ペルー出身の謎の剛腕ホルヘ・ロヨラとは? 経歴・特徴と今後の可能性

動作分析

NPBやMLBのファンの間で、ここ最近じわじわ名前が広がり始めているのが、ペルー出身の右腕ホルヘ・ロヨラ(Jorge Loyola Trujillano)です。
野球不毛の地と言われてきたペルーから現れた「最速級右腕」、さらに日本のウィンターリーグ(Japan Winter League=JWL)にも参戦予定ということで、日本のファンにも一気に身近な存在になりつつあります。

この記事では、ロヨラのこれまでの経歴や投手としての特徴を整理しつつ、ブラジルなどの日系選手の歩みとも重ねながら、「この先どんなキャリアがあり得るのか?」を考えてみます。


ロヨラの経歴①:ペルー・カヤオ生まれの“ビーチ発”野球少年

ロヨラはペルーの首都リマ近郊、野球が比較的盛んなカヤオ地区の出身とされています。 少年時代は多くの南米の子どもと同じくサッカーをしていましたが、リマのビーチでベネズエラ人移民が野球をしているのを見て一目ぼれし、9歳ごろから本格的に野球を始めました。

ペルー国内では、まず国立スポーツ機構(IPD)カヤオのプログラムで基礎を学び、その後カヤオの施設やAELU(在ペルー日系人が中心となるスポーツクラブ)に所属。ここでペルー代表クラスの選手として頭角を現し、早くも10代前半で世代別代表に選ばれています。

2015年、まだ13歳ながら「MLB球団が運営するアカデミーと契約した、初のペルー人選手」として地元メディアに取り上げられました。 当時からすでに、ペルー野球界の「希望の星」として扱われていたことがわかります。


ロヨラの経歴②:ドミニカ共和国のIPLで才能を磨く

その後、ロヨラはより高いレベルを求めてドミニカ共和国へ渡ります。2017年のドミニカ現地メディア『Diario Libre』は、当時14歳のロヨラをこう紹介しています。

  • ドミニカ共和国・サン・イシドロのアカデミーで、1日6時間のトレーニング
  • International Prospect League(IPL)に参加し、2019年の国際FA解禁(7月2日)クラスの有望株として注目
  • 右投げで、14歳時点でストレートは84〜88マイル(約135〜142km/h)を計測
  • 速球に加え、カーブや複数のブレイキングボールを投げるとスカウトが評価

この時点では「ペルー人初のMLBプレーヤーになる」という夢を語っており、スカウト陣も「将来ペルー野球を代表する存在になり得る」とコメントしています。


ロヨラの経歴③:ペルー代表の中核へ

2010年代後半以降、ロヨラは年代別からフル代表まで、ペルー代表の主力投手としてプレーしてきました。2015年にはすでに「ペルー代表の公式投手」として紹介され、MLB系アカデミーとの契約とあわせてニュースになっています。

その後も代表チームでの登板は続き、カリブ海カップなど国際大会での投球がBaseball-Referenceの代表チームページなどで確認できます(細かな投球成績は公開が限られています)。

2025年のU23パンアメリカ選手権(南米地区予選)では、WBSC Americasの公式リリースにおいて、ペルー代表の先発右腕としてロヨラの名前が明記されています。 さらに、ペルー野球連盟の元代表監督エルニス・アリアス氏はインタビューで、U23代表の将来を担う投手としてロヨラ、アンヘル・ゴンサレス、ブルーノ・メディナの3人を挙げ、「ペルー野球の未来を担う存在」と評価しています。


最新動向:Japan Winter League(JWL)への参戦と“168km/h”の衝撃

2025年11月〜12月に沖縄で開催されているJapan Winter League 2025では、公式Instagramやロースターページでロヨラが外国人投手として紹介されています。 日本のファンにとっては、初めて「生・ロヨラ」を見る絶好の機会となりました。

JWL関連のInstagramリールでは、「時速168km/hの球を投げる投手」としてロヨラを紹介する動画も投稿されています。 また、海外の野球アナリストやファンによるX(旧Twitter)の投稿では、

  • 「日本のウィンターリーグに参加しているペルーのジョルヘ・ロヨラ。U23W杯予選でペルー代表として投げた、同国史上最大の剛腕」
  • 「105マイル(約169km/h)を投げる」との噂を紹介するポスト

といった形で「160キロ後半クラスのストレートを持つ投手」としてバズっています。ただしこれらはあくまでSNSやプロモーション上の数字であり、公的なトラッキングデータやスカウトレポートで105マイル常時という裏付けがあるわけではありません。現時点では、潜在的な最速値として話題になっている、と理解するのが妥当でしょう。


球速・スタッツの現状整理

公開情報が限られている中で、ロヨラの球速・成績に関して信頼できる範囲で整理すると、だいたい次のようになります。

  • 14歳時(2017年):84〜88マイル(135〜142km/h)を計測。ドミニカのIPLで「年齢の割に球が速い右腕」として注目。
  • その後の自己申告・SNS発信:自身のSNSや動画では、ブルペンでの投球に「#100mph」「#mlb」「#fastball」といったハッシュタグを付けて発信しており、100マイル到達をアピール。
  • JWL公式プロモーション:「時速168km/hの球を投げる投手」として紹介され、160キロ台後半のポテンシャルが強調されている。

一方で、WBSCや各大会の公式サイトには、ロヨラのシーズン通算防御率や奪三振率など、詳細なスタッツはほとんど公開されていません。 そのため、現段階で「具体的な数字」を語るのは難しく、映像と球速情報から「球がとにかく速いパワータイプの右腕」であるというレベルにとどまります。


投手としての特徴をスカウト目線で整理

① ストレートの威力

14歳で135〜142km/hを計測していたこと、20代前半となった現在もSNSで100マイルを強調していること、そしてJWLで「168km/h」とプロモーションされていることから、純粋な球速の伸びしろはかなり大きい投手と考えられます。 実戦の平均球速は公表されていませんが、映像や各種報道から推測すると、常時150キロ台中盤、コンディションが良い時には160キロ近くというイメージが妥当でしょう(ここはあくまで推測です)。

② 多彩な変化球

Diario Libreの2017年の記事によると、ロヨラはストレートに加えてカーブや複数のブレイキングボールを持ち、すでに変化球のバリエーションを評価されていました。 ペルー代表では先発だけでなくリリーフでも起用されており、大会レベルで通用するだけの変化球とストライクゾーンへのアプローチは備えていると見られます。

③ 体格・フォーム

公式な身長・体重のデータは公表されていませんが、映像からは比較的長い手足と、勢いを前にぶつけるタイプのパワフルなフォームが印象的です。一部の日本のファンからは、「肘への負担が大きそう」とフォームを心配する声もあり、球速と引き換えにリスクも抱えたメカニクスである可能性があります(この点は今後のコーチング次第)。

④ メンタル・バックグラウンド

ペルーというマイナースポーツ国で野球を始め、その後ドミニカ共和国に渡ってトレーニングを続け、さらにペルー代表として南米やカリブの大会に挑戦、現在は日本のウィンターリーグにまで活躍の場を広げていることからも、環境を選ばずチャレンジし続けるメンタリティが最大の武器と言えます。


ペルー野球と日系コミュニティ――ロヨラはどんな文脈にいるのか

ペルーはサッカーのイメージが強い国ですが、実はおよそ100年にわたる野球の歴史があり、とくにリマやカヤオを中心にリーグ戦や代表チームの活動が続けられてきました。 元ペルー代表監督のエルニス・アリアス氏によると、

  • 長年、成年代表の中心は日系人選手(日本移民の子孫)が占めてきた
  • 近年は、ベネズエラに移住して野球を学び、再びペルーへ戻ってきた「ベネズエラ系ペルー人」も増加している
  • リマでは、AELUクラブなど日系コミュニティのインフラが野球普及に大きく貢献してきた

といった構図が語られています。

ロヨラ自身も、AELUクラブでプレーした経歴があり、ペルー野球の中で日系コミュニティの影響を受けた選手の一人と言えます。 ペルー野球は「日系」「ベネズエラ系」「現地ペルー人」の文化が混ざり合う独特の土壌を持っており、その中で生まれた剛腕が今や日本のファンからも注目されている、という構図はとても面白いところです。


ブラジルなどの日系選手との比較:南米発“周辺国ルート”の先例

南米から世界の野球シーンへ、という意味では、すでにブラジル野球が一歩先を走っています。ブラジルでは、100年以上前に日本人移民が野球を広めた歴史があり、日本人学校や日系クラブを中心に野球文化が根付いてきました。

その結果、日系ブラジル人を中心に多くの選手がNPBやMLBに進出しています。

NPB・MLBでプレーした主なブラジル(日系)選手

  • 玉木エンリケ重雄(広島〜楽天):日系3世で、ブラジル人初のNPB選手。中継ぎとして通算34勝を挙げ、日本で投手コーチも務めた。
  • 松元ユウイチ(ヤクルト):日本で活躍した日系ブラジル人打者で、ヤクルトのブラジルアカデミー出身選手たちの“先輩格”。
  • ラファエル・フェルナンデス/マイケ・マガリオ/松元ユウイチ:NPB Trackerによると、2011年時点でヤクルトには3人のブラジル選手が同時所属していた。
  • ヤン・ゴームズ:MLB初のブラジル出身メジャーリーガー。捕手としてオールスターにも選出。
  • ボー・タカハシ:日系ブラジル人投手。MLB(ダイヤモンドバックス傘下)やKBO、NPB西武でもプレーし、WBCブラジル代表にも選出。

ブラジルでは、ヤクルトアカデミーをはじめとした日本球団の育成拠点や、日系コミュニティのクラブが「南米→日本→世界」というキャリアパスをつくってきました。 ペルーはブラジルほどの選手数こそいないものの、AELUや日系コミュニティ、そしてロヨラのようにドミニカや日本のリーグへ飛び込む選手が増えれば、ブラジルに続く“南米第2の野球ルート”として注目される可能性があります。

実際、ペルー出身ではすでにMLBで成功している例もあります。フィリーズの左腕ヘスス・ルサルド(Jesús Luzardo)は、リマ生まれの投手で、2019年にオークランド・アスレチックスでMLBデビューした史上初のペルー出身メジャーリーガーです。 ロヨラがプロ入りを目指していた当初は「ペルー人初のMLB選手」を目標に掲げていましたが、その座はルサルドが一足先に射止めています。


今後ロヨラはどうなる? 考えられるキャリアパス

では、ここからロヨラが進み得るルートを、現状の情報からいくつか想定してみます(あくまで可能性の話であり、具体的な契約報道があるわけではありません)。

パターン① MLB/マイナー契約ルート

10代前半からMLBアカデミーに在籍していたこと、現在もSNSで100マイル級の速球をアピールしていることを考えると、ボールさえ本当に160キロ前後まで伸びていれば、24歳前後でも「素材型投手」としてマイナー契約の可能性は残っています

ただし、ドミニカやベネズエラ、キューバと比べてペルーはスカウト網が薄く、代表レベルの試合も限られているため、「継続してスカウトに見てもらう機会」が最大のネックと言えるでしょう。

パターン② 日本・韓国・メキシコなど周辺プロリーグ経由

今回のJapan Winter League参加は、まさにNPBや独立リーグへの“お披露目の場”という側面を持っています。 NPB各球団はJWLを通じて育成枠候補や独立リーグの外国人選手をチェックしており、ロヨラのような「球の速さが抜群な素材型右腕」は、育成契約でロースターに入るパターンも十分考えられます。

また、メキシコ、コロンビア、ニカラグアなど中南米のプロリーグでも、近年はベネズエラやブラジル以外の南米出身選手が少しずつ増えており、ペルーのエースとして注目されているロヨラにオファーが届いても不思議ではありません。

パターン③ 代表エースとしてペルー野球の顔に

もう一つの現実的なルートは、プロ契約の有無にかかわらず、ペルー代表の絶対的エースとして南米やパンアメリカの大会で戦い続けるパターンです。 U23代表で「将来を担う投手」と評されていることからも、少なくとも数年は代表ローテーションの中心にいると見込まれます。

今後、WBC予選やカリビアンカップ、南米選手権などでペルーが上位に進出し、「ペルーの剛腕ロヨラ」として存在感を見せれば、その先にプロ球団からのオファーが届く可能性もあるでしょう。


まとめ:ホルヘ・ロヨラは「周辺国野球」の未来図かもしれない

ホルヘ・ロヨラのキャリアをざっと振り返ると、

  • ペルー・カヤオで野球を始め、AELUなど日系コミュニティのクラブで成長
  • 10代前半でMLBアカデミーに所属し、ペルー人初の契約者として報道される
  • ドミニカ共和国のIPLでトレーニングし、2019年クラスの有望株として注目
  • ペルー代表のエース格として、U23大会やカリブ海カップなど国際大会に出場
  • 2025年には日本のJapan Winter Leagueに参戦し、「168km/h」「105マイル」の噂とともに世界の野球ファンの話題に

という、かなりユニークな道を歩んでいます。 ブラジルの日系選手たちが「ブラジル → 日系クラブ → 日本・アメリカ」というルートを切り開いたように、ロヨラは「ペルー → 日系/ベネズエラ系コミュニティ → ドミニカ → 日本」という新しいルートの象徴になりつつあります。

球速情報はまだ誇張やプロモーション的な部分もありそうですが、映像や各種報道を総合すると、「球速のポテンシャルは本物で、南米でもトップクラスの剛腕」であることは間違いなさそうです。 あとはフォームの安定、コマンドの向上、そして何よりも「どのリーグで投げるか」という環境選びが、ロヨラの将来を大きく左右していくでしょう。

NPBや独立リーグのスカウトが、JWLでのロヨラの投球をどう評価するのか。
「ペルー野球」そして南米発の新たなスター誕生を期待しつつ、今後の動向を追いかけていきたいところです。

おまけ:オヨラの投球を可視化してみた。

参考動画は先ほどの埋め込み動画。投げおろすというか、軸足をまげて鞭みたいに投げる感じがすごい。チャップマンとかそっち系かな(私見)。


参考文献・リファレンス

  • Diario Libre「Jorge Loyola, el peruano que busca llegar desde Dominicana a la Canaán de los peloteros」(2017年10月28日)
  • Peru.com「Jorge Loyola, el beisbolista que jugará en las Grandes Ligas」(2015年4月17日)
  • WBSC Americas「Panamericano U23 decide el campeón de Sudamérica camino al Mundial」(2025年10月20日)
  • El Peruchito / Medium「Perú béisbol: la jugada interna con Ernis Arias – entrevista」(2025年10月)
  • Japan Winter League 公式Instagram(@japanwinterleague)、選手紹介・試合リール各種投稿(Jorge Loyola Trujillano関連)
  • Jorge Loyola本人Instagram(@jloyola4_79)および関連リール(#100mph 等のハッシュタグ)
  • X(旧Twitter)投稿群:「Jorge Loyola, who is participating in Japan’s winter league, is from Peru and played for them in U23 World Cup qualifiers. The biggest arm to ever come from …」など
  • ブラジルの野球選手・日系人に関する記事:『ブラジルの野球選手 | 日本のプロ野球&メジャーリーグで活躍した選手』『ブラジルの野球事情 | WBCの舞台裏には日系人とヤクルトの影響』など(ぶら〜りブラジル)
  • Discover Nikkei「Los nikkei y el deporte: los desafíos que son orgullo para…」(2017年5月5日)
  • 日本野球機構・関連サイト「“世界の野球”力戦奮闘ブラジル野球!~日系移民が紡いできた100年の歴史~」など
  • ヘスス・ルサルドに関する各種情報:MLB公式プロフィール、Baseball-Reference、Latino Sports記事『“Striking Out Barriers” with Jesús Luzardo』など

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