千賀滉大の代名詞「ゴースト・フォーク」は、“落ちる”だけの球ではない。打者のスイング判断を最後まで保留させて、空振りか弱い当たりにするタイプの決め球だ。本稿はスタッツとStatcastの球種データを中心に、その「やばさ」を数字で整理する。
まず結論:ゴースト・フォークが「やばい」根拠(数字で)
- 2023年(新人年):2.98 ERA/166.1回/202奪三振
- 2023年:ゴースト・フォーク由来の奪三振が110(全202Kの54.5%)
- 2023年:フォーク(スプリット)被打率 .110/Whiff% 59.5%/PutAway% 28.2%
- 2025年:フォーク(スプリット)被打率 .131/被wOBA .212/Whiff% 41.4%
シーズン別サマリー(MLBレギュラーシーズン)
| 年 | 登板(先発) | 勝敗 | ERA | 投球回 | 奪三振 | 与四球 | 被本塁打 | WHIP |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 29(29) | 12-7 | 2.98 | 166.1 | 202 | 77 | 17 | 1.22 |
| 2024 | 1(1) | 1-0 | 3.38 | 5.1 | 9 | 1 | 1 | 0.56 |
| 2025 | 22(22) | 7-6 | 3.02 | 113.1 | 109 | 55 | 12 | 1.31 |
「ゴースト・フォーク」とは:呼び名はフォーク、分類はスプリット寄り
日本では“フォーク”文脈で語られがちだが、本人の説明では「厳密にはスプリッター(splitter)に近い」とされる。握りや指のかかり方、リリース角度が組み合わさって、打者からは「見えたのに消える」落ち方に見える――それが“Ghost Fork”の由来だ。
Statcastで見る「ゴースト・フォーク」の成績(球種別)
以下はStatcast上の球種分類(Split-Finger/Forkball系)をベースに、打者成績・空振り・決め球性能を並べたもの。数字が一番わかりやすいのは、被打率とWhiff%、そしてPutAway%(2ストライクからの決め率)。
| 年 | Pitch Type(Statcast) | 投球数 | 使用率 | 被打率 | 被SLG | 被wOBA | Whiff% | K% | PutAway% | Run Value(参考) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | Split-Finger / Forkball系 | 664 | 23.8% | .110 | .147 | .195 | 59.5% | 58.5% | 28.2% | +7(RV/100:+1.0) |
| 2024 | Split-Finger / Forkball系 | 24 | 32.9% | .200 | .200 | .267 | 33.3% | 50.0% | 25.0% | 0(RV/100:+0.9) |
| 2025 | Split-Finger / Forkball系 | 540 | 28.4% | .131 | .190 | .212 | 41.4% | 40.7% | 24.6% | +8(RV/100:+1.4) |
“決め球”としての異常性:2023年の奪三振内訳
- 2023年:202奪三振
- そのうちゴースト・フォークで110奪三振(54.5%)
- 被打率.110、Whiff%59.5%、PutAway%28.2%という「数字がそのままハイライト」な水準
球速差が“効く”:速球に見えて、落ち球が間に合わない
ゴースト・フォークの強さは「落差」だけでなく、速球帯とのギャップが噛み合っている点にもある。
- 2023年:4シーム 約95.7mph/フォーク(Split/Fork系)約83.2mph(差:約12.5mph)
- 2025年:4シーム 約94.7mph/フォーク(Split/Fork系)約82.5mph(差:約12.2mph)
この“約12mphの差”は、打者に「速球タイミングのまま待つ」か「落ち球を拾いにいく」かの二択を迫り、結果として空振り(Whiff)と決め球(PutAway)に直結しやすい。
2024年の“空白”と復帰後(2025)の見え方
2024年は故障で出遅れ、レギュラーシーズン登板が大きく限られた。一方で2025年は先発として一定の投球回を戻し、フォーク(Split/Fork系)も使用率28.4%と「軸」になっている。2023年の“怪談レベル”のWhiff%(59.5%)からは落ち着いたが、それでも被wOBA .212は依然として強力な抑止力だ。
まとめ:ゴースト・フォークは「球種」ではなく「奪三振の設計図」
千賀のゴースト・フォークは、派手な落ち方以上に(1)速球とのギャップ、(2)空振り率、(3)2ストライクからの決め性能が揃って“やばい”。特に2023年は、奪三振の過半をこの球で生み出しており、まさに「勝ち筋の中心が1球種にある」タイプの決め球だった。
参考文献
- MLB.com:Senga ghosts Mets teammates with signature pitch(Ghost Forkの握り・呼称の説明)
- MLB.com:Kodai Senga Player Page(2023年のGhost Fork由来K数、Whiff%、PutAway%、被打率などの記述)
- Baseball Savant(Statcast):Kodai Senga(シーズン別成績、Run Values by Pitch Type、球種別Whiff%等)
- FanGraphs:Kodai Senga(投手スタッツ参照用)



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