野球でいう「フォースボーク」とは何なのか? 新庄監督が繰り出した“あのサインプレー”を振り返る

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野球でいうフォースボークとは、主に一、三塁の場面で、三塁走者が本塁へスタートを切り、投手に一塁への対応か本塁への対応かを迫って、結果的にボークや本塁生還を誘うトリックプレーです。名前の通り、相手投手に“ボークを強制する”ように仕向ける狙いがあるため、こう呼ばれます。

実際、野球タイムズの解説では、このプレーは三塁走者がスタートし、それを見た一塁走者も盗塁のふりをして、投手が一塁に反応した間に本塁を狙う作戦と整理されています。つまり、ボーク宣告そのものだけでなく、投手の判断を一瞬でも迷わせてホームを奪うところまで含めたプレーだと考えるとわかりやすいです。

なぜ「フォースボーク」と呼ばれるのか

このプレーが成立しやすい理由は、投手板に触れたままの一塁への偽投がボークになるからです。日本高野連の審判資料では、偽投について「一塁・三塁への偽投はボークである」と明記されています。つまり、三塁走者のスタートを見て本塁を気にしながら、一塁走者にも反応して中途半端に一塁側へ動けば、投手はかなり苦しい立場になります。

野球タイムズも、プレートを外さない一塁への偽投はボークになるため、牽制動作を起こしたら途中で止められないと説明しています。三塁走者のスタートに気づいて本塁へ投げ直そうとしても、動作次第ではボークになってしまう。そこを逆手に取るので、フォースボークと呼ばれるわけです。

具体的にはどんなプレーなのか

典型的なのは、一、三塁で左投手がセットに入っている場面です。三塁走者が本塁へスタートし、それを見た一塁走者も盗塁のふりをする、あるいは大きく飛び出します。すると投手は、三塁走者を気にしつつ一塁走者にも反応しなければならず、判断が非常に難しくなります。

もし投手が一塁走者へ中途半端な牽制動作をしてしまえばボークになり得ますし、実際に一塁へ送球すれば、その間に三塁走者が本塁を狙えます。つまり、このプレーの本質は「ボークそのものを取ること」より、「投手をルール上苦しい状況に追い込むこと」にあります。

なぜ左投手相手に有効と言われるのか

フォースボークは、一般に左投手相手に有効と言われます。野球タイムズの解説でも、この作戦は左投手の時に使いやすいと説明されています。左投手はセットポジションから一塁走者を見やすく、一塁への反応にも入りやすいため、三塁走者のスタートと一塁走者の動きを同時に視界へ入れやすいからです。

逆に言えば、その「見やすさ」が判断の難しさにもつながります。三塁走者を見て本塁が気になる、一塁走者も気になる、その瞬間に中途半端な動きをするとボークの危険がある。だからこそ、左投手相手に成立しやすいトリックプレーとして知られています。

新庄監督が見せた“あのプレー”は何だったのか

フォースボークが一気に話題になったのが、2024年5月15日の日本ハム対西武です。日刊スポーツは、この試合の2回2死一、三塁で新庄剛志監督が出したサインについて、「フォース・ボーク」だったとみられると報じました。この場面では、一塁走者スティーブンソンが飛び出し、その間に三塁走者水野達稀が生還しています。

日刊スポーツの続報では、新庄監督自身が「一塁がルーキー村田君というのもポイント」と種明かししており、相手の経験値や反応まで含めて狙ったサインだったことがうかがえます。つまり、新庄監督が見せたのは、単なる思いつきではなく、相手バッテリーや内野陣の対応を読んだ上での機動力プレーでした。

実際にはボークが宣告されなくても「フォースボーク」なのか

ここは誤解されやすいところですが、結果として審判がボークを宣告しなくても、この手のプレーを「フォースボーク」と呼ぶことがあります。なぜなら、プレーの狙い自体が「投手にボークを起こさせやすい状況を作ること」だからです。

2024年5月15日の新庄監督のプレーも、結果としては一塁走者が飛び出す間に三塁走者が生還した形でした。つまり“ボークで1点”というより、“ボークを意識させて投手や守備を乱し、本塁を奪った”プレーです。だからこそ、実戦では「フォースボーク=ボークを取りにいく作戦」ではなく、「ボークも本塁生還も両方狙う作戦」として理解した方が近いです。

守る側はどう対応すればいいのか

このプレーへの基本的な対応は、投手が正しくプレートを外してから冷静に本塁へ対応することです。全日本野球協会の審判員講習会マニュアルでは、三塁走者が本塁へ盗塁した場合、先に軸足を投手板から正しく外せば投手は内野手扱いとなり、本塁へ送球できると説明されています。

逆に、自由な足を先に動かしたり、投球動作を中断したりするとボークの対象になり得ます。つまりフォースボークは、投手がルールをしっかり理解していれば防げる余地もある一方、理解があいまいだと一気に崩れやすいプレーでもあります。

まとめ

野球でいうフォースボークとは、一、三塁の場面で投手に一塁牽制か本塁対応かを迫り、ボークや本塁生還を誘うトリックプレーです。ルール上のポイントは、投手板に触れたままの一塁への偽投がボークになること。そこを逆手に取って、投手の判断を乱します。

2024年5月15日の日本ハム対西武で新庄監督が見せたプレーは、その代表例として大きな話題になりました。ルールを知ってから振り返ると、ただの珍プレーではなく、投手のルール上の制約を逆手に取った高度なサインプレーだったことがよくわかります。


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