広島東洋カープは11月22日、新外国人投手としてフレディ・ターノック(Freddy Tarnok)との契約合意を発表しました。
1998年11月24日生まれの26歳、身長193cm・体重84kgの長身右腕で、これまでブレーブス、アスレチックス、マーリンズでメジャー登板経験のある本格派です。
球団発表と米メディアによると契約は2026年シーズンの1年契約で、年俸は150万ドル+出来高とみられています。 デイリースポーツは「最速157キロの新助っ人で、先発の中でのトップ候補」と報じており、カープ先発陣の軸としての期待がうかがえます。
フレディ・ターノックの基本プロフィール
- 名前:フレディ・ターノック(Freddy Tarnok)
- 生年月日:1998年11月24日(26歳)
- 出身:アメリカ・フロリダ州ブランドン
- 身長/体重:193cm・84kg
- 投打:右投右打
- ポジション:投手
- ドラフト:2017年MLBドラフト3巡目(全体80位)でアトランタ・ブレーブスから指名
- 経歴:ブレーブス → アスレチックス → フィリーズ(マイナー) → マーリンズ → 広島東洋カープ
母親がタイ出身で、ターノック自身はタイ系アメリカ人というユニークなバックグラウンドも持っています。
高校時代〜プロ入り:投手転向で一気に開花
ターノックはフロリダ州リバービュー高校では遊撃手兼投手の二刀流としてプレーしましたが、本格的に投手へ専念し始めたのは高校後半。 最終学年の2017年には、7勝0敗、防御率0.66、53回で63奪三振と圧倒的な成績を残し、打者としても打率.393と活躍しました。
この活躍が評価され、2017年ドラフトでブレーブスから3巡目指名。大学進学の約束を断りプロ入りし、 「長身・速球派・後発組の投手」という、伸びしろ十分の素材型右腕としてプロキャリアをスタートさせます。
マイナー時代:三振の多さと制球の波
ブレーブス傘下での成長
プロ1年目のルーキーリーグ(GCLブレーブス)では、8試合先発で防御率2.57と上々のスタート。 2018年はA級ローム・ブレーブスで27試合(11先発)、5勝5敗、防御率3.96、77回1/3で83奪三振と、イニング以上の三振を奪う能力を見せました。
2019年はハイA級フロリダ・ファイアフロッグスで故障もありつつ、19先発で防御率4.87。2020年はマイナーリーグ全体のシーズン中止で実戦機会を失います。
ブレイクの兆しが見えた2021年
2021年はA+級ロームとダブルA級ミシシッピでプレーし、合計16試合(14先発)で6勝4敗、防御率3.44、109奪三振。 特にダブルAでは9試合で防御率2.60と好投し、ブレーブスの有望株として各種プロスペクトランキングにも名前が挙がるようになりました。
マイナー通算の数字
MiLB公式によると、2025年シーズン終了時点のマイナー通算成績は以下の通りです。
- 登板:156試合(先発101試合)
- 成績:23勝31敗4セーブ
- 防御率:4.06
- 投球回:499回1/3
- 奪三振:539(9.7K/9相当)
- WHIP:1.29
三振はしっかり奪える一方で、四球がやや多く、防御率4点台という「荒削りなパワーピッチャー」という傾向が数字にも表れています。
メジャーでの実績:イニングは少ないが高い奪三振能力
ターノックは2022年にブレーブスでメジャーデビュー。翌2023年には大型トレードでアスレチックスへ移籍し、さらに2025年にマーリンズでプレーしています。
MLB通算成績(〜2025年)
- 登板:11試合(先発1試合)
- 成績:2勝1敗1セーブ
- 防御率:3.97
- 投球回:22回2/3
- 奪三振:25
- WHIP:1.24
※Baseball-ReferenceおよびStatcastより。
シーズン別の簡単な内訳
- 2022年(ブレーブス):1試合登板、0.2回を投げて無失点。
- 2023年(アスレチックス):5試合(1先発)、1勝1敗、防御率4.91、14回2/3で14奪三振。シーズン途中で股関節の手術を受け、登板機会は限られました。
- 2025年(マーリンズ):5試合全てリリーフで登板し、1勝0敗1セーブ、防御率2.45、7回1/3で10奪三振、WHIP0.68。
三振率35.7%、四球率14.3%と「三振も多いが四球も多い」ハイリスク・ハイリターン型の投球内容でした。
メジャーでまだ22回2/3しか投げていないためサンプルは小さいものの、奪三振能力の高さは十分に証明済みと言える内容です。
2025年の3A成績:先発でもリリーフでも結果を残す
マーリンズ傘下の3Aジャクソンビルでは、2025年に主に先発として29試合登板(10先発)、4勝2敗、防御率3.28、68回2/3で73奪三振、WHIP1.12という好成績。 2024年はフィリーズ傘下3Aで苦しみましたが、翌年にしっかり立て直した形です。
3Aレベル通算では、4球団で7勝9敗、防御率4.08、161回で167奪三振。近年はリリーフ起用も増え、 「先発もリリーフもできるパワー右腕」というのが直近の立ち位置でした。
投手としての特徴:157キロのストレート+4球種
速球:平均150キロ台前半、最速157キロ
スカウティングレポートによると、ターノックの最大の武器は平均94〜96マイル(約151〜154キロ)、最速98マイル(約157キロ)の4シーム・ファストボール。 デイリースポーツも「最速157キロ右腕」として紹介しており、角度のある真っすぐで空振りを奪えるタイプです。
変化球:カーブ・スライダー・チェンジアップ
ターノックは以下の4球種を操る本格派です。
- フォーシーム(4シーム):60グレード評価のプラスピッチ。ホップ成分が強く、ゾーン上部で空振りを取りやすい。
- カーブ:80〜82マイル前後。縦に大きく割れるタイプで、決め球としても使える。
- スライダー:84〜86マイル。スイングさせて空振りを狙う球で、マイナーでは40%近い空振り率を記録したシーズンもあるとされます。
- チェンジアップ:86〜88マイル。腕の振りが真っすぐと近く、左打者への有効な武器。
一方で、コントロールは45グレードと評され、「ゾーンに投げ込む安定感」は課題とされています。 実際に3Aやメジャーでも奪三振率は高い一方で、四球率もやや高めというデータが出ています。
怪我の履歴:肩・股関節・足首を乗り越えて
ターノックはここ数年、ケガとの戦いも続いてきました。
- 2023年:右肩の張りで長期離脱。シーズン終盤には右股関節のラブラムと軟骨の修復手術を受け、シーズン終了。
- 2024年:股関節のコンディション不良もあり、フィリーズ傘下3Aで防御率6.33と苦戦。
- 2025年:マーリンズ傘下で復活しつつも、シーズン終盤には足首の捻挫も経験。
ただ、2025年の3Aとメジャーでの数字を見る限り、手術後の球威・球質はかなり戻っていると考えて良さそうです。 広島としては、先発ローテーションの一角として年間通じて投げてもらえるかが最大のポイントになります。
カープでの起用法と成功のカギ
1. 先発の「トップ候補」としてローテ争いへ
デイリースポーツによると、球団関係者はターノックを「先発の中でのトップ候補」として評価しており、 150キロ台のストレートをコンスタントに投げることができる本格派先発として期待しています。
2025年の広島は森下、床田、大瀬良らを中心にローテを回しましたが、二桁勝利投手ゼロと「決め手に欠ける」シーズンでもありました。 そこに、まだ26歳で伸びしろも十分なターノックが加わることで、ローテーションの厚みと“爆発力”の両方を求める狙いが見えます。
2. 課題はコントロールとスタミナ
NPBで成功するためのカギは、以下の2点に集約されます。
- 四球の減少:
マーリンズでのメジャー登板では三振率35.7%に対し四球率14.3%と、制球面の課題がデータにも表れています。 日本のストライクゾーンや配球に慣れ、ボール1個分の出し入れができるようになると、一気に数字が安定するタイプです。 - 年間を通した健康維持:
肩・股関節・足首と、ここ数年は故障が続いたキャリアでした。6人ローテが基本のNPBでは、 無理をさせ過ぎずにシーズン140〜150回を目指す形が理想的と言えるでしょう。
3. 日本向きのポイントも多い
一方で、ターノックには日本でプラスに働きそうな要素も多くあります。
- 高めの真っすぐとフォーク系のチェンジアップで空振りを取れる球種構成。
- カーブ・スライダーも含めた4球種で、球数を抑えながらイニングを稼げるポテンシャル。
- タイ系のルーツも含めて、異文化への適応意欲が高いタイプとされている点。
制球と健康面さえクリアできれば、「ローテ上位〜エース級に化ける可能性もある素材」と言っていいでしょう。
おまけ:ターノックの投球を可視化してみた
例によって、可視化の精度には限界があるので参考程度です。スタンスはちょっと短めで投げおろすような感じの投球でしょうか。。。
まとめ:ターノックは「リスク込みだがリターンの大きい」補強
- フレディ・ターノックは最速157キロの4シームと4球種を操る本格派右腕。
- マイナー通算499回1/3で539奪三振、3Aでも2025年に防御率3.28と復活気配を見せた。
- メジャー通算は11試合22回2/3で防御率3.97、25奪三振と、短いイニングながら結果を残している。
- 一方で故障歴と制球の波というリスクも抱えており、NPBでの成否は「健康維持」と「四球の減少」が勝負どころ。
- それでも26歳という若さと球威を考えれば、当たれば大きい“ローテーションのゲームチェンジャー”候補の補強と言えます。
カープファンとしては、春季キャンプやオープン戦でのボールのキレや制球、長いイニングを投げたときのスタミナをチェックしながら、 「どこまでローテの柱になれるか」を見守っていきたいところです。



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