2025年オフ、韓国プロ野球KBOで無双した右腕コディ・ポンセ投手が、トロント・ブルージェイズと3年総額3000万ドル(約46〜47億円)の契約で合意・正式契約したと報じられました。22〜23年の日本ハム、24年の楽天、25年のハンファ・イーグルスを経て、31歳でのメジャー本格復帰という大出世コースです。:
この記事では、
- 日本ハム・楽天時代のスタッツとノーヒットノーラン
- 「炎上」続きからネットで生まれた“ポンセの呪い”ネタ
- KBO・ハンファでの投手4冠&MVP→ブルージェイズ契約まで
を、事実ベースで整理していきます。
コディ・ポンセのプロフィールとキャリアの流れ
- 名前:Cody Austin Ponce(コディ・オースティン・ポンセ)
- 生年月日:1994年4月25日(31歳)
- 出身:アメリカ合衆国 カリフォルニア州
- 身長/体重:約198cm/115kg(KBO登録)
- 投打:右投右打
- ポジション:先発投手
経歴をざっくり並べると、
- 2015年:MLBドラフト2巡目でブルワーズに指名
- 2019〜21年:パイレーツでMLB登板(通算1勝7敗、防御率5点台後半)
- 2022〜23年:北海道日本ハムファイターズ
- 2024年:東北楽天ゴールデンイーグルス
- 2025年:KBO・ハンファ・イーグルス(投手4冠&MVP)
- 2026年〜:トロント・ブルージェイズと3年3000万ドル契約
日本での3年間は通算10勝16敗、防御率4.54と「並の助っ人」扱いでしたが、韓国での大ブレイクを経て一気に評価が激変しました。
日本ハム時代:ノーヒットノーランの快投と堅実な成績
2022年:来日1年目でノーヒッター達成
ポンセが日本でもっとも鮮烈なインパクトを残したのが、2022年8月27日のソフトバンク戦(札幌ドーム)です。 この試合でポンセは、
- 9回113球
- 被安打0
- 2四死球
- 6奪三振
という内容で、プロ野球史上87人目(98度目)のノーヒットノーランを達成。 球団としては西崎幸広以来27年ぶり、北海道日本ハム誕生後では初のノーヒッターという快挙でした。
この年のシーズン成績は、
- 14試合
- 3勝5敗
- 防御率3.35
- 66奪三振
と、「数字だけ見ればローテの一角としてまずまず」の内容でした。
2023年:ケガに悩みつつもローテを支える
2023年は、開幕直後に左太もも腱の部分断裂で離脱しながらも、復帰後は先発として10試合に登板して、
- 4勝5敗
- 防御率3.66
- 43奪三振
という成績を残しました。 ただし球団との契約交渉がまとまらず、23年オフに日本ハムを退団。ここまでは「いい時は凄いが、ケガも多く安定には欠ける外国人先発」という評価にとどまります。
楽天時代:炎上続きとネットで生まれた「ポンセの呪い」
2024年:3勝6敗、防御率6.72と大苦戦
ポンセは2023年末に楽天へ移籍し、2024年シーズンをイーグルスで過ごしました。成績は、
- 15試合
- 3勝6敗
- 防御率6.72
- 67回で56奪三振
と、数字のうえではかなり厳しい内容。特に、12先発中7試合で「炎上」と呼べる大失点を喫していたとする観戦記も出ており、 ファンからは「一人放火魔」「逆に伝説」といった辛辣な声も上がっていました。
象徴的だったのが、
- 5月21日 ソフトバンク戦:3回0/3 11安打12失点で大炎上(33-0の歴史的大敗の一因)
- 5月28日 DeNA戦:6回9安打6失点で4敗目。今江監督から「初回に複数失点はかなり重い」と苦言。
ネット発のネタ「ポンセの呪い」とは?
この楽天時代の炎上から、プロ野球ファン界隈で生まれたのが「ポンセの呪い」というネットミームです。 ざっくり言うと、
- ポンセからフルボッコで大量得点したチームや打者が、その後しばらく打てなくなる/連敗する、といったジンクスめいたネタ
- 例:33-0で楽天を粉砕したソフトバンクや、ポンセから2発を打った山川穂高が、その後しばらく本塁打が出なかった時期があり、
「ポンセをボコった反動だ」「ポンセの呪いだ」とXやブログでいじられた - ちょうどその頃のポンセの防御率が6.66だったこともあり、「悪魔の数字」「オカルト」として話題を後押しした
もちろんこれは統計的な検証に耐える話ではなく、あくまでファンの間のネタ・ジンクスです。 ただ、「炎上があまりに派手」「その後の相手の成績がたまたま噛み合った」という偶然が重なり、 YouTubeや反応集でもたびたび取り上げられるほどの人気ワードになりました。
結果として、楽天時代のポンセは、 「実力的にはローテの谷間だが、ネタ的には主役級」という、なかなか稀有なポジションを獲得してしまったと言えます。
KBO・ハンファでの覚醒:投手4冠&MVPの大エースへ
2025年:17勝1敗、防御率1.89、252奪三振の投手4冠
ところが2025年、ポンセはKBOのハンファ・イーグルスに移籍すると、一気に韓国最強クラスのエースへ変貌します。 主なシーズン成績は、
- 29先発
- 17勝1敗
- 防御率1.89
- 180回2/3で252奪三振(KBO新記録)
- 勝率.944、WHIP 0.94前後
と、もはや「ゲームの世界では?」と疑うレベル。最多勝・防御率・奪三振・勝率の投手4冠に加え、リーグMVPとチェ・ドンウォン賞(先発投手最高賞)も受賞しています。
特筆すべきは、
- 5月17日の1試合18奪三振(KBO新記録)
- 23試合目でシーズン200奪三振に到達 → KBO史上最速
と、「奪三振マシン」として完全に別人級の投球を見せている点です。
球速アップとスプリット習得
MLB.comの分析によると、韓国でのポンセは、
- 直球の平均球速が約95マイル(153キロ前後)までアップ(パイレーツ時代より約2マイル増)
- 新たにスプリットを習得し、決め球として高い空振り率を記録
することで、NPB時代ともまた違う「パワー&フォーク系エース」に進化していたとされています。 KBOでの圧倒的な数字は決して偶然ではなく、フィジカル強化と球種のブラッシュアップが噛み合った結果と言えます。
ブルージェイズとの3年契約と、今後の役割
こうした韓国での活躍を受け、ブルージェイズは先発補強の目玉のひとつとしてポンセと3年3000万ドルで契約。 ディラン・シース、ケビン・ゴーズマン、ホセ・ベリオスらとともに、ローテーション候補の一角として期待されています。
米メディアの論調としては、
- 「KBOのレベルはMLBほどではないが、データや球質を見る限り“持続可能な進化”を遂げている」
- 「メリル・ケリー(KBO→Dバックス)の成功例と重ねる声も」
といった評価が多く、“韓国で覚醒したタイプの再輸入先発”として、かなりポジティブに見られている印象です。
まとめ:ノーヒッターと炎上、そして“呪い”を経て、KBO最強からMLBへ
- ポンセは日本ハム時代、2022年8月27日にソフトバンク相手のノーヒットノーランを達成し、球団27年ぶりの快挙を記録した。
- NPB3年間では通算10勝16敗、防御率4.54と、“大当たり”とは言えない数字に終わり、特に楽天時代の2024年は3勝6敗・防御率6.72と苦戦。派手な炎上からネットで「ポンセの呪い」というネタまで生まれた。
- しかし2025年、KBO・ハンファに移籍すると、17勝1敗、防御率1.89、252奪三振で投手4冠&MVP、チェ・ドンウォン賞を総なめにし、「韓国最強エース」の座をつかんだ。
- その実績を評価したブルージェイズが、3年3000万ドルの大型契約で獲得。KBO発の“逆輸入エース”として、2026年からMLBのマウンドに戻ることになった。
日本ハム時代のノーヒッター、楽天時代の炎上と“呪い”ネタ、そして韓国での完全覚醒──。 ここまでジェットコースターなキャリアを歩んだ投手も、なかなかいません。
「日本で並の投手」と評された右腕が、KBOでMVP → MLBで3年契約という物語をどこまで伸ばせるのか。 ブルージェイズでの登板は、日本ハムファンも楽天ファンも、そして韓国のハンファファンも、ちょっとニヤニヤしながら見守ることになりそうです。
参考文献・出典
- Wikipedia「Cody Ponce」
- 北海道日本ハムファイターズ公式「コディ・ポンセ投手がノーヒットノーランを達成」
- パ・リーグ.com「史上87人目の快挙。コディ・ポンセがノーヒットノーランを達成」
- スポニチアネックス「楽天はポンセの背信投球で交流戦黒星発進 今江監督『初回に複数失点はかなり重い』」
- 雑葉抄「楽天・ポンセの呪い?」
- 川谷医院note「第26走者 杉本 流:スポーツにおける心理学的要素」(ポンセの呪いと山川選手のスランプの記述)
- MyNavi News「元助っ人右腕が韓国でシーズンMVPを獲得 外国人投手初の投手4冠」
- MKニュース(韓国語版)「韓国プロ野球最高のスーパーエースとして活躍したコディ・ポンセ…チェ・ドンウォン賞受賞」
- MLB.com日本語版「元楽天&日ハムのコディ・ポンセ、日韓での実績にMLB球団が注目」
- MLB.com日本語版「ブルージェイズが右腕ポンセと3年契約で合意」
- Sportsnet「Blue Jays officially sign RHP Cody Ponce to three-year contract」
- 日刊スポーツ「日本ハム、楽天でプレーしたポンセがブルージェイズと契約、3年46・5億円」
- Full-Count「元楽天ポンセがブルージェイズと3年47億円 日本では“並の投手”が韓国で覚醒」



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