2025年12月9日に行われた第4回現役ドラフトで、日本ハムの大型左腕・松浦慶斗投手(22)が読売ジャイアンツへ移籍しました。
昨年の田中瑛斗に続き、「2年連続で日本ハム→巨人の若手投手」が現役ドラフトで動いたこともあり、ファンの期待値はかなり高めです。
この記事では、松浦投手の直近成績とスタッツ、これまでの経歴を押さえたうえで、
同じ2021年日本ハムドラフト組との比較から、どんな特徴・伸びしろを持った投手なのかを整理していきます。
プロフィールと経歴 ― 大阪桐蔭出身の大型パワー左腕
- 名前:松浦 慶斗(まつうら けいと)
- 生年月日:2003年7月1日(22歳)
- 出身:宮城県石巻市生まれ、北海道旭川育ち
- 身長/体重:186cm/103kg
- 投打:左投左打
- 経歴:門小ガッツ → 新富野球少年団 → 旭川大雪ボーイズ → 大阪桐蔭高 → 北海道日本ハム → 読売ジャイアンツ
- ドラフト:2021年ドラフト7位で日本ハムが指名
高校時代は名門・大阪桐蔭で2年生からエース格として活躍し、最速150km/hのストレートで早くからプロ注目の存在。U12世界大会(カル・リプケン大会)での優勝経験もあり、「将来の球界No.1左腕を目指す」と宣言してプロの門を叩いた素材型左腕です。
直近の成績とスタッツ ― 一軍は“片鱗”、二軍では奪三振マシン
一軍成績(NPB公式)
松浦投手の一軍登板は、これまで2シーズン・計6試合に限られています。
- 2022年(日本ハム)
・1試合登板(プロ初登板)/1回2失点、防御率18.00/最速153km/hを計測 - 2024年(日本ハム)
・5試合登板(すべてリリーフ)/4回1失点、防御率2.25/1ホールドを記録 - 通算
・6試合、5回2/3、防御率5.40、0勝1敗、1ホールド
イニング数だけ見ると「ほぼ未知数」の一軍成績ですが、2024年は短いイニングながら防御率2.25と最低限の結果を残しつつ、球速150km台をコンスタントに記録していました。
二軍成績 ― 2024年は防御率1点台のブレイクシーズン
むしろ注目すべきは、ここ2年のイースタン・リーグ(二軍)での成績です。
2024年(二軍・日本ハム)
- 登板:24試合
- 成績:0勝2敗、防御率1.85
- 投球回:39回
- 被安打:33、被本塁打3、四球14、三振48
9イニング換算の奪三振数は約11.1奪三振/9回で、かなりの空振りを奪えるタイプであることが分かります。四球も多いものの(約3.2個/9回)、防御率1点台はチーム内でもトップクラスの成績でした。
2025年(二軍・日本ハム)
- 登板:19試合(うち6先発)
- 成績:2勝2敗3セーブ、防御率3.41
- 投球回:37回
- 被安打:40、被本塁打1、四球18、三振35
2024年オフには、「2025年は先発転向を目指す」方針が球団からも示されており、
「150km台の直球を持つパワー系先発左腕」という、チーム内でも貴重なタイプとして育成されていました。
ただし、2025年は防御率3.41と数字をやや落とし、コントロールとスタミナの部分で課題も見えたシーズン。
それでも、先発6試合+マルチな役割をこなしつつK/9約8.5と、素材としての魅力は十分示したと言えます。
球質とタイプ ― 「155kmパワー系左腕」という希少性
日本ハム時代の報道では、最速155km/hに到達したことが紹介されており、
球団も「大型左腕で速球派の先発は貴重」と評価していました。
特徴を整理すると、
- 186cmの長身から角度のある150km台のストレート
- スライダー、カーブ、チェンジアップ系を交えたパワーピッチ型
- 奪三振能力は高い一方で、四球の多さが課題
- リリーフで結果を出しつつ、本人と球団ともに「先発志向」が強い
日本ハムは左腕自体は多いものの、「155kmを投げる本格派先発左腕」というタイプは非常にレア。
まさに“スペックモンスター寄りの素材型”というのが松浦投手の現在地です。
2021年日本ハムドラフト組との比較 ― 「一番“化ける余地”のある投手」?
2021年の日本ハムドラフトは、以下のような顔ぶれでした(支配下のみ)。
- 1位:達 孝太(投手/天理高)
- 2位:有薗 直輝(内野手/千葉学芸高)
- 3位:水野 達稀(内野手/JR四国)
- 4位:阪口 樂(投手/岐阜第一高)
- 5位:畔柳 亨丞(投手/中京大中京)
- 6位:長谷川 威展(投手/金沢学院大)
- 7位:松浦 慶斗(投手/大阪桐蔭)
- 8位:北山 亘基(投手/京都産業大)
- 9位:上川畑 大悟(内野手/NTT東日本)
すでに“一軍の柱”になった同級生たち
- 達 孝太(1位) 2025年は先発ローテの一角として16試合で8勝2敗、防御率2.09とエース格の数字。
- 北山 亘基(8位) 2025年は22試合登板で9勝5敗、防御率1.63とこちらもローテの柱クラス。
- 上川畑 大悟(9位) 2022〜2024年は3年連続で100試合前後に出場し、ショート/セカンドのレギュラー候補として定着。2024年は打率.248と堅実な成績を残しています。
- 長谷川 威展(6位) ソフトバンク移籍後の2024年は32試合登板、防御率2.49とセットアッパー候補として台頭。
このように、2021年組からはすでに複数の“戦力化成功例”が出ている一方で、
松浦投手は「一軍ではまだ6試合登板」の段階に留まっています。
松浦の“同級生との違い”
他の2021年組と比較したときの松浦投手の特徴をまとめると、
- 唯一の「高卒パワー系左腕」
→ 他の投手(達=長身右腕、北山=大学出身右腕、長谷川=大学出身左腕)はそれぞれタイプが異なる。
特に155km級のストレートを持つ左腕はこの世代では松浦のみ。 - 二軍での奪三振能力は世代トップクラス
→ 2024年二軍でK/9約11.1は、同じく二軍主体だった有薗(打撃)らと比べても「突出した武器」を示している。 - 一軍経験は最も少ないが、その分伸びしろが大きい
→ 達・北山・上川畑・長谷川らが一軍で実績を積む一方で、松浦は「まだ素材段階のまま他球団へ渡る」レアケース。
つまり、すでに完成度で勝負している同級生たちとは違い、松浦は“スペックとポテンシャルで勝負するタイプ”であり、
「環境次第で一気にブレイクしうる選手」として現役ドラフトでもっとも“化ける”要素を持っていると言えます。
巨人での起用イメージと「活躍シナリオ」
巨人は現役ドラフトの獲得発表で、「体も大きく、球威もある投手。投手陣の中で十分競争できる。先発争いに割って入ってほしい」と阿部監督のコメントを出しています。
これを踏まえて、考えられる起用と“活躍シナリオ”は次の通りです。
① まずは中継ぎ・ロングリリーフで一軍定着
- 150km台のストレートとスライダー中心のパワーピッチで、ビハインド〜同点のロング要員として起用
- 一軍での制球・メンタル面を整えつつ、左右・ホーム/ビジター別の成績を固めていく
- 2024年の一軍防御率2.25という結果からも、「ワンポイント〜短い回」ではすでに通用する片鱗は見えている
② 将来的には「パワー系先発左腕」への転換
- 日本ハム時代からの「先発志向」と、球団が評価するパワー左腕としての希少性は巨人でもそのまま活かせる。
- 長いシーズンで故障や離脱が出やすいローテに対し、6番手〜7番手の先発要員として台頭できれば、大きな価値。
- 同じ現役ドラフト経由で巨人に来て“覚醒”した田中瑛斗の例もあり、「2年連続の再現」を期待する声もメディアで取り上げられている。
球速・体格・年齢・左腕という要素を考えれば、
「ローテ3〜4番手クラスまで伸びる可能性がある」一方で、
四球の多さや一軍での経験不足というリスクも抱えた、まさに“ハイリスク・ハイリターン型の現役ドラフト指名”と言えそうです。
まとめ ― 現役ドラフト2025の“本命ブレーク候補”
- 松浦慶斗は、大阪桐蔭出身の186cm・155kmパワー左腕で、2021年ドラフト7位入団。
- 一軍登板は通算6試合ながら、二軍では2024年に防御率1.85・K/9約11.1と「奪三振マシン」として頭角を現した。
- 2025年もイースタンで先発・リリーフ双方をこなし、防御率3.41と一定の成績を残したが、一軍登板はなし。
- 同じ2021年ドラフト組には、すでに達孝太・北山亘基・上川畑大悟・長谷川威展など“一軍の柱”が出ており、その中で松浦は「スペックは随一だが、まだ伸びしろに余地を残す存在」として異彩を放つ。
- 巨人は阿部監督自ら「先発争いに入ってきて欲しい」とコメントしており、現役ドラフト2025組の中では“活躍期待筆頭”と言っていい存在だろう。
2021年世代の中で、「最後に化けるのは誰か?」という視点で見ると、
“完成度”よりも“スペックと伸びしろ”で勝負する松浦慶斗は、
現役ドラフトが生んだ最もロマンのあるピースかもしれません。
参考文献・出典
- NPB公式「松浦 慶斗 個人年度別成績」
- NPB公式「2024年度・2025年度 北海道日本ハムファイターズ 個人投手成績(イースタン・リーグ)」
- Yahoo!スポーツナビ「松浦 慶斗 プロフィール・成績」
- 日本ハム公式選手名鑑/パ・リーグ.com 選手ページ(松浦慶斗)
- 日刊スポーツ「日本ハム松浦慶斗が先発転向…最速155キロの大型投手が貴重なパワー系左腕に」
- NPB公式「2021年 北海道日本ハムファイターズ 選択選手一覧」
- スポーツナビ/NPB公式 各選手成績(達孝太・北山亘基・上川畑大悟・有薗直輝・長谷川威展)
- スポニチ「【現役ドラフト一覧】巨人が日本ハムの松浦、阪神がヤクルト浜田獲得」
- 読売巨人軍 公式サイト「現役ドラフトによる移籍について」
- Full-Count「現ドラで2年連続ハム→巨人 22歳左腕に期待される“再現”」
- ytvアスリート「【2021ドラフト会議】大阪桐蔭の大型エース左腕・松浦慶斗は日本ハムが7位指名」



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