています。
2025-26シーズンに向けては、テキサス・レンジャーズ傘下の有望株を受け入れるなど、メジャー球団と強いパイプを持つクラブ(例:ブリスベン・バンディッツ)が話題になっています。つまりABLは「英語圏+温暖な気候」という安心感もあって、北米やアジアの若い才能が経験を積みに来る“もう一つの実戦場”として存在感が年々アップ中です。
8. まとめ:冬は「どこが一番熱い?」
・ドミニカ(LIDOM):最も“本気のプロ野球”感が強い。メジャー直結の濃さ、スタンドの熱狂ぶりは圧倒的。視聴方法の概要はこちら(https://ya9ha-jinse.com/?p=240)
・プエルトリコ(LBPRC):歴史とストーリー性。ケガ明け・若手・地元スターが同じグラウンドでプレーする「物語型リーグ」。
・メキシコ(LMP):点が動く派手な野球とローカル熱狂。WBCで見た選手にまた会える“再会の場”。
・ベネズエラ(LVBP):打者天国×スターOBも現役感覚で登場。熱量はドミニカ級。
・台湾(アジア・ウィンターリーグ):アジアと北米の若手が集まる育成&査定のショーケース。将来の輸出入市場を見るには最高。視聴方法の概要はこちら(https://ya9ha-jinse.com/?p=243)
・オーストラリア(ABL):南半球の夏に合わせて「英語圏×発掘枠」。北米・アジアの prospects が武者修行中。視聴方法はこちらでご確認ください(https://ya9ha-jinse.com/?p=272)。
結論として──MLBもNPBも休んでいる間、世界のどこかではプロの試合が普通に行われていて、そこには「次のスター候補」や「もう一度花を咲かせたいベテラン」が詰まっています。
オフシーズンは、来シーズンの“答え合わせの前フリ”が全部見える時期なんです。
各リーグの生中継/見逃し配信/日本語で追いやすいメディアまとめは、こちらの記事でどうぞ。



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