横浜DeNAベイスターズは2025年12月11日、左腕オースティン・コックス投手(Austin Cox)と2026年シーズンの契約合意を公式発表しました。同球団はシーズン終了後にタイラー・オースティン内野手を自由契約としており、 「打つオースティンが去り、新たに投げるオースティンが加わる」形になります。
ここでは、新加入のオースティン・コックスのプロフィールと近年の成績、投球スタイルを整理し、 これまでDeNAを支えた打者オースティンとの違いにも触れていきます。
オースティン・コックスのプロフィールと経歴
- 名前:オースティン・コックス(Austin Cox)
- 生年月日:1997年3月28日(28歳)
- 出身:アメリカ合衆国ジョージア州メイコン
- 身長/体重:193cm/106kg
- 投打:左投左打
- ポジション:投手
- 経歴:ファースト・プレスビテリアン高 → マーサー大 → ロイヤルズ傘下 → ロイヤルズ → ブレーブス傘下/ブレーブス → DeNA
2018年ドラフトでロイヤルズから5巡目指名を受けてプロ入り。{index=3} マイナーでは先発投手として育成され、2022年にはAAAオマハで147回1/3を投げて防御率4.21・105奪三振を記録するなど、 「ある程度イニングを任せられるタフな先発左腕」として評価されてきました。
メジャーでの成績と近年の動き
2023年:ロイヤルズでメジャーデビュー
コックスのメジャーデビューは2023年ロイヤルズ。 この年は24試合すべてリリーフ登板で0勝1敗1セーブ5ホールド、防御率4.54、35回2/3で33奪三振という成績を残しました。 6月序盤には無失点登板を重ねる好スタートでしたが、シーズン終盤に一塁ベースカバーで左膝を負傷し、前十字靱帯断裂などの大怪我。以降は長期離脱となります。
2024年:AAAオマハ中心のシーズン
膝のリハビリ明けとなった2024年は、ロイヤルズ傘下AAAオマハで主に先発として登板。 シーズン通算では3.90前後の防御率と30イニングで31奪三振と、メジャー復帰をうかがわせる内容を残しました。 しかしロイヤルズはコックスを40人枠から外し、オフにはフリーエージェントとなります。
2025年:ブレーブスで13試合登板、課題も目立つ
2025年はブレーブスとマイナー契約を結び、シーズン途中にメジャー昇格。 13試合(1先発)、21回1/3で防御率8.86、22奪三振、WHIP1.73、被本塁打9と、 奪三振率9.28と三振は取れるものの、被弾が多く失点がかさんだシーズンでした。 それでもニッカンスポーツなどの報道によれば、メジャー通算37試合で1勝1敗7ホールド、防御率6.16と、 リリーフとして一定の経験値を持つ左腕であることが分かります。
投球スタイル:193cmの長身から投げ下ろす左腕
① 最速155キロ前後の速球+変化球3種
Full-Countなどの分析によると、コックスは平均球速92.7マイル(約149km/h)、最速96.3マイル(約155km/h)のフォーシームを軸に、 スプリット、スライダー、カーブを織り交ぜるタイプの左腕です。193cmの長身から角度のあるボールを投げ込むことができ、特に左打者に対してはタイミングを取りづらいフォームと言われています。
② 「三振は取れるが、長打も浴びる」タイプ
2025年ブレーブスでのK/9(9回あたり奪三振)は9.28と、 「三振をしっかり取れるリリーフ左腕」というプロファイルです。 一方で、同年は21回1/3で被本塁打9と長打を浴びる場面も多く、 アメリカの分析記事でも「四球はそこまで多くないが、ホームランに苦しんだ」投手として評価されています。
マイナー通算では164試合で27勝21敗、防御率3.72と安定した成績を残しており、 「本来はゲームメイクもできる先発気質の投手だが、メジャーでは球威頼みになりがちだった」という見方もあります。
“打つオースティン”との違いと、DeNAでの起用イメージ
タイラー・オースティンは6年で85本塁打の主砲
先にDeNAを去ったタイラー・オースティン内野手は、 2020年の来日から6年間で通算403試合・打率.293・85本塁打・236打点をマークした主砲。2024年には打率.316で首位打者を獲得し、日本一にも貢献しましたが、 2025年は故障もあって65試合・打率.269・11本塁打にとどまり、シーズン後に自由契約となりました。
つまり、タイラーは「右の大砲」としてチームの得点源だったのに対し、 今回加入するコックスは「左腕ピッチャー」であり、立場も役割もまったく異なる「別人オースティン」です。
DeNAで期待される役割
球団発表によれば、DeNAはコックスを先発候補として想定しており、年俸は推定100万ドルの単年契約。 バウアー、ケイ、ジャクソンら外国人投手の退団・流出が重なった中で、 「ローテーション候補にもなり得る大型左腕」としての補強と見ることができます。
起用イメージとしては、
- 春先:先発ローテの一角を争う
└ マイナーでの先発実績を踏まえ、キャンプ・オープン戦でイニングを投げさせながら適性をチェック。 - シーズン途中:成績次第で中継ぎ転向も
└ メジャーではリリーフ経験が多く、左キラーとしてブルペンに回すプランもあり得る。
いずれにせよ、「三振を取れる左腕」という点はDeNAにとって大きな魅力であり、 横浜スタジアムという本塁打の出やすい球場で、どこまで被弾を抑えられるかがカギになりそうです。
まとめ:名前は同じ「オースティン」でも、役割は真逆
- DeNAは2025年11月にタイラー・オースティン内野手を自由契約とし、長く主砲を務めた「打つオースティン」が退団した。
- 2025年12月11日には、前ブレーブスの左腕オースティン・コックス投手と2026年シーズンの契約合意を発表。「投げるオースティン」が新たに加わる形となった。
- コックスは193cmの長身左腕で、メジャー通算37試合登板、防御率6.16、55奪三振。2025年はブレーブスで13試合に登板し、防御率8.86ながらK/9=9.28と三振を量産した。
- マイナーでは防御率3点台後半・27勝21敗と、先発としてある程度イニングを任せられるタイプで、DeNAも先発起用を想定している。
- 課題は、メジャーで目立った被本塁打の多さと、膝の大怪我を含む故障歴。 それでも「三振が取れる大型左腕」という希少性は高く、投手版オースティンがハマれば、 DeNA投手陣の顔ぶれは大きく変わる可能性がある。
参考文献・出典
- 横浜DeNAベイスターズ公式サイト「2026年シーズン 選手契約について(オースティン・コックス)」
- 日刊スポーツ「【DeNA】新外国人左腕オースティン・コックスの獲得を発表 今季ブレーブスで13試合登板」
- Full-Count「DeNA、新外国人左腕・コックスを獲得 今季メジャー13試合に登板」ほか関連報道
- MLB公式サイト「Austin Cox Stats, Bio」
- Baseball-Reference.com「Austin Cox Stats」「Austin Cox Minor Leagues Statistics」
- ESPN / Yahoo! Sports / サンケイスポーツ 各社選手ページ(2025年ブレーブスでの詳細成績)
- Kings of Kauffman「Has this promising KC Royals pitcher damaged his future?」
- NPB公式サイト「T.オースティン 個人年度別成績」
- Full-Count「DeNAがオースティンとフォードを自由契約 ともに昨季の日本一に貢献」
- スポニチアネックス「DeNA オースティンとフォードを自由契約 6日にウエイバー公示」



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