ラプソードって結局なに? 計測できる指標・体験できる場所・使っている有名選手まとめ

野球

最近の野球記事や練習動画で「ラプソード」という言葉をよく見かけるけれど、
「正直よく分かってない」「スピンとかホップとか言われてもピンと来ない」という人も多いはずです。

この記事では、ラプソードとはそもそも何なのか、どんな指標が見られるのか、
一般のプレーヤーでも体験できる場所、有名選手の活用例までを一気に整理します。


ラプソードとは?ざっくり一言で言うと…

ラプソード(Rapsodo)は、投球・打球の「ボールの動き」をカメラとレーダーで計測する 弾道測定・データトラッキング機器のブランドです。

野球版のラプソードは、投手ならボールの速さや回転、変化量
打者なら打球速度や打球角度、飛距離などをリアルタイムで数値化してくれます。

公式サイトによると、ラプソードはすでに MLB全30球団で使用されており、また日本の高校・大学・NPB球団でも広く導入が進んでいます。

  • MLB:全30球団がラプソード技術を利用(Trajekt Sportsとのリリースより)
  • NPB・アマチュア:日本国内で多数のNPB球団に加え、高校約220校・大学約120校が導入(Rapsodo Japan公表)

つまり、「上のレベルを目指すなら、もう避けて通れない計測機器」と言っていい存在です。


ラプソードで見られる主な指標(ピッチング)

ピッチング用ラプソードでは、おおざっぱに言うと次のようなデータが取れます。

  • 球速(Velocity)…ストレートも変化球も、1球ごとのスピード。
  • 回転数(Spin Rate)…1分間あたりのボールの回転数。数値が高いほど「伸びる真っすぐ」になりやすい。
  • 回転軸(Spin Axis / Direction)…時計の針で言うと何時方向に回っているか。ボールの変化方向に直結。
  • 縦変化量・横変化量(Vertical / Horizontal Break)…キャッチャー目線で、ストレートの理想軌道からどれだけ上下左右に曲がったか。
  • リリースポイント…どの高さ・どの横位置からボールが手放されているか。
  • コース(プレート通過位置)…ストライクゾーンのどこを通ったか。

MLB公式サイトの記事でも、パイレーツがラプソードを使って
「球速、コース、回転数、回転軸、縦横の変化量、リリースポイント」をチェックしていると紹介されています。

これらの数値を見ながら、 「スライダーの横変化をもう少し増やしたい」
「フォーシームのホップ成分を上げたい」
といったピッチデザインを行うのが、近年のトレンドです。


ラプソードで見られる主な指標(ヒッティング)

打撃用ラプソード(HITTING / PROシリーズ)では、打球に関する次のような指標が測れます。

  • 打球速度(Exit Velocity)…バットから離れた瞬間の打球スピード。
  • 打球角度(Launch Angle)…地面から何度の角度で飛び出したか。ホームランゾーンか、ライナーか、ゴロかを判断するキー。
  • 打球方向(Spray Direction)…引っ張り/センター返し/流し打ちなど、打球の方向。
  • 推定飛距離…角度と速度から計算される飛距離。
  • 回転数・回転軸…バックスポン気味か、ドライブ回転がかかっているかなど。

国内のアカデミーでも、「初速度・角度・方向・回転軸を分析し、3Dで打球軌道を確認できる」といったラプソード活用が紹介されています。

打者はこのデータを見ながら、
「打球速度は出ているが角度が低いから、もう少しアッパー気味に」
「逆に角度はいいが球が弱いので、コンタクトの質を上げたい」
といったフォーム修正や打撃コンセプトの確認に使えます。


どこで使われている?プロから高校・大学まで

MLB・NPBでの活用

  • MLB:全30球団がラプソード技術を利用していると、トラジェクトスポーツとの共同プレスリリースで明記。
  • パイレーツなど複数球団が、キャンプでラプソード+ハイスピードカメラを組み合わせて投手の球質改善に使っていることがMLB公式記事で紹介。
  • 日本では「大多数のMLB・NPB球団が導入」とRapsodo Japan公式が説明し、高校約220校・大学約120校でも導入が進んでいると公表。

高校・大学・アカデミーでの活用例

  • 日本大学櫻丘高校:ラプソードで「球速・回転数・ホップ・リリース・回転効率」などを測定し、投手陣の強化に利用。
  • 大阪体育大学:硬式野球の実技授業でラプソードを使い、データトラッキングを学ぶプログラムを実施。
  • 民間アカデミー:Active Sports Japanなどがラプソード投球・打撃計測をレッスンに組み込み、球質・打球の可視化を行っている。

「感覚だけの指導」から一歩進んで、
数値を根拠にしたコーチング(データドリブンな指導)へ移行するためのツールとして使われているのが現状です。


誰が使っている?有名選手の活用例

大谷翔平選手(ロサンゼルス・ドジャース)

  • 2024年4月にラプソードのテクノロジーアンバサダーに就任。
  • エンゼルス時代から数シーズンにわたり、投打同時計測デバイス「PRO 3.0」などを活用してきたことが、日本のメディアのインタビューで紹介。
  • DIMEの取材では、投球の球速・回転数・縦横の変化量、打球速度・角度などをカメラとレーダーで計測し、iPadアプリでリアルタイムに確認していると説明され、 「少年野球時代からこういう機器を使えたらもっと上手くなれたと思う」とコメントしたことが伝えられています。

その他のメジャーリーガー

  • デトロイト・タイガースのマシュー・ボイド投手は、ラプソードを使うことで自分の状態を把握し、毎回のブルペンで球種の精度を高めているとRapsodo公式ブログでコメント。
  • MLB各球団の投手がキャンプでスライダーやチェンジアップの改良にラプソードを利用している例も多数紹介されています。

「一部のマニアックなトレーナーだけが使う機械」ではなく、
スーパースター級の選手も当たり前のように使っている道具になっている、というのがポイントです。


一般プレーヤーはどこで体験できる?

「プロじゃないと触れないんじゃ…?」と思いがちですが、
最近は一般利用可能な施設もかなり増えています。

1. Rapsodo Japan公式が紹介している計測可能施設

Rapsodo Japanは公式noteで「ラプソードの計測ができる施設」を、
都道府県別にまとめています。 代表的な例をいくつか挙げると:

  • Prospect field(宮城県・仙台市)…PITCHING 2.0、HITTING 2.0を導入。1セッション500円から計測可能。
  • ZEN SPORTS 室内野球練習場(千葉県・浦安市)…ピッチング&ヒッティング用ラプソードを完備。オプションでラプソード利用が可能と案内。
  • RAYCOM BASE & CAFE(東京都・葛飾区)…PITCHING 2.0/HITTING 2.0/INSIGHTを導入し、1時間単位でラプソード計測メニューを提供。

この他にも、静岡の「森ドーム」「Field Park Ace」や富山・岐阜など、
全国各地のインドア練習場・野球ジムでラプソード計測が可能です。

2. バッティングセンター・大型施設の例

  • 東京ドームシティ「スポドリ!」では、ラプソード PRO 2.0を使った 「打球速度を計測できるラプソード打席」を2025年3月から設置。 メダルを購入すれば、誰でも打球速度やデータを体験できるイベントとして告知されています。

ポイントとしては、

  • 「ラプソード 計測 施設」「ラプソード 〇〇県」などで検索すると、最寄りの施設が見つかりやすい。
  • Rapsodo Japan公式noteの「計測できる施設」記事をチェックすると、最新リストがまとまっている。

データから何が分かる?ざっくり読み方のイメージ

投手の場合

  • フォーシーム
    ・回転数が高く、縦変化量(ホップ成分)が大きいほど「打者の手元で伸びる」ボールになりやすい。
    ・リリースポイントや回転軸を揃えて、見た目の軌道を安定させることで、変化球とのトンネルを作りやすくなる。
  • スライダー/カットボール
    ・横変化量と回転軸を見ながら、「曲がりすぎないカット」や「大きく曲がるスライダー」といった形を作る。
    ・球速帯と変化量のバランスを調整して、ストレートとのコンビネーションを最適化。
  • カーブ/スプリットなど
    ・カーブは縦方向への変化量と回転数が鍵。
    ・スプリット系は「回転数が少ない+縦に落ちる」形を数値で確認できる。

感覚的に「今日のスライダーはいい」「ホップしている気がする」というのを、
数値で裏付けしてくれるのがラプソードの強みです。

打者の場合

  • 「打球速度は出ているのにゴロばかり」→ 打球角度が低い可能性。
  • 「フライアウトばかりでヒットにならない」→ 逆に角度がつきすぎ&打球速度不足の可能性。
  • 「自分はどのコースをどの方向に打てているか」を、打球方向のデータで可視化。

単に「打った感触」だけでなく、
数値として残ることで、フォーム変更前後の比較や練習の効果検証がしやすくなります。


これからラプソードを触ってみたい人へ

これからラプソードを体験してみたい人は、次のステップで動いてみるのがおすすめです。

  1. Rapsodo Japan公式noteの「計測できる施設」記事で、住んでいるエリアの導入施設をチェック。
  2. 施設のWebサイトで「ラプソード利用料金」「計測メニュー」を確認。
  3. まずは1回だけでも「いつものブルペン」「いつもの打撃練習」を数値で残してみる
  4. 気に入ったら、月1回・月2回など自分のペースで定点観測を続ける。

一度データを見てしまうと、
「今日は球速よりも回転数が下がっているから疲れが出ているのかも」
「打球速度は上がったけれど角度が変わっていない」
など、練習やコンディションの見方自体が変わってくるはずです。


まとめ

  • ラプソードは、投球・打球の動きをカメラ+レーダーで計測する弾道測定・データトラッキング機器。
  • ピッチングでは球速・回転数・回転軸・縦横の変化量・リリースポイントなど、ヒッティングでは打球速度・角度・方向・推定飛距離などが分かる。
  • MLB全30球団や多くのNPB球団、高校・大学・アカデミーが導入しており、大谷翔平選手をはじめとするトップ選手も活用している。
  • 一般プレーヤーも、全国各地の室内練習場・野球ジム・バッティング施設などで体験可能。
  • 「感覚」だけでなく「データ」で自分の野球を振り返ることで、上達のスピードを上げられる可能性が高い。

「ラプソード」という言葉だけが先行しがちですが、
中身を知ってしまえば、内容はとてもシンプルです。
興味があれば、まずは一度、自分の球や打球を“数値化”してみてください。


参考文献・リファレンス

  • Rapsodo Japan「baseball」公式ページ(MLB・NPB・高校・大学での導入状況など)
  • Shohei Ohtani × Rapsodo 特設サイト & プレスリリース(テクノロジーアンバサダー就任・PRO 3.0活用)
  • @DIME「大谷翔平選手が『少年野球時代から使いたかった』と話す計測機器とは?」(ラプソードPRO2.0/PRO3.0の機能と指標解説)
  • MLB.com「Bucs pitchers looking to leverage tracking tech」(ラプソードが計測する投球指標の例:球速・コース・回転数・回転軸・縦横の変化量・リリースポイント)
  • Trajekt Sports プレスリリース「Rapsodo and Trajekt Sports, Partner to Offer Advanced Training Tools for Baseball Teams」(Rapsodo技術が全30MLB球団で使用されていることについて)
  • Rapsodo Japan 公式note「ラプソードの計測はどこでできる?~計測できる施設教えます~」(一般利用可能な計測施設リスト)
  • 東京ドームシティ「スポドリ!」トピックス「『Rapsodo Japan × スポドリ!』打球速度を計測できるラプソード打席が誕生!」
  • ZEN SPORTS「室内野球練習場」(ラプソード利用オプション料金・利用案内)
  • Active Sports Japan Academy「BASEBALL – Rapsodo HITTING説明」(打撃系ラプソードで計測できる指標の説明)
  • Rapsodo Baseball Blog「Enhancing Your Game with a Pitch Tracker」(PITCHING 2.0によるスピン・球速・ピッチトンネル分析の説明)

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