ムエンゴとは何か? ドミンゴとの関係、「渡辺俊介を救う会」、ゾウの辛島など類似パターンも振り返る

アカンプロ野球

野球ネットスラングの中でも、かなり完成度が高い言葉があります。
それが「ムエンゴ」です。

意味はシンプルで、好投しているのに打線の援護がなく、勝ち星がつかない状態のこと。もともとの日本語としては「無援護」が先にありましたが、ネット上ではそこに語感とネタ性が乗って、「ムエンゴ」という言い方が定着しました。しかもこの言葉、ただの省略ではありません。発祥をたどると、楽天時代のドミンゴ・グスマンに行き着きます。つまりムエンゴは、単なる野球用語ではなく、“援護のなさを笑いと哀愁で包んだネット野球文化”でもあるわけです。[1]

ムエンゴとは何か

ムエンゴは、要するに無援護です。先発投手が7回1失点、8回2失点のような十分勝てる内容で投げているのに、味方打線が0点、1点、あるいは終盤まで沈黙して勝てない。そんな時に「またムエンゴか」と言われます。新・なんJ用語集でも、もともと「無援護」という言葉自体は以前から存在し、貧打のチームに所属する好投手や、チーム得点自体は多いのに特定投手の先発時だけ援護が少ないケースに使われていたと整理されています。[1]

ここで大事なのは、ムエンゴは単に「負けた投手」への言葉ではないことです。むしろ逆で、投球内容は悪くないのに報われない投手につくラベルです。だから少し哀愁があるし、ファンの同情も集めやすい。成績表ではただの1敗でも、見ている側には「いやこれは打線が悪いだろ」という感情が残る。その感情がネット上で定型化したのがムエンゴです。[1]

ムエンゴとドミンゴの関係

この言葉が面白いのは、語源がかなりはっきりしているところです。新・なんJ用語集によると、2008年に楽天のドミンゴ・グスマンが先発へ再転向し、好投を続けながらも無援護に悩まされたことから、登録名の「ドミンゴ」と語感の近い「ムエンゴ」が生まれたとされています。つまり、「無援護」+「ドミンゴ」の音感が重なってできたネット造語ということです。[1]

しかもドミンゴは、もともとネット上では別方向でもかなりネタにされやすい投手でした。なんJ用語集の「○○ンゴ」でも、語尾としての「~ンゴ」の元ネタはドミンゴ・グスマンの名前と楽天時代の投球内容にあるとされています。要するにドミンゴは、ネット野球文化においてかなり重要な起点の一人です。ムエンゴも、その流れの中から生まれた言葉でした。[2]

実際の成績を見ても、2008年のドミンゴは楽天で23試合、102.1回を投げて防御率3.87なのに2勝7敗でした。防御率だけ見れば壊滅的という数字ではないのに、勝敗だけ見るとかなり苦しい。こういう数字のねじれが、「ムエンゴ」というネタの説得力を強めたわけです。[3]

「渡辺俊介を救う会」は、ムエンゴ文化を広めた代表例

ムエンゴが本格的に定着した例として、たぶん一番有名なのが「渡辺俊介ちゃんを救う会」です。新・なんJ用語集では、これは渡辺俊介のロッテ時代のムエンゴを暖かい目で見守る“組織”というネタで、実在の支援団体「○○ちゃんを救う会」をもじった表現だと説明されています。もちろん本物の団体ではなく、ネット上のスレッド・AA・ネタ文化です。[4]

なぜここまで広まったのか。理由は数字が強かったからです。2009年の渡辺俊介は25試合で144.1回を投げ、防御率4.05で3勝13敗。数字だけ見ると防御率はそこまで美しいわけではありませんが、なんJ用語集ではこの年の援護率が2.55まで落ち込み、QS13回中2回しか勝てなかったと紹介されています。しかも6月上旬の時点では8試合で4点しか援護がなかったとされ、完全に“救う会案件”になっていました。[4][5]

この「救う会」が面白いのは、ただのムエンゴではなく、ムエンゴを見守るファン側の感情までネタ化した点です。投手がかわいそう、でも打線はどうにもならない、そのやるせなさを“救う会”という形にした。ムエンゴという言葉が広がったあと、同じように援護に恵まれない投手へこのパターンが当てはめられるようになったのも、ここがかなり大きいです。[1][4]

「ゾウの辛島」は、より正確には“動物園コピペ系ムエンゴ”の一種

ここは少し整理しておきたいです。ユーザー文の「ゾウの辛島」という言い方は、固定語として超有名というより、ムエンゴ投手を動物園コピペに落とし込む派生ネタの系統として見るのが正確です。

新・なんJ用語集の「ゾウのグリン」では、この系統の元ネタがノンフィクション童話『かわいそうなぞう』をベースにした改変コピペであり、「無援護」の投手を対象にさまざまな改変版が作られてきたと説明されています。その中の楽天版「ゾウのマー君」では、「最初にライオンの石橋、そしてキリンの辛島が力尽きた」というくだりがあり、辛島もこの動物園コピペの一員として登場しています。つまり、辛島は“ゾウそのもの”というより、ムエンゴ投手を動物に置き換える悲哀ネタの派生先として扱われていたわけです。[6]

このあたりは、渡辺俊介を救う会よりさらにコピペ文化寄りです。ムエンゴが続く投手が現れると、そこに救う会が生まれたり、動物園ができたりする。勝てない投手への同情が、なんJではなぜか大規模な物語になる。この妙な文化の広がり方が、ムエンゴという言葉の強さでもあります。[4][6]

辛島航も、ムエンゴ文脈にかなり乗りやすい投手だった

辛島航本人の成績を見ても、この手のネタに乗りやすいタイプでした。たとえば2014年は楽天で25試合、154.1回を投げて防御率3.79で8勝13敗。2018年は23試合で防御率4.05ながら4勝9敗、2019年も27試合で防御率4.14で9勝6敗と、年によって勝敗は違うものの、内容のわりに白星が伸び切らない年がそれなりにあります。[7]

実際の試合記事でも、辛島が好投しながら援護をもらえない場面はかなりありました。たとえば2018年6月15日の阪神戦は6回途中2失点で粘りながら0対4の完封負け、2019年5月16日の日本ハム戦では7回1失点と好投しながら、楽天打線が2安打で零封されて0対2で敗れています。こういう試合が重なると、「辛島もまたムエンゴ枠だな」という認識がネット上で強まりやすい。[8][9]

なので「ゾウの辛島」という言い方を使うなら、厳密には“辛島がムエンゴ投手として動物園コピペ系に組み込まれた例”くらいに表現するのがいちばん自然です。固定用語として単独で確立しているというより、ムエンゴ文化の派生先として辛島がちゃんといた、という理解がしっくりきます。[6][7][8][9]

ムエンゴには、いくつか決まった類似パターンがある

この手のネタは、だいたい似た形に育っていきます。

ひとつ目は、救済型です。代表が「渡辺俊介ちゃんを救う会」で、かわいそうな投手をファンが見守る形にする。これはAAやスレ文化と相性がいいです。[4]

ふたつ目は、物語化型です。動物園コピペのように、無援護の投手たちを悲しい物語の登場人物にしてしまう。辛島がここに入りますし、元ネタ側ではグリンやマー君などもこの系統でした。[6]

三つ目は、対義語化型です。新・なんJ用語集には「ジエンゴ」もあり、これは投手が自分で打って援護を生み出すことを指します。ムエンゴが極まりすぎると、「もう自分で打てよ」というネタになり、対義語まで含めた一つの文化圏ができます。[10]

要するにムエンゴとは、単発の不運を言うだけでは終わりません。繰り返されると、スレが立ち、AAが作られ、救う会ができ、動物園ができる。そこまで行って初めて、一人前のムエンゴ投手になる。ネット野球文化の妙な厳しさは、このへんにあります。[1][4][6][10]

結論。ムエンゴとは「無援護」そのものより、“報われなさの様式美”である

結論です。
ムエンゴとは何か。
それは単に援護が少ないことではありません。

好投しているのに勝てない。その理不尽さを、ファンが言葉とネタに変換したもの。
それがムエンゴです。[1]

言葉としての発祥は、楽天時代のドミンゴ・グスマンとされています。そこから「渡辺俊介ちゃんを救う会」のような救済ネタが生まれ、さらに「ゾウのグリン」や楽天動物園コピペのような物語型へ広がっていきました。辛島もその派生の中にちゃんと登場していて、ムエンゴ文化が単なる一語ではなく、複数の定番ネタを持つネット野球文化になっていることが分かります。[1][4][6]

要するに、ムエンゴとは何か。
それは投手の不運であり、打線への恨みであり、ファンのやるせなさでもある。
そして、だからこそネタとして長生きする言葉なんだと思います。

参考文献・出典

  1. 新・なんJ用語集 Wiki*「ムエンゴ」
  2. 新・なんJ用語集 Wiki*「○○ンゴ」
  3. NPB.jp ドミンゴ 個人年度別成績
  4. 新・なんJ用語集 Wiki*「渡辺俊介ちゃんを救う会」
  5. NPB.jp 渡辺俊介 個人年度別成績
  6. 新・なんJ用語集 Wiki*「ゾウのグリン」
  7. NPB.jp 辛島航 個人年度別成績
  8. パ・リーグ.com 開幕から低空飛行を続ける鷲打線。献身的なエースを援護できるか
  9. スポニチ 楽天・辛島7回1失点も無援
  10. 新・なんJ用語集 Wiki*「ジエンゴ」
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