サウリン・ラオを日本ハムが獲得か?ようやく補強に動いたファイターズ、異色右腕はどんなピースになるのか

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北海道日本ハムファイターズが、MLBワシントン・ナショナルズ傘下の右腕 サウリン・ラオ(Sauryn Lao)2年総額300万ドル超・2年目クラブオプション付きで契約合意に達した、と米記者や国内アカウントが相次いで報じています。 まだ球団からの正式リリースは出ていないものの、「ほぼ決まり」と見てよさそうな状況です。

今オフの日本ハムは、ドラフトやトレードでは動きがあった一方で、新外国人投手の補強がなかなか決まらず“出遅れ感”が指摘されてきました。 そんな中で名前が浮上したのが、「元内野手→コンバートでメジャーまでたどり着いた26歳の異色リリーバー」サウリン・ラオです。

ここでは、ラオのこれまでの経歴とスタッツ、投球スタイル、そして日本ハム投手陣の中でのハマりどころを整理していきます。


プロフィールと経歴:元・内野手の異色右腕

  • 名前:サウリン・ラオ(Sauryn Lao)
  • 生年月日:1999年8月14日(26歳)
  • 出身:ドミニカ共和国・バラオナ
  • 身長/体重:約188cm/82kg(6フィート2インチ・182ポンド)
  • 投打:右投右打
  • ポジション:投手(リリーフ中心)
  • 所属歴:ドジャース傘下 → マリナーズ → ナショナルズ

ラオの最大の特徴は、プロ入り時は内野手だったという点です。 2015年にロサンゼルス・ドジャースと国際FA契約を結んだ時の登録は三塁/一塁の内野手。 2017年のドミニカ夏季リーグでは打率.303、出塁率.373、長打率.412と、 「走れて打てる内野プロスペクト」として順調にステップアップしていました。

その後もルーキーリーグ〜Aクラスで二桁本塁打を記録するなど打撃型内野手として育成されますが、
A+クラス以降で頭打ちになり、2022年に投手へ本格コンバート。 2023年からは完全に投手一本となり、わずか2〜3年でダブルA〜トリプルAまで一気に駆け上がったという、かなり異色のキャリアです。


MLBデビューまでの道のりと直近の成績

2023〜2024年:ドジャース傘下で「コンバート1〜2年目」とは思えない成績

投手に転向した2023年、ラオはドジャース傘下でA〜A+〜AAの3球団を渡り歩きながら34試合に登板。 合計57イニングで73奪三振、防御率3.79と、コンバート1年目としては破格のパフォーマンスを見せました。

2024年にはAAAオクラホマシティなどでプレーし、20試合のリリーフで防御率3.7台・54奪三振・2セーブと安定した成績。 シーズン後にFAとなり、2024年12月にシアトル・マリナーズとマイナー契約を結びます。

2025年:マリナーズでMLBデビュー → ナショナルズへ

2025年はマリナーズ傘下3Aタコマで開幕を迎え、9イニングで防御率2.00と好スタート。 4月20日にメジャー昇格を果たし、4月22日のレッドソックス戦でMLBデビュー。 この試合でラオは1回2/3を投げて3奪三振、自責0と、まずまずの内容を見せました。

その後、マリナーズでは昇格と降格を繰り返し、9月にはウェーバー経由でナショナルズに移籍。 2025年シーズンのMLB通算成績は次の通りです。

  • 登板:11試合
  • 勝敗:1勝0敗
  • 防御率:4.91
  • 投球回:11イニング
  • 奪三振/与四球:9奪三振・2四球

サンプルは小さいとはいえ、K/BB=4.5、BB/9も低めと、「パワー系リリーフなのに四球が少ない」点が数字に表れています。

3Aでの成績:合算防御率3.25、K/9約9.0の“準エース級”

MLBでは試運転段階ですが、本領発揮の場は3Aです。 2025年はタコマ(マリナーズ3A)とロチェスター(ナショナルズ3A)でプレーし、合算すると

  • 登板:20試合前後
  • 成績:2勝4敗
  • 防御率:3.25
  • 投球回:70イニング台
  • 奪三振:75(K/9≒9.0)

つまり、「イニングもある程度食え、かつ1イニングあたり1個近い三振を奪える」タイプ。 マリナーズ公式の紹介でも、3シーズン合算で119回・134奪三振・防御率3.63という数字が示されており、 コンバート後は一貫して「平均以上〜優秀」なスタッツを残し続けていることが分かります。


投球スタイル:94マイル前後の直球+スイーパー気味スライダー

平均94マイルのフォーシームと“ダイナマイト”スライダー

PITCHf/xやスタットキャストのデータを見ると、ラオの球種構成はざっくり次のように整理できます。

  • フォーシーム:平均約94マイル(約151km/h)
  • スライダー:平均約86マイル。横滑りの大きい「スイーパー」系
  • シンカー:約93マイル。右打者の内角に食い込むボール
  • チェンジアップ:約88マイル。左打者への武器

マリナーズの現地レポートでは、「ランの大きい速球と、軌道がミラーのように対応するスイープ系スライダーのコンビネーション」が高く評価されており、 特に右打者相手には高めのストレートと逃げていくスライダーの二択で空振りを量産できるタイプと評されています。

“元内野手”らしいフィールディング能力

ラオはドジャース時代に三塁・一塁・コーナー外野も守っていたこともあり、身体能力は高く、フィールディングも良好とされています。 クイックやバント処理、ゴロのさばきは、「典型的な投手専業」よりも上の水準で、 日本ハムが重視してきた「総合的な守備力と機動力」を投手陣にももたらす存在になり得ます。


日本ハム投手陣の現状と、ラオのハマりどころ

与四球3年連続リーグ最少、チーム防御率2.53の“投手王国”

2025年シーズンの北海道日本ハムは、パ・リーグで

  • チーム防御率:2.53(リーグ2位)
  • 与四球数:3年連続リーグ最少

という数字を残しており、「ストライクゾーンで勝負する投手陣」がチームのアイデンティティになっています。 新庄監督のもとで、「四球で自滅しない」スタイルが徹底されていることは、各種記事やデータでも繰り返し指摘されています。

その中で、守護神・田中正義を中心に、柳川大晟や福島蓮、古林睿煬ら若いリリーフが躍動。 とはいえ、150キロ台前半以上をコンスタントに投げるパワーリリーフは数が限られており、 「もう1枚、剛球系の右腕が欲しい」という声は以前からあったポジションです。

ラオの役割イメージ:7〜8回のセットアッパー兼マルチイニング要員

ラオはマイナーでマルチイニングのロングリリーフをこなしてきた一方、 MLBでは1〜2イニングのビハインド〜中継ぎが中心でした。 この起用法をそのまま日本ハムに当てはめると、次のようなイメージが浮かびます。

  • 基本は7〜8回を担うセットアッパー候補 ・右の強打者が並ぶ場面で、スライダーと速球で空振りを取りに行く役割。
  • 延長戦やロング救援での2〜3イニング担当 ・3Aで70イニング前後を投げてきた実績から、2イニングまでは十分対応できる。
  • フレキシブルな“第3の勝ちパターン”要員 ・田中正義、柳川のどちらかが連投続きのときに、代わりに勝ちゲーム終盤を締めるカード。

四球が少なく三振を取れるプロファイルは、日本ハムの投手哲学と噛み合っており、
「新庄ハムの投手陣に、そのままスッと溶け込みそうなタイプ」と言っていいでしょう。


スタッツと特徴から見る“ハム適性”

① K/BBの良さはそのまま武器になる

2025年のMLB成績は11回で9奪三振・2四球、K/BB=4.5。 3Aでも75奪三振に対して四球は20個前後とされており、「パワー系にしては制球がいい」部類に入ります。 与四球を極端に嫌う日本ハムにとって、この点は大きなプラス材料です。

② 1イニング限定なら“奪三振マシン化”の余地

コンバート1〜2年目のマイナーでは、K/9が11〜12に達するシーズンもありました。 現在はマルチイニング運用の影響もあってK/9は9.0前後に落ち着いていますが、
NPBで「1回全力投球」型のセットアッパーに完全シフトすれば、再び二桁K/9まで伸びる余地は十分あります。

③ 課題は被本塁打と連投耐性

一方で、MLBでは短いイニングの中で本塁打を浴びた試合もあり、 高めフォーシームが甘く入ったときのリスクはそれなりに抱えています。 また、投手転向からまだそれほど時間が経っていないこともあり、「酷使にどこまで耐えられるか」は未知数です。

このあたりは、新庄監督と武田久コーチらがどう負荷管理するかにかかってくる部分でしょう。 連投を避けつつ、重要な場面でしっかり出していく運用が理想になりそうです。


まとめ:ようやく動き出した補強、その“質”としては十分すぎるかも

  • サウリン・ラオは、元内野手からコンバートされ、わずか数年でMLBに到達した異色の右腕
  • 2025年はマリナーズとナショナルズで計11試合・防御率4.91。MLBではまだ「お試し枠」だが、四球が少なく一定の三振も取っている。
  • 3Aでは2025年に防御率3.25・K/9≒9.0と、マルチイニングのリリーフとして安定した成績を残している。
  • 平均94マイルのフォーシームとスイーパー系スライダーを軸に、シンカーとチェンジアップも操る“パワー+コンビネーション型”リリーフ
  • 与四球3年連続リーグ最少・チーム防御率2.53という日本ハム投手陣のカラーと、「パワー系なのに四球が少ない」ラオのプロファイルは相性が良い

外国人投手の補強が遅れて「大丈夫か?」という声もあった日本ハムですが、 ふたを開けてみれば、かなり面白い“異色右腕”にたどり着いたと言えます。 スライダーと速球でパ・リーグ打者をねじ伏せる姿が、エスコンフィールドのマウンドでどこまで見られるのか――。 正式発表と、背番号のお披露目を楽しみに待ちたいところです。


参考文献・出典

  • Wikipedia英語版「Sauryn Lao」選手ページ(経歴・MLB/マイナー通算成績)
  • Baseball-Reference「Sauryn Lao Stats」「Sauryn Lao Minor & Winter Leagues Statistics」
  • MLB.com「Sauryn Lao Stats, Age, Position, Height, Weight」
  • Lookout Landing「Casey Lawrence DFA’d once more to make space for MLB debut of RHP Sauryn Lao」
  • Seattle Mariners公式ブログ「Mariners Select RHP Sauryn Lao from Triple-A Tacoma」
  • Pacific League.com「与四球は3年連続でリーグ最少。北海道日本ハム投手陣に浸透する“新庄イズム”」
  • NPB.jp「2025年度 パシフィック・リーグ チーム投手成績」「2025年度 北海道日本ハムファイターズ 個人投手成績」
  • Yahoo!リアルタイム検索「サウリン・ラオ 日本ハム 契約合意」内の各種報道・ポスト

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