東京ヤクルトスワローズが、前エンゼルス傘下の左腕ホセ・キハダ投手(José Quijada)の獲得調査を進めていると報じられました。
報道によれば、最速157km/hのストレートを武器にメジャー通算142試合登板、2023年WBCではベネズエラ代表として登板した実績十分のリリーフ左腕です。 日本語表記にすると「キハダ」で、思わずキハダマグロを連想してしまう特徴的な名前ですが、その中身はかなり本格派のパワーリリーバーです。
ここでは、キハダのこれまでの経歴とスタッツ、投球スタイルを整理しつつ、ヤクルトの投手事情とどう噛み合いそうかを見ていきます。
ホセ・キハダのプロフィールと経歴
- 名前:ホセ・グレゴリオ・キハダ(José Gregorio Quijada)
- 生年月日:1995年11月9日(30歳)
- 出身:ベネズエラ・モナガス州カリピト
- 身長/体重:約180cm/97〜98kgのがっちり体型
- 投打:左投左打
- ポジション:リリーフ専任(メジャー登板は全試合中継ぎ)
- 主な所属:マーリンズ(2019)→ エンゼルス(2020〜2025)
キハダは16歳でマーリンズとアマチュアFA契約を結び、2019年にメジャーデビュー。その後エンゼルスに移籍し、2020年以降は主にリリーフとして起用されてきました。 2023年の第5回WBCでは、ベネズエラ代表の一員としてリリーフ登板しており、国際大会も経験済みです。
名字の「キハダ」はスペイン語読みで「キハーダ」に近い発音ですが、日本語表記だとどうしても「キハダマグロ」のキハダを思い出してしまいます。 “マグロネタ”にしやすい名前ですが、本人はしっかりと実績を持つメジャー左腕です。
これまでの成績をざっくり整理
MLB通算成績
キハダのメジャー通算成績(2019〜2025年)は、おおまかに以下のような数字です。
- 登板:142試合
- 勝敗:4勝14敗
- セーブ:8セーブ(ホールドも多数)
- 投球回:約129回1/3
- 防御率:4点台後半(4.5〜4.6前後)
- 奪三振:175個前後
- WHIP:1.4台
勝敗や防御率の見栄えはそこまで良くありませんが、奪三振率が高く、K/9は12〜13個に達するシーズンもあるタイプ。 コントロールに難はあるものの、「三振を取れるパワー左腕」というのが総合的なプロフィールです。
好調時と不調時の差が大きい最近3年
直近のシーズンごとの流れを簡単にまとめると、次のようになります。
2022年:自己最多42試合登板
- エンゼルスで42試合登板・防御率約3.9、52奪三振
- クローザー経験もあり、3セーブをマーク
- 速球を主体に空振りを奪うパワー左腕として評価を上げたシーズン
2023年:シーズン序盤でトミー・ジョン手術
- 開幕から10試合登板、防御率6.00
- 4セーブを挙げたものの、4月末に左肘の炎症で離脱
- 検査の結果、トミー・ジョン手術(左肘靱帯再建手術)を受けてそのままシーズン終了
2024年:復帰シーズンで3.26防御率
- エンゼルスで22試合・2勝2敗・防御率3.26
- 19回1/3で24奪三振、被打率.190と「打たれにくさ」は優秀
- 一方で与四球17と制球難は相変わらずで、WHIPは1.5前後
2025年:メジャー登板はわずか、3A中心にリリーフ
- メジャーではごく短期間の登板のみ
- 3Aでは13試合・13回2/3・防御率1.98・18奪三振・8四球とまずまずの内容
トミー・ジョン手術の影響もあり、2023年以降は「健康状態」と「制球力」の波で評価が揺れ動いている投手と言えます。
キハダの投球スタイル:ストレート+チェンジアップのパワーレフティ
150km/h超の4シームが軸
キハダの最大の武器は、平均150km/h台前半・最速157km/hと言われる4シームファストボールです。 リリースポイントがやや低く、「低い位置から浮き上がるような真っすぐ」で空振りやフライを量産するスタイル。 ストレートの使用率は7割を超えるシーズンもあり、ほぼストレートで押していくパワーピッチャーです。
決め球はチェンジアップ+スライダー
変化球は
- 140km/h前後のサークルチェンジ
- スライダー(カッター気味のボールも含む)
の2種類が中心。 ストレートでカウントを作り、チェンジアップで空振りを狙うか、外に逃げるスライダーでゴロ・フライを打たせる配球が多くなっています。
長所:奪三振能力の高さ
好調時のキハダは被打率1割台前半〜2割前後、K/9は12〜13という数字を残しており、 「当てられても弱いフライ」「当たらなければ三振」という、典型的な“空振り型リリーバー”です。
短所:制球難と一発リスク
一方で、四球率が高く、毎シーズンBB/9が6前後になるのが大きな弱点です。 四球でランナーをためて長打を浴びるパターンが多く、メジャーでは防御率の割に信頼度が上がり切らなかった要因にもなっています。
フライボールピッチャー寄りのため、本塁打を打たれやすい球場だとリスクは上昇しますが、 神宮→バンテリンドームほどではないものの、神宮も一発が出やすい球場なので、制球面の修正は不可欠です。
ヤクルトの投手事情と、キハダがハマりそうなポジション
2025年のチーム成績:投手はリーグ下位
2025年シーズンのヤクルトは、57勝79敗7分・勝率.419で5位。 チーム防御率は3.59でセ・リーグ6球団中5位と、投手力は上位陣に一歩及びませんでした。 特に先発陣の安定感不足が目立ち、「試合中盤までもたずに救援陣の負担が増える」展開が多かったシーズンです。
ブルペン自体はレベルが高いが…
一方で、2025年のヤクルトは救援陣の指標が非常に優秀だったことも特徴的です。 40試合以上登板で防御率1点台を記録した投手が複数人おり、
- 大西広樹
- 荘司宏太
- 星知弥
- 矢崎拓也
といった面々が、60〜70試合に迫るペースでフル回転しました。 とはいえ、彼らの多くは右投手で、「左のパワーリリーバー」「クローザー候補」というタイプは手薄なままです。
キハダの役割予想:勝ちパターンの一角〜クローザー候補
報道では、ヤクルトはキハダを「新たなクローザー候補」としてリストアップしているとされています。 すでに右の星知弥らが終盤を担っていますが、
- 相手のクリーンアップに左打者が多い場面
- 連戦で右の勝ちパターン組を休ませたい場面
などを考えると、「左のストッパー/セットアッパー」を1枚増やしたいニーズがあるのは自然です。
キハダがもし加入すれば、
- 8〜9回の高めゾーンで三振を奪うワンポイント以上の存在
- 右打者にもストレートで押せるので、左右関係なく終盤の1イニングを任せられる存在
として起用される可能性が高いでしょう。
“キハダ(マグロ)”左腕は活躍できそうか?
相性が良さそうなポイント
- 奪三振能力:投高打低傾向が続くNPBでは、「ランナーを出しても三振で切り抜けられる」タイプは戦力になりやすい。
- 球場サイズ:本拠地・神宮は本塁打が出やすいものの、地方球場やビジター球場を含めれば、MLB西地区ほどの“ホームラン地獄”ではない。
- 既存ブルペンとの分業:既に右の勝ちパターンは充実しており、キハダを「左の一枚」として計画的に休ませながら使える。
リスク要因
- 肘の手術歴:2023年にトミー・ジョン手術を受けており、連投やフルシーズン稼働にどこまで耐えられるかは未知数。
- コントロール:四球率の高さはメジャー時代からの課題で、日本のストライクゾーンに適応できないと「自滅パターン」が増える危険もある。
- フライボール傾向:高めストレート主体のスタイルのため、甘く入ると神宮のライトスタンド行きになりやすい。
とはいえ、年齢はまだ30歳で、直近の3Aやメジャーでも球威自体は戻ってきている点はポジティブです。 「四球をある程度覚悟しながらも、それを上回る三振と一発の魅力に賭ける」という意味では、NPB向きのロマン枠リリーフとも言えます。
“キハダ(黄肌)マグロ”のように、ガツンと一発で相手打線を切り裂く左腕になれるのか——。 ヤクルトが本格的に獲得へ動くのか、そして実際に入団した場合どんな起用になるのか、今後の報道にも注目したいところです。
参考文献・出典
- MLB.com「José Quijada Stats, Bio」
- ESPN「Jose Quijada Career Stats」
- Baseball Savant「José Quijada – Statcast, Visuals & Advanced Metrics」
- MiLB.com「José Quijada – Minor & Major League Statistics」
- Wikipedia日本語版「ホセ・キハダ」
- サンケイスポーツ/Yahoo!ニュース「ホセ・キハダの獲得調査 大谷翔平の元同僚」
- Yahooリアルタイム検索まとめ「ヤクルト、最速157キロ左腕キハダ獲得調査へ」
- note「助っ人候補25-26 中継ぎ投手(ホセ・キハダ項目)」
- Field Level Media/Reuters「Angels reach agreement with LHP Jose Quijada」
- NPB.jp「2025年度 セ・リーグ チーム投手成績」「2025年度 公式戦成績」
- note「ヤクルト救援陣、『40試合以上登板で防御率1点台』が4人」



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