日本ハム有薗直輝がイースタン打撃三冠王に!過去のイースタン活躍選手から“ブレイク確率”を考える

野球

2025年シーズンのイースタン・リーグで、北海道日本ハムファイターズの有薗直輝内野手が首位打者・本塁打王・最高出塁率の打撃三冠を獲得しました。NPBアワーズのファーム表彰でも、打率.306、18本塁打、出塁率.390という圧巻の数字が公式に紹介されています。

高卒4年目での「ファーム三冠王級」のインパクトは、球団ファンだけでなくプロ野球ファン全体の注目を集めています。一方で、「二軍で無双しても一軍で活躍できるとは限らない」という声があるのも事実。 本稿では、有薗直輝のプロフィールと2025年の成績を整理しつつ、過去のイースタン打撃タイトルホルダーたちがどんなキャリアを歩んだのかを振り返り、「三冠王=一軍スター」と言えるのかを考えてみます。


有薗直輝とはどんな選手か

  • 名前:有薗 直輝(ありぞの・なおき)
  • 生年月日:2003年5月21日(22歳)
  • 出身:千葉県旭市
  • 身長/体重:185cm/およそ100kg
  • 投打:右投右打
  • ポジション:一塁手/三塁手/外野手
  • 経歴:千葉学芸高 → 日本ハム(2021年ドラフト2位)

高校時代は千葉学芸高で1年春から4番を任され、高校通算70本塁打の右の長距離砲として注目を集めました。甲子園出場こそなかったものの、「スケールの大きな右のスラッガー」として日本ハムからドラフト2位指名を受けています。

プロ入り後は三塁・一塁を中心に複数ポジションをこなしつつ、打撃面では「パワーはあるがコンタクトに課題」という典型的な長距離砲タイプとして成長途上でした。しかし2025年、ついに打撃成績が一気に開花します。


2025年:イースタン打撃三冠の内容

打率.306・18本塁打・出塁率.390

2025年のイースタン・リーグでの有薗の主要成績は以下の通りです。

  • 打率:.306(首位打者)
  • 本塁打:18本(本塁打王・2位に7本差)
  • 出塁率:.390(最高出塁率)

NPB公式の本塁打ランキングでも、2位の山口航輝(ロッテ)の11本を大きく引き離して単独トップ。パ・リーグ公式サイトの解説では、「打率3割&15本塁打以上」はファーム全体でも6年ぶりで、直近10年間でも塩見泰隆(ヤクルト)、山川穂高(西武)ら限られた面々しか達成していない“別格クラス”のシーズンだと紹介されています。

一軍でもプロ初安打&初打点

一軍では2025年に自身最多の12試合に出場し、打率.226(7安打)、2本の二塁打を記録。:c 8月13日のロッテ戦では、種市篤暉からセンターオーバーの二塁打を放ち、プロ初安打&初打点をマークしています。: まだサンプルは少ないものの、「一軍のボールに対応できるだけのスイングスピードと打球速度」を見せたシーズンだったと言えるでしょう。

指標から見える“伸びしろ”

パ・リーグインサイトが公開したデータでは、有薗は2025年シーズンにおいて

  • コンタクト率が76.3%まで向上
  • ボールゾーンスイング率が22.6%まで低下(前年より大幅改善)
  • フライ打球時の打率.480、HR/FB(フライの何%が本塁打か)が14.1%

といったデータが示されており、「振るボールの質が良くなった結果、フライの質も一気に向上した」ことが分かります。 もともとの長打力に、選球眼とコンタクト能力が追いつきつつある段階と言ってよさそうです。


過去のイースタン打撃タイトルホルダーの“出世率”は?

スターになった例:中田翔、筒香嘉智、山川穂高、岡本和真など

パ・リーグインサイトがまとめた「2009年以降のイースタン打撃三部門タイトルホルダー一覧」を見ると、二軍でタイトルを獲ってから一軍の主砲へ成長したケースが多数あります。 代表的なところを挙げると、

  • 中田翔(日本ハム):2009年にイースタンで本塁打王・打点王の二冠(30本・95打点)→のちにパ・リーグ本塁打王・打点王を獲得する球界屈指のスラッガーへ。
  • 筒香嘉智(横浜):2010年に本塁打王・打点王の二冠(26本・88打点)、2011年にも本塁打王。→DeNAで中軸を担い、日本を代表する長距離砲に。
  • 山川穂高(西武):2014年・2016年にイースタン本塁打王(21本、22本)。→一軍でも本塁打王を複数回獲得。
  • 岡本和真(巨人):2016年打点王(74打点)。→のちにセ・リーグ本塁打王・打点王の常連に。
  • 銀次(楽天):2011年に首位打者、翌年以降は一軍で打率.280台〜.300前後をコンスタントに記録。

このあたりの顔ぶれを見ると、「イースタンで長打タイトルを取る=将来の主力候補」という図式はかなり成立していることが分かります。

一方で“二軍の帝王”にとどまった例も

同じ一覧を見ると、ムニス(ロッテ)、隠善智也(巨人)、鵜久森淳志(日本ハム)、和田恋(巨人)ら、二軍ではタイトルを獲得しながら一軍ではレギュラー定着に至らなかった選手も少なくありません。:役割はユーティリティや代打要員にとどまるケースや、他球団へ移籍してようやく出場機会を得るケースもあり、「タイトル=一軍確約」ではないのが実情です。

つまり、「イースタンで打撃タイトルを獲った選手の一部はスターへ、一部は層の厚さや適性の問題で伸びきれない」というのが、ここ10数年の大まかな傾向だと言えそうです。


“ファーム三冠王”のジンクスと有薗

もう少し長いスパンで見ると、「ファーム三冠王は意外と一軍で成功していない」という指摘もあります。BASEBALL KINGのまとめによると、ファームで三冠王(首位打者・本塁打王・打点王)を獲得したのは庄司智久、ボニチ、ポール、メヒアらごく少数で、その多くが一軍でレギュラー定着に苦しんでいます。

  • 庄司智久(巨人):1977年に三冠王+盗塁王の「四冠」。しかし巨人では外野のレギュラーが埋まっており、ロッテ移籍後にようやく規定打席に到達。
  • ボニチ(オリックス)・ポール(西武):90年代〜2000年代にかけて二軍で三冠王を獲得するも、外国人枠の関係などもあり一軍での出場機会は限定的。
  • メヒア(広島):2018年にファーム三冠、翌年も本塁打&打点の二冠。ただし一軍では準レギュラー級にとどまっている。

記事では「ファーム三冠王だからといって、一軍でもそのまま三冠級の成績を残せるとは限らない」という“ジンクス”も紹介されています。有薗の場合、NPBアワーズの区分では「首位打者・本塁打王・最高出塁率」の“打撃三冠”であり、打点王は別選手ですが、「ファームで突出した成績を残した若手スラッガー」という意味では、こうした先人たちと同じ土俵に立ったと言えます。


有薗の“期待値”をどう見るか

ポジティブ材料:実績ある先例に近いタイプ

過去のイースタン打撃タイトルホルダーの中で、有薗と似た「右の長距離砲タイプ」で成功した例としては、中田翔、山川穂高、岡本和真といった名前が挙がります。 これらの選手に共通しているのは、

  • ファームの段階で「三割近い打率+二桁本塁打」をコンスタントに記録していたこと
  • 20代前半のうちに一軍でまとまった打席数を与えられたこと
  • 守備位置が一塁・三塁・外野と、中軸打者が比較的起用されやすいポジションだったこと

有薗も同じく右の長距離砲であり、三塁・一塁・外野をこなせるポジション適性を持つ点はプラス材料です。:2025年時点でまだ22歳という年齢を考えれば、「この先1〜2年で一軍の打席数が増えれば、中長期的に中軸候補として育っていくシナリオ」は十分に現実的と言えるでしょう。

懸念材料:日本ハム内のポジション争い

一方、現在の日本ハムは郡司裕也、清宮幸太郎、野村佑希、アリエル・マルティネスら、一塁・三塁・指名打者を争う右打者・左打者が豊富です。 ファームでどれだけ打っても、一軍でのポジションが空いていなければ「二軍の帝王」のまま時間だけが過ぎてしまうリスクはあります。

このあたりは、過去に中田翔や山川穂高が「チーム事情もあって一軍の打席を掴んだ」ことと対照的です。
有薗の“期待値”は高いが、その確率をどこまで引き上げられるかは、日本ハムがどういったポジション設計をするかに大きく左右されるといえそうです。

総合すると…“スター候補生”であることは間違いない

データ面では、

  • 打率.306・18本塁打・出塁率.390の三冠級成績
  • コンタクト率・選球眼の大幅改善
  • 広角に長打を打ち分けられる打球方向のバランス

といった要素から、「ファームの成績がフロックではない」ことが数字に裏打ちされています。過去のイースタン活躍組の中でも「スターコース」に近いプロファイルを持っているのは間違いありません。

あとは、どれだけ一軍で我慢して使ってもらえるか。 もし2026年シーズン以降、一軍で400打席前後のチャンスを与えられれば、「イースタン三冠王がそのまま一軍の主砲へ」という理想的な成長曲線も十分にあり得るでしょう。


まとめ:イースタン三冠王=約束された成功ではないが、“大当たり候補”であることは確か

  • 有薗直輝は2025年イースタン・リーグで打率.306・18本塁打・出塁率.390の成績を残し、「首位打者・本塁打王・最高出塁率」の打撃三冠を獲得した。
  • コンタクト率やボール球スイング率などの指標も大きく改善し、「パワーに確実性が追いつきつつある段階」に入っている。
  • 過去のイースタン打撃タイトルホルダーには、中田翔、筒香嘉智、山川穂高、岡本和真ら一軍スターも多く、「主砲候補の登竜門」となってきた歴史がある。
  • 一方で、ファーム三冠王を含め「二軍では無双しながら、一軍では出番や適性に恵まれなかった」選手も少なくない。
  • 有薗のポテンシャルは間違いなく“当たりクラス”。あとは、日本ハムのポジション事情と起用方針次第で、イースタン三冠王がどこまで一軍の数字に繋がるかが決まってくる。

「イースタン三冠王=自動的に一軍の大スター」ではありません。それでも、過去の成功例・データ・年齢・ポジションすべてを踏まえると、有薗直輝が“隠れた大物候補”であることはほぼ疑いようがないと言っていいでしょう。 2026年以降、一軍の舞台でどこまで数字を伸ばせるのか――ファイターズ打線の未来を占う重要な注目株になりそうです。


参考文献・出典

  • 「有薗直輝が打撃3冠、笹川吉康も2冠 2025年ファーム表彰選手」パ・リーグ.com(2025年11月26日)
  • 「二軍で圧倒的な成績を残したファイターズの若手スラッガーは来季ブレークを果たせるか」パ・リーグインサイト/スポーツナビ(2025年12月12日)
  • 「2025年度 イースタン・リーグ 本塁打 リーダーズ」NPB.jp(2025年シーズン成績)
  • 「チームの主砲も多数輩出。過去11年の二軍打撃タイトル獲得者と、その現在地」パ・リーグ.com(2020年1月17日)
  • 「スーパー“育成”ルーキー・山下航汰に期待!歴代『イースタン首位打者』のその後」BASEBALL KING(2019年12月9日)
  • 「ファーム三冠王は活躍できない? 広島・メヒアが立ち向かうジンクス」BASEBALL KING(2020年5月9日)
  • 「有薗直輝 選手名鑑」北海道日本ハムファイターズ公式サイト
  • 「有薗直輝」Wikipedia日本語版
  • 「有薗直輝 個人年度別成績」NPB.jp
  • 「千葉学芸高の有薗を2位指名 高校通算70発右の長距離砲」道新スポーツ(2021年10月12日)

コメント

タイトルとURLをコピーしました