横浜DeNAベイスターズが、前レイズ傘下のクーパー・ヒュンメル(Cooper Hummel)と 2026年シーズンの選手契約を結ぶことで合意したと発表しました。契約は1年プラス2027年の球団オプション付きと報じられており、 正式に「新・助っ人スイッチヒッター」がベイに加わる形になります。
メジャー通算の打率は.163と決して“実績十分”とはいえない一方、3Aでは通算OPS.920の出塁&長打マシン。 捕手としてプロ入りし、外野や一塁も守り、時には投手としてマウンドにも立つというかなりの異色経歴も話題です。
ここでは、
- ヒュンメルのプロフィールとこれまでの経歴
- MLB・マイナーのスタッツから見える「強み」と「弱み」
- DeNAの補強ポイントと、ベイスターズ打線の中でのハマりどころ
- 「NPB適性」と、どのくらいの活躍を期待していいのか
を整理しつつ、「ヒュンメルならそうした」と言いたくなるような勇者的活躍が本当にあり得るのかを考えていきます。
プロフィールと経歴:捕手でプロ入り→外野・一塁・投手もこなす“何でも屋”
- 名前:クーパー・エヴェレット・ヒュンメル(Cooper Everett Hummel)
- 生年月日:1994年11月28日(31歳・2025年時点)
- 出身:アメリカ合衆国・オレゴン州ポートランド
- 身長/体重:175cm/89kg
- 投打:右投・両打
- ポジション:外野手/捕手/一塁手(時々投手)
- 経歴:レイクリッジ高 → ポートランド大 → ブルワーズ傘下(2016〜21) → Dバックス/Dバックス傘下(21〜22) → マリナーズ/マリナーズ傘下(23) → アストロズ傘下/アストロズ(24) → ヤンキース傘下/オリオールズ/アストロズ傘下/アストロズ/レイズ傘下(25) → DeNA(26〜)
ポートランド大では大学3年時に打率.320・出塁率.422・長打率.490と打撃で覚醒し、2016年ドラフトでブルワーズから18巡目指名。 プロ入り当初は捕手としての指名で、マイナー前半は「スイッチヒッター捕手」として育成されました。
しかし守備負担や打撃の伸ばし方もあって、徐々に一塁・外野を兼ねるようになり、 メジャー昇格後は外野手/一塁手がメイン、必要に応じて捕手もこなすユーティリティという立ち位置に。 2024〜25年には、アストロズやヤンキース傘下で“野手なのに投手としてマウンドに立った試合”も記録されており、 文字通り「なんでもやる男」です。
MLBでの成績:打率.163、しかし“ただの打てない野手”ではない理由
MLB通算:119試合で打率.163・6本塁打
まずはメジャーでの通算成績から。2022〜2025年の4シーズンで、Dバックス、マリナーズ、アストロズ、オリオールズと4球団でプレーし、
- 試合:119試合
- 打率:.163(295打数48安打)
- 本塁打:6本
- 打点:24打点
- 出塁率:.268
- 長打率:.275(OPS.543)
と、数字だけ見ると「完全に伸び悩んだユーティリティ野手」です。 特に2023年マリナーズでは10試合で打率.087、2024年アストロズでも6試合でノーヒットと、 限られたチャンスで結果を出しきれなかったのは事実と言えます。
ただし、四球はそこそこ選べており、通算で295打数に対して39四球(BB%二桁台)と、 「単純なミート力はMLBレベルでは足りないが、ゾーン管理や見極めは悪くない」というタイプでもあります。
2025年シーズン:メジャーでは構想外→NPB挑戦へ
2025年はヤンキース傘下3Aからオリオールズを経てアストロズに移籍し、 最終的にはアストロズで36試合に出場して.172/.301/.276・3本塁打。 その後は40人枠の都合もあってマイナー行きを拒否し、FAとなってNPB行きを選択する流れになりました。
メジャーのスカウトレポートでは、 「パワーと出塁を兼ね備えた3Aクラスの打者だが、MLBではコンタクト不足と外野守備の平均レベルがネック」 といった評価が多く、
「レベルを一段落とすリーグ(NPBなど)なら主力クラス」という声も以前からあったタイプです。
3Aでのスタッツ:OPS.920の“出塁&長打おばけ”
3A通算:374試合で打率.286・49本塁打・OPS.920
ヒュンメルの真価が出ているのは、何と言っても3Aの数字です。 ベイスターズ公式と各種データサイトをまとめると、3A通算では
- 試合:374試合
- 打率:.286
- 本塁打:49本
- 出塁率:.422
- 長打率:.498
- OPS:.920
という完全に“主軸クラス”のスタッツを残しています。 特に目を引くのは出塁率.422で、四球を量産しながら長打も打てる「理想的な中軸タイプ」という数字です。
直近3年の3A成績
直近3年の3Aだけを抜き出しても、
- 2023年(マリナーズ3A・タコマ) 104試合、打率.262、出塁率.409、長打率.435、OPS.844、8本塁打、26盗塁
- 2024年(アストロズ3A・シュガーランド) 101試合、打率.277、出塁率.419、長打率.454、OPS.873、10本塁打、15盗塁
- 2025年(レイズ3A・ダーラムほか) ダーラムでは28試合93打数で打率.312、出塁率.471、長打率.731、11本塁打 ほかヤンキース傘下3Aなどを合わせた3A合算でもOPS1.0前後
と、毎年のように「出塁率4割+長打率.430〜.730」という世界で勝負していたことがわかります。 このレベルの3A成績を残してNPBに来た打者は、過去をならしても「普通にレギュラー〜主砲クラスの成績を残すことが多い」ラインです。
ヒュンメルの特徴:スイッチヒッター+ユーティリティ+選球眼
① 両打ちの中距離〜長距離砲タイプ
ヒュンメルはスイッチヒッターで、右左どちらの打席でも長打を打てるタイプです。 3A通算の長打率.498・本塁打49本という数字は、「典型的なホームランバッター」ではないものの、 中距離寄りの長距離砲(2桁〜20本塁打級)として期待できる水準と言えます。
また、3Aでの出塁率.422が示すように、四球をもぎ取る能力が高いのも大きな特徴。 日本の投手はストライクゾーンで勝負してくるケースが多く、ボール球で振らされにくいタイプの打者は 「日本の方が持ち味を出しやすい」ことがよくあります。
② 捕手・外野・一塁を守れるユーティリティ性
プロ入り時の本職は捕手で、Dバックスでのメジャー1年目は18試合を捕手として出場。 その後は外野、一塁がメインになっていますが、登録上は今も“捕手も守れる選手”です。
DeNAでも基本は外野または一塁の起用がメインになると見られますが、
- 捕手のやりくりが苦しい時に第3捕手的にベンチ入り
- 代打→そのままファーストやレフトへ
- オプションとして、ごくまれにマウンドも…?(※MLBでは野手登板の経験あり)
といった使い方も可能で、ベンチに1人置いておくと編成が楽になるタイプでもあります。
③ 「勇者的メンタル」も武器? 転々としながらチャンスをつかみ続けたキャリア
ヒュンメルはここ数年、ほぼ毎年のように所属球団が変わっているにもかかわらず、 そのたびに3Aで結果を残し、メジャー昇格のチャンスをつかんできました。
決して順風満帆ではないキャリアの中で、腐らず結果を出し続けたメンタルの強さは、 日本での“異国生活+新しい役割”にもプラスに働く可能性が高いでしょう。 ベイスターズファンとしては、まさに「ヒュンメルならそうした」と言いたくなる勇者的メンタリティにも期待したいところです。
DeNAの補強ポイントと、ヒュンメルがハマるポジション
オフの動き:助っ人投手3人+野手1人目がヒュンメル
DeNAは2025−26オフにかけて、
- ホセ・ルイーズ
- オースティン・コックス
- ショーン・レイノルズ
と3人の新外国人投手を補強済みで、ヒュンメルは今オフ初の新外国人野手となりました。 一方で、タイラー・オースティンら長年中軸を担ってきた助っ人が離脱しており、 「中軸候補の新外国人野手が1人は欲しい」状況だったのも事実です。
横浜スタジアムとの相性:フライボール+四球型の中距離砲は追い風
横浜スタジアムはご存じの通り打者有利の球場で、 フライボール傾向の右打者・左打者は、MLB時代よりもホームランが増えやすい環境です。
ヒュンメルは3Aのデータを見る限り、
- 打球はライナー〜フライ寄り
- 長打率.450〜.730のシーズンを何度も経験
- 四球を多く選び、チャンスメイクもできる
というタイプで、横浜スタジアムとはかなり相性が良さそうです。 「打率.260前後でも、四球と長打でOPS.800〜.850を狙える」イメージを持っておくと、数字の見方も分かりやすくなります。
打線の中での立ち位置:6〜7番、場合によってはクリーンアップも
DeNA打線はすでに日本人中軸(牧秀悟ら)が柱になっているため、 ヒュンメルは最初は6〜7番あたりの「セカンドクリーンアップ」的なポジションからのスタートになりそうです。
そこで、
- 出塁率.350前後
- 本塁打15〜20本
くらいの数字を残せれば、自然とクリーンアップに食い込んでくる可能性も出てきます。 逆に、コンタクトの粗さが出て打率.220〜.230台にとどまると、 「出塁率は悪くないが、決め手に欠ける外国人」という評価に落ち着いてしまうリスクもあります。
NPB適性と“勇者ヒュンメル”の現実的な成績ライン
ポジティブ材料
- 3A通算OPS.920と、「マイナーでやることがほぼない」レベルの成績。
- 出塁率.400超のシーズンが何度もあるほど選球眼がよく、四球を稼げる。
- 両打ちで外野・一塁・捕手をこなせるため、ベンチワークの自由度が高い。
- 横浜スタジアムという打者有利球場は、フライボール型の中距離砲にとって追い風。
ネガティブ材料・不確定要素
- MLB通算打率.163と「メジャーでは完全に通用しなかった」事実。
- 三振も少なくはなく、NPBでもフォームや配球への対応に失敗すると打率が低迷する可能性。
- 守備は「捕手もできるユーティリティ」である一方、どのポジションでも“超名手”という評価ではない。
現実的な期待ライン
これらを踏まえると、「NPB1年目の現実的な期待値」としては、
- 試合:120試合前後
- 打率:.250〜.270
- 出塁率:.360前後
- 本塁打:15〜20本
- OPS:.800〜.850
あたりを“成功ライン”として見ておくのが妥当そうです。 これを上回る成績、たとえば本塁打25本・OPS.900超のレベルに乗せてくれば、 堂々と「ヒュンメルならそうした」「勇者ヒュンメル爆誕」と言っていいインパクトになります。
逆に、打率.230前後・本塁打10本未満にとどまると、 「3Aではすごかったけど、NPBでは抜けきれなかった助っ人」という印象になってしまう可能性もあります。
まとめ:「ヒュンメルならそうした」と言えるかは、出塁率と長打次第
- クーパー・ヒュンメルは、メジャーでは苦戦したものの、3A通算OPS.920という圧倒的成績を持つスイッチヒッター。
- 捕手としてプロ入りし、外野・一塁も守れるユーティリティ性は、DeNAのベンチワークにとって大きな武器。
- 横浜スタジアムとの相性や、3Aでの出塁&長打のプロファイルを考えると、NPBでは「打率.250前後でOPS.800級」の中軸候補として期待できる。
- コンタクト面の不安が現実になれば“打率が乗り切らない助っ人”に終わるリスクもあるが、うまくハマれば勇者級の補強になる可能性も十分。
メジャーでは報われなかった「出塁+長打のポテンシャル」が、 日本の打者有利球場・横浜スタジアムでついに花開くのか。 2026年のベイスターズ打線を語るうえで、クーパー・ヒュンメルという“勇者候補”の行方は、 かなり重要なカギを握っていきそうです。
参考文献・出典
- 横浜DeNAベイスターズ公式サイト「2026年シーズン 選手契約について(クーパー・ヒュンメル)」
- Full-Count「DeNAが“異色経歴”ヒュンメルと合意 両打ちの175センチ、3Aで今季44戦13HR…捕手でプロ入り」
- MLB Trade Rumors「Cooper Hummel To Sign With NPB’s Yokohama BayStars」
- CBSSports.com「Cooper Hummel going to NPB」
- Baseball-Reference.com「Cooper Hummel Stats」(MLB通算成績)
- The Baseball Cube「Cooper Hummel – MLB, Minor League, College Baseball Statistics」(マイナー・大学通算成績)
- MiLB.com「Cooper Hummel – Player Page」(3Aでの詳細スタッツ)
- 各社ニュース(Houston Chronicle、Reutersほか)による2024〜25年の移籍・DFA関連報道



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