野球ファンのネットスラングとして知られる「加速するストレート」という言葉――これは決して物理学の専門用語ではありませんが、なんJ(5chの野球版)で一時話題になった中村勝のストレートが“加速”しているという持論に端を発しています。[1]
その理論の根拠として持ち出されたのが「マグヌス効果」で、反論スレでは「違う」というレスポンスが定番化しました。このやり取りには、宗教裁判にかけられたガリレオ・ガリレイに例えられるほどの熱量と混乱が生まれました。[1]
「加速するストレート」とは何か?
発端は、なんJ内で「中村勝のストレートは“落ちない”どころか投手の手を離れてからも加速している」というレスでした。[1] これを主張したID:Ai2ljNA1は、空気抵抗やマグヌス効果を独自解釈し、「HOP-UPしてるから落ちずに加速している」と説明しました。[1]
その後、この理論と「宗教裁判にかけられたガリレオの気持ちが分かる」という一言、そして定番レス「違う」がセットでミーム化し、なんJ民の中で長く語り継がれるネタになりました。[1]
マグヌス効果とは本来何を指すのか
一方で、物理学的に「マグヌス効果」は実在する現象であり、反対側の物理理論として確立されています。[2] これは回転する球体や円柱が流体中を移動するとき、回転方向に応じて進行方向と直交する力が働く現象です。[2]
野球でも、バックスピンが強い速球は重力による落下を減らし、いわゆる“落ちにくいストレート(体感ライズ)”を作ることが知られています。実際、MLB投手の速球がバックスピンによって「縦変化が小さく、落ちにくい」ことがデータとして示されています。[3]
なぜ「マグヌス効果=加速」は誤解なのか
物理学的には、マグヌス効果にはボールを進行方向に加速させる力は存在しません。[1] 実際には、空気抵抗によってボールは放物線状に減速し、どんなに回転が強くても空気抵抗の影響で最終的には減速します。[1]
つまり、「ホップアップして重力を打ち消す」「加速し続ける」という解釈は、空気抵抗・重力・揚力のベクトルの作用を誤認したものです。[1]
なんJ的表現とネタ文化としての価値
この議論は、単なる物理学の誤解以上に、ネット文化として面白い側面を持ちました。 – 独自理論を展開した「マグヌスニキ」 – それをひたすら「違う」と返す定番レス – 宗教裁判に例えるネタ性 などがミーム化し、スレタイやレス文面だけで笑いが共有される典型例となりました。[1]
また「中村勝のストレートは実際に落ちにくい」という部分は、マグヌス効果の影響を強く受けた球質として理解可能であり、理論自体が完全な空想ではなかった点も含めて語られることが多いです。[3]
結論:物理学は「違う」、でも文化としては“正しい”
結局のところ、マグヌス効果そのものは科学的に確立された現象であり、速球が落ちにくくなる仕組みとして説明が可能です。[2] 一方で、「加速し続ける」「HOP-UPしている」といった表現は物理的には誤解であり、あくまで言語化や比喩として受け止める必要があります。[1]
そして、ネットスラングとしての「違う」「宗教裁判にかけられたガリレオの気持ちが分かる」のようなフレーズは、物理学とは一線を画しながら、野球ファン文化の“熱量”を示す象徴的なネタとして生き続けています。



コメント