千葉ロッテがホセ・カスティーヨを獲得 “大谷キラー”と呼ばれる198cm大型左腕はどんな投手か?

動作分析

カスティーヨ獲得の概要

千葉ロッテは2025年12月1日、新外国人としてホセ・カスティーヨ投手(29)の獲得を正式発表しました。
ベネズエラ出身の左腕で、身長198cm・体重約114kgという迫力満点の体格。メジャー通算69試合登板、5勝5敗、防御率4.11の救援型投手です。

2025年シーズンはダイヤモンドバックス、メッツ、マリナーズ、オリオールズの4球団でリリーフとして29試合に登板し、2勝2敗、防御率3.94(32回、30奪三振)とまずまずの数字を残しました。

日本の報道では、ドジャース・大谷翔平との対戦で好印象を残したことから「大谷キラー」というラベルも付けられています(大谷との通算は3打数1安打)。

この記事では、そんなホセ・カスティーヨがどんな投手なのか、
経歴・スタッツ・球種の特徴を整理し、
ロッテ、そしてNPBでどの程度の活躍が期待できるのかを考えてみます。


プロフィールと経歴

  • 名前:ホセ・グレゴリオ・カスティーヨ・トバル(José Gregorio Castillo Tovar)
  • 生年月日:1996年1月10日(29歳)
  • 出身:ベネズエラ・カラボボ州バレンシア
  • 投打:左投左打
  • ポジション:リリーフ投手

マイナー~メジャーデビューまで

  • 2012年:レイズとアマチュアFA契約
  • 2014年:トレードでパドレスへ移籍
  • 2017年:WBCベネズエラ代表に選出
  • 2018年:サンディエゴ・パドレスでメジャーデビュー

2018年のルーキーイヤーは、
37試合登板・3勝3敗・防御率3.29、38回1/3で52奪三振と、
かなり優秀な成績を残し、「パワー系左のセットアッパー」として評価を上げました。

度重なるケガとトミー・ジョン手術

一方で、カスティーヨのキャリアはケガとの戦いでもあります。

  • 2019年:左腕の故障でわずか0回2/3のみ
  • 2021年:トミー・ジョン手術を受けシーズン全休
  • 2019〜2023年の4シーズンで、メジャー登板は合計2イニングにとどまる

本来なら有望株のままフェードアウトしてもおかしくない状況でしたが、
2024年以降はダイヤモンドバックス傘下などで再起を図り、2025年にメジャー復帰。

2025年は4球団を渡り歩く“流浪の左腕”

2025年シーズン、カスティーヨは
Dバックス → メッツ → マリナーズ → オリオールズと4球団を渡り歩きながら、合計32イニングで防御率3.94という数字を残しました。

度重なるDFAやウェーバー行きは、「マイナーオプションがなく、ロースター調整の対象になりやすい中堅リリーバー」の宿命とも言えます。
成績そのものは悪くなく、数字以上に“置き場所の問題”で動かされた投手という見方もできます。


メジャー通算成績と2025年スタッツ

メジャー通算(2018〜2019、2022〜2023、2025)

  • 試合:69
  • 勝敗:5勝5敗
  • 防御率:4.11
  • 投球回:72回1/3
  • 奪三振:85
  • WHIP:1.33
  • 先発登板:0(完全なリリーフ専業)

ルーキーイヤーの2018年が最もインパクトが強く、
3.29ERA・被打率.170台・奪三振率12.2/9と、
当時は「エリート左腕候補」としてかなり評価されていました。

2025年シーズン

  • 試合:29
  • 勝敗:2勝2敗
  • 防御率:3.94
  • 投球回:32回
  • 奪三振:30
  • WHIP:1.69

表面上の防御率は悪くない一方で、
被打率や出塁を示す指標はそこまで優秀ではなく、
**「ピンチは背負うが、なんとか踏ん張るタイプ」**という印象です。
Baseball Savantのデータでは、2025年の被打率が.310前後と高めで、被球速やバレル率などからも「球威はあるが、ゾーン内で勝負しがち」という傾向がうかがえます。


球種構成と投球スタイル

Statcast/ピッチデータから見たカスティーヨの球種構成は以下の通りです。

  • スライダー:使用率約44%(平均84mph=約135km/h)
  • シンカー:約39%(平均93mph=約150km/h)
  • フォーシーム:約15%(平均93mph前後=約150km/h)
  • チェンジアップ:数%(平均87mph=約140km/h)

メインは「シンカー+スライダー」の2ピッチ型

  1. シンカー(ツーシーム系)
    • 150km/h前後の速球で、左腕らしく腕の出どころが見づらいタイプ
    • ゴロを打たせる目的で右打者の内角に投げ込むことが多い
  2. スライダー
    • 130km/h台中盤で曲がりの大きいスライダー
    • 右打者には外角へ逃げるボール、左打者には膝元から曲げて空振りを狙う球として機能
  3. フォーシーム&チェンジアップ
    • 球数は少なく、配球のアクセント
    • 真っ直ぐを見せたうえで、シンカー・スライダーを生かす役割

全体としては、
「150km/h級シンカーと鋭いスライダーで勝負するパワー系左リリーフ」
というイメージで、NPBでも典型的なセットアッパー像にかなり近いタイプです。


「大谷キラー」の真相

日本の報道では、「大谷キラー」というキャッチーなフレーズがついていますが、
実際の対戦は2025年シーズンの3打席のみで1安打という小さなサンプルです。

  • 対戦そのものは悪くないものの、「完全封じ」というほどの数字ではない
  • 一方で、大谷級のスター打者に真っ向勝負できる球威とメンタルを示したことは事実

ブロガーやメディアの分析でも、
「数字としての“大谷キラー”というより、“ストーリーとしてのラベリング”に近い」と指摘されています。

とはいえ、
**「メジャーのトップクラス打者に物怖じせず投げ込める左腕」**という評価は、
ロッテにとっても大きな魅力と言えるでしょう。


ロッテ投手陣の中での役割予想

ロッテの補強ポイントとカスティーヨ

ロッテは今オフ、すでにメジャー通算162試合登板のサム・ロングを獲得しており、
**「左のリリーフ層の厚みを増す」**ことが明確な補強方針になっています。

報道によれば、
2025年のロッテ救援陣は防御率3点台後半で12球団ワーストクラスとされ、
ブルペン全体の立て直しが急務でした。

その中でカスティーヨは、

  • 7〜8回のセットアッパー候補
  • サウスポーとして、相手クリーンアップの左打者や強打者にぶつける「勝ちパ左腕」
  • ロングと併用しつつ、対戦打者や登板過多を見ながら運用

といった役割が想定されます。

ZOZOマリンとの相性

ZOZOマリンは言うまでもなくピッチャーズパーク寄り
メジャー時代のような打高環境のボールパーク(アリゾナ、ニューヨークなど)と比べると、
ホームランのリスクは相対的に下がります。

  • シンカーでゴロを打たせるタイプ
  • フライが出ても、マリンの広さと海風で多少助けられる可能性
  • 一発さえ減らせれば、メジャー時代以上に数字を整えやすい環境

という意味で、
球場との相性は悪くなさそうです。


課題:制球と健康リスク

もちろん不安要素もあります。

1. WHIPの高さと被打率

2025年のWHIPは1.69と高く、
被打率も3割前後と「走者を出しながら何とか抑えるタイプ」です。

  • NPBのストライクゾーンはMLBと微妙に異なり、
    「ギリギリを突く制球力」が要求される場面も多い
  • 日本の打者はコンタクト能力が高く、
    甘く入ったシンカーやスライダーは確実に捉えてくる

そのため、
**「ゾーンのどこで勝負するか」**というコマンドの質が、成功のカギになりそうです。

2. ケガ歴の多さ

  • トミー・ジョン手術歴あり
  • 2019〜2023年は、ほぼまともに投げられていない時期が続いた

2025年はシーズン通して投げ切ったものの、
NPBで年間50試合前後を期待するには
コンディショニングと登板間隔のマネジメントがかなり重要になります。


NPBで活躍できるのか?総合評価

ポジティブ要素

  • 150km/h級シンカー+鋭いスライダーという「MLB級」のコンビネーション
  • 大型左腕というだけで相手打者にプレッシャーを与えられる
  • 2018年の実績や2025年の復活から、
    「健康ならメジャー中堅リリーフとして通用するレベル」であることは確認済み
  • ZOZOマリンという投手有利球場との相性も悪くない

ネガティブ・リスク

  • ケガ歴が多く、シーズン通してフル稼働できるかは未知数
  • WHIPの高さからも分かるように、「走者を出しながら抑える」タイプで、
    日本的な“堅実さ”とは少しイメージが異なる
  • フィットに時間がかかると、
    「外国人リリーフの起用枠競争」の中で序列が下がるリスク

結論イメージ

  • うまくハマれば…
    → 7〜8回を任される「勝ちパ左腕」に育つ可能性あり
  • 平均ラインでも…
    → 左のワンポイント〜6〜7回のビハインドリリーフとして、
    年間40試合前後に投げる戦力にはなりうる
  • 最大の条件は「健康」と「四球・甘い球をどこまで減らせるか」

個人的なイメージとしては、
「2025年の内容を見る限り、NPBなら防御率2点台後半〜3点台前半を狙える素材。ただし稼働率に不安あり」
といった評価になります。

おまけ:カスティーヨ投手の投球を可視化してみた

例のごとく、基本的に可視化は限界があるので参考程度に。


参考文献・データソース

  • 千葉ロッテマリーンズ公式「カスティーヨ投手 入団について」
  • MLB.com「José Castillo Stats, Fantasy & News / Statcast, Visuals & Advanced Metrics」
  • Baseball-Reference / Baseball Almanac「José Castillo Pitching Stats」
  • 日本メディア各社の報道(スポニチ、デイリースポーツ、毎日新聞、Full-Count)
  • Reuters各記事「Mets acquire LHP Jose Castillo from Diamondbacks」「Mariners claim LHP Jose Castillo off waivers from Mets」
  • 個人ブログ「ロッテ新助っ人ホセ・カスティーヨとは?“大谷キラー”の真相と…」

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