2025年パ・リーグの首位争いは日本ハムとソフトバンクが長く並走しました。では、両者を最終的に分けた要因は何だったのか。ここではオリックスの守護神・アンドレス・マチャドの攻略度に着目し、直接対決の差(=オリックス戦の稼ぎ)との関係を整理します。
結論(先に要点)
- ソフトバンクは対オリックスで大きく勝ち越し(例:9月下旬時点で二桁の貯金)。一方、日本ハムは五分に近い星勘定。この差が最終順位の土台になった。
- マチャドに対するチーム別成績でみると、ソフトバンクは明確に攻略した試合が多く、日本ハムは抑え込まれた試合が相対的に多い。終盤の1点ゲームで、この差が勝率に直結した可能性が高い。
前提:順位と対戦成績の俯瞰
9月下旬時点のチーム勝敗表では、ソフトバンクが首位、日本ハムが数ゲーム差で追走。対オリックスのカードでは、ソフトバンクが大きく勝ち越し、日本ハムはおおむね五分。ここが「積み上げた貯金の差」になっています。
守護神マチャドの2025:全体像
- 登板数はシーズン上位、セーブ数もリーグトップクラス。
- 150キロ台後半の速球と鋭い変化球を両輪に、三振とゴロをバランスよく量産。
- ビジターで僅差を守り切る「9回の特殊状況」に強み。
そのマチャドに対し、ソフトバンクはサンプルは多くないが要所で安打・四球を積み上げ、日本ハムは奪三振が先行する打席が目立ちました。
チーム別スプリット
対戦相手 | 試合 | 投球回 | 被安打 | 被本塁打 | 奪三振 | 四球 | 失点/自責 | ERA | セーブ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ソフトバンク | 7 | 6.0 | 10 | 0 | 9 | 1 | 5 / 4 | 6.00 | 3 |
日本ハム | 9 | 8.2 | 7 | 0 | 15 | 4 | 4 / 3 | 3.12 | 5 |
象徴的な試合(ケーススタディ)
- 逆転成功のケース:1点ビハインドの9回、上位〜中軸が単打×単打+進塁打で畳みかけてスコアをひっくり返したゲーム。マチャドの初球・高め速球に対し、見極め→ミート重視で対応したのが奏功。
- 封じ込められたケース:同じく1点差の9回、追い込まれてからの落ち球(スプリット/縦スラ系)で空振り・ゴロを量産。日本ハムはカウント不利からのバットの止まりが増え、出塁が分断。
個々の打席はサンプルが小さく偶然性もありますが、終盤に単打2本で点を取り切れる設計(選手のタイプと打順構成)は年間での差に繋がりやすい要素でした。
「マチャド攻略」⇔「星勘定」の関係
- 直接対決の差:ソフトバンクは対オリックスで二桁貯金、日本ハムは五分前後。→ ここだけで数ゲーム分のギャップが生まれる。
- クローザー対策の差:同じ9回マチャドでも、ソフトバンクは球威ゾーンの見極めと単打の連結で攻略、日本ハムは追い込まれてからの空振り/凡打が先行。
もちろん、順位は長いシーズンの総合力で決まります。先発の質、守備・走塁、交流戦、故障者、戦術の積み上げ…。「マチャド攻略だけがすべて」ではないものの、9回の1点ゲームを取り切れた頻度は、両軍の最終差を説明する重要なピースです。
コラム:攻略の鍵は何だったのか(示唆)
- 初球の入りをどう扱うか:高め速球の見極めと、落ち球(スプリット帯)へのスイング判断。
- “単打2本で1点”の絵:中距離〜巧打型を9回に残す打順構成。出塁役と進塁打の連鎖を作れるか。
- ビジター9回の難度:敵地では球審・マウンド・照明/背景が微差を生みやすい。見え方への事前適応(映像・再現練習など)が効果的。
まとめ
「日本ハムとソフトバンクを分けたのは、マチャドを打てたかどうか」——これは要因のひとつとして、終盤の接戦結果から裏づけられます。ソフトバンクは9回を取り切る頻度が高く、日本ハムは9回で押さえ込まれる頻度が高かった。最終盤のわずかな差は、まさにこうした“1点ゲームの九回”の積み重ねから生まれた、と総括できます。
注記:本記事は試合進行により数値が変動します。正式記録はNPBの最終公表をご確認ください。
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