ネットスラング的に使われるようになった「魔改造」という言葉を、プロ野球の現場で“褒め言葉”に変えた代表格が、福岡ソフトバンクホークスの倉野信次コーチです。ファームで投手の球速や出力を引き上げ、主力へ押し上げてきた手腕が「魔改造」と呼ばれるようになった、とパ・リーグ公式の記事でも整理されています。[1]
2026年もホークス一軍で投手コーチ(チーフ)兼ヘッドコーディネーター(投手)を務めることが公式に発表されており、“投手育成の中枢”として現場に立ち続けています。[2]
本稿では、倉野コーチの功績を「何をしたか」「誰を育てたか」「なぜ再現できるのか」の順でまとめます。
倉野信次とは?——“投手育成の中枢”に立つ人
倉野信次はホークス一筋で現役を終え、2009年から長くホークスの投手コーチを歴任。のちにアメリカでのコーチ研修・マイナーでの指導経験を積み、2024年にホークスへ復帰しました。[3][4]
復帰会見では「自分自身を“魔改造”して帰ってきた」「アメリカと日本のいい部分を融合させて、日本で一番選手が育つ環境をつくりたい」と語っています。[5]
「魔改造」と呼ばれる理由:球速・出力・役割を“現実的に”変える
倉野コーチの指導が「魔改造」と呼ばれ始めた背景について、パ・リーグ公式の記事は2010年代にファームで千賀滉大や武田らの球速を大幅にアップさせ、主軸投手へ育てた点を挙げています。[1]
さらに本人の言語化としては、下半身・体幹を鍛え、投球の出力を上げるプロセスが“再現可能な育成”として語られてきました。たとえば、別媒体の寄稿では、カーター・スチュワートJr.を例に「下半身や体幹を徹底して鍛え、球速が平均で10kmほど上がった」といった趣旨の説明が掲載されています。[6]
功績①:千賀滉大を“育成から主力投手”へ(象徴的ケース)
「倉野=千賀」は、魔改造の象徴として繰り返し語られます。スポニチは、倉野氏がホークスで投手コーチを長く務め、千賀滉大らを次々育てた手腕が“魔改造”と評価されたと紹介。倉野氏が自費で渡米して学んだ経緯も含め、育成者としての立ち位置を明確にしています。[7]
またNumberの記事でも、ソフトバンク黄金期に千賀ら若手を育てたことで“魔改造”と呼ばれたという文脈で、倉野コーチングが語られています。[8]
功績②:「中継ぎ→先発」など“役割の改造”で勝ち筋を増やす
倉野コーチの凄さは、単なる球速アップだけではありません。近年のホークス投手運用では、役割変更(転向)を成功させて戦力化する場面でも存在感が大きい。
パ・リーグ公式の記事では、モイネロの先発転向(助言)や、大津亮介の“新球”を再調整して復活させる過程を、倉野コーチの指導の文脈で取り上げています。[1]
このタイプの“改造”は、個人の成績だけでなく、チームの年間運用(先発枚数・勝ちパ構築)そのものを強くします。
功績③:アメリカで学び、ホークスへ持ち帰った“魔改造2.0”
倉野コーチは2021年シーズン後に一度ホークスを離れ、アメリカでコーチ研修・マイナーでの指導経験を積んでいます。スポニチは、語学の壁に苦しみながらも体当たりで最新コーチングを学んだと報じています。[7]
そして復帰会見でも「日本と米国のいい部分を融合させたい」という趣旨を述べており、現場の“更新”を止めない姿勢がはっきりしています。[5]
「育てた選手」まとめ:倉野コーチの系譜(代表格)
媒体によって取り上げ方は違いますが、少なくとも次の名前は“倉野コーチの魔改造”文脈で繰り返し言及されています。
- 千賀滉大(育成から主力へ/“魔改造”の象徴)[7][8]
- 武田(武田久など)(球速アップ・主軸投手化の例として言及)[1]
- モイネロ(役割転向の成功例として紹介)[1]
- 大津亮介(武器の再調整=“再現性の回復”の例)[1]
- カーター・スチュワートJr.(下半身強化→出力アップの例として言及)[6]
ここに共通するのは、「才能を褒めて終わり」ではなく、どうすれば出力が出るか/どうすれば役割が回るかまで落とし込んでいる点です。
倉野コーチの“功績の本質”:選手だけでなく「育つ環境」を設計する
倉野コーチは2026年も一軍投手部門の中枢(投手チーフ兼ヘッドコーディネーター)に位置づけられています。[2] つまり、個々のフォーム修正だけでなく、
- 育成〜一軍までの接続
- 先発/救援の最適配置
- 伸びるための練習設計と評価
こうした“システム”も含めて、ホークス投手陣の強さを支える存在だと言えます。
まとめ:「魔改造」は派手な変身ではない。“勝てる形”へ近づける現実的なアップデート
倉野信次コーチの魔改造は、SNSでバズる劇的変化だけではなく、
この3つが揃っているのが強み。名コーチ列伝として語るべき功績は、ここにあります。
参考・引用元
- パ・リーグ.com:ソフトバンク先発3投手に好成績をもたらした「魔改造」…(倉野コーチの“魔改造”史と近年の事例)
- 福岡ソフトバンクホークス公式:2026年コーチングスタッフについて(倉野信次:投手コーチ(チーフ)兼ヘッドコーディネーター(投手))
- 福岡ソフトバンクホークス公式:倉野信次(選手名鑑・経歴)
- 週刊ベースボールONLINE:倉野信次(プロフィール/指導歴)
- スポニチ:倉野信次氏のホークス復帰会見(「僕自身を魔改造してきました」等)
- PRESIDENT Online:倉野信次「魔改造」論(下半身強化・球速アップの説明例)
- スポニチ:「魔改造」元ソフトBコーチ・倉野信次さんの米留学と育成論
- Number(文春オンライン):“魔改造コーチ”倉野信次(千賀ら育成の文脈)


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