なぜ2025年ロッキーズは「死ぬほど弱い」のか——スタッツで読み解く崩壊の理由

野球

結論(要約):2025年9月23日(日本時間)時点、コロラド・ロッキーズは43勝113敗。近代ナ・リーグ最少勝利を塗り替えるレベルの歴史的低迷で、打撃(wRC+低迷)、投手(先発・救援ともERA壊滅)、守備(DRS/UZRマイナス)と総合的に崩壊。特にコース・フィールドという打者有利環境に耐える投手基盤と外野守備の厚み不足が致命的です。出典: Baseball-ReferenceReuters

1) 歴史的に見ても「負け方」が異常

最終盤で43-113(NL西最下位)。現地報道でも「近代NLワースト級」と明言される水準です(9月21日付の試合記事でも43-113が確認可)。Baseball-ReferenceReuters

2) 得点が伸びず、失点が止まらない(チーム全体像)

区分試合勝-敗得点OPS投手ERA
総計(打撃)15643-113584.684
ホーム(打撃)8125-56369.765
ビジター(打撃)7518-57215.593
総計(投手)15442-1126.04
ホーム(投手)7924-556.58
ビジター(投手)7518-575.42

※打撃・投手のホーム/ビジター分割はESPNのチームスプリットより。ESPN(打撃)ESPN(投手)

3) ポジション別:打撃(wRC+)の掘り下げ

ロッキーズはコース・フィールドで打撃が見かけ上は上振れしやすい一方、wRC+(リーグ・球場補正済み)では平均未満のポジションが多く、出塁と長打の同時確保に苦しみました。個人ではハンター・グッドマン(wRC+ 119、WAR 3.3)が奮闘も、打線全体の底上げには至らず。FanGraphs チームページ

  • 主なプラス:グッドマン(Bat WAR 3.3)、モ二アック(wRC+ 111)等
  • マイナス幅が大きいポジションが散在(例:中堅や遊撃などでwRC+が伸びず)

※個票値はFanGraphsリーダーボードの「Rockies 2025 WAR」より抜粋。FanGraphs WAR(COL)

4) ポジション別:守備(DRS/UZR)

守備は外野を中心にDRS/UZRがマイナスに沈む局面が多く、被打球の「アウト化」能力が低迷。広大なコース外野でのレンジ不足や送球価値(ARM)のマイナスが失点増に直結しました。FanGraphs(DRS/UZRの指標定義&リーダーボード)

5) 先発/救援のERA・FIP分解

先発・救援ともに高ERA。コース特有の打球が伸びやすい環境で被長打が増え、救援はビハインド拡大局面が常態化。FIP(本塁打・四球・三振で評価)でもリーグ下位水準が続き、「奪三振不足×与四球増×被本塁打増」の三重苦に。ERAのホーム/ビジター差も大きく、コースの環境負荷に耐える投手タイプが不足していることが読み取れます。ESPN(投手スプリット)FanGraphs(チーム投手指標の定義)

6) 「コース問題」の定量的側面(パークファクター)

Statcastのパークファクターでも、コースは複数の打撃イベントが平均より発生しやすいことが確認できます。つまり、普通に投げたら点が入る設計。だからこそ、ゴロ誘導/弱いコンタクト誘発型、守備レンジの広い外野陣が不可欠です。Baseball Savant: Park FactorsFanGraphs 記事

7) “柱不在”を示すWAR分布

チームWAR上位はグッドマン(3.3)フリ―ランド(2.4)マクマホン(1.3)ベック(1.2)など。5~6勝級の大黒柱が皆無で、連敗を止める“杭”が欠落。FanGraphs WAR(COL)

8) いま必要な処方箋(現実解)

  • 投手基盤の再構築ゴロ率/弱コンタクトを稼げる球種設計(高回転シンカー、重いツーシーム、精度の高いチェンジアップ)+守備位置取りの最適化。
  • 外野&二遊の守備力強化:広大な外野でのレンジ・送球(ARM)改善で失点の“底”を上げる。
  • 出塁×長打の再設計:四球で走者を溜めて長打で返す。単発攻撃からの脱却。
  • 評価のパーク補正を徹底:FA/トレード/マイナー評価はpark-adjustedを前提に。
  • ブルペン再編高K/BB右腕+左の外スラ特化など役割特化で“枚数”を確保。

補足:メディアが報じた「歴史的低迷」

シーズン中盤以降、全国紙や地元メディアは一貫して歴史的低迷を指摘。直近でもホーム最終戦の報道で43-113が確認され、ホーム成績も25-56と低迷。ReutersWashington Post

※本稿の数字は9月23日(日本時間)時点の公開データに基づく。

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