読売ジャイアンツは2025年12月22日、米国人内野手ボビー・ダルベックと選手契約を結ぶことで合意したと正式発表しました。ポジションは一塁・三塁の両方をこなす右の長距離砲で、2025年はホワイトソックス傘下を中心に3Aで105試合出場、打率.269、24本塁打、82打点という成績を残しています。
一方で主砲・岡本和真はポスティングシステムを通じてMLB移籍の交渉中で、「岡本の穴」をどう埋めるのかが巨人の最大テーマになりつつあります。そこで今回は、ダルベックのこれまでの成績と打者タイプを整理しつつ、歴代の巨人助っ人スラッガーと比較しながら「ポスト岡本」になれるのかを考えていきます。
ボビー・ダルベックのプロフィール
- 名前:ボビー・ダルベック(Bobby Dalbec)
- 生年月日:1995年6月29日(30歳)
- 出身:アメリカ合衆国 ワシントン州シアトル
- 身長/体重:190cm前後/約100kg
- 投打:右投右打
- ポジション:一塁/三塁(ユーティリティ内野手的な起用歴もあり)
- 経歴:アリゾナ大 → レッドソックス(MLB/2020〜24年)→ ホワイトソックス(MLB/2025年)→ 各球団3A → 巨人(2026年〜)
2016年ドラフト4巡目でレッドソックス入り。マイナー時代から長打力に優れたコーナー内野手として評価され、2020年にMLBデビューすると、短い出場ながらも23試合で8本塁打と鮮烈な印象を残しました。
MLB・マイナー成績から見るダルベックの打者像
MLB通算:典型的な「長打型だが三振も多い」スラッガー
メジャーではレッドソックスとホワイトソックスで通算6シーズンに出場。
2025年シーズン終了時点での通算成績は、
- 338試合
- 打率:.222
- 出塁率:.290
- 長打率:.422
- 本塁打:47本
- 打点:143打点
という数字になっています。2021年にはルーキーながら133試合に出場し、打率.240、25本塁打、78打点、OPS.792と、「並のレギュラー以上、オールスター未満」クラスの打撃成績を残しました。
一方で、通算三振数は390と非常に多く、「ホームランと三振の多い三振型パワーヒッター」というのがMLBでの評価です。
マイナーでは「OPS.870級」を長年維持
マイナー(主にAA〜AAA)では、
- 通算打率:.261
- 出塁率:.359
- 長打率:.511
- 本塁打:150本(マイナー通算)
というハイレベルな長打型の成績。2024年の3Aウースターでは106試合で打率.252、出塁率.337、長打率.479、20本塁打と、フルシーズン換算30本ペースのパワーを見せています。2025年も複数球団の3Aを渡り歩きながら105試合で打率.269、24本塁打、82打点と、NPB換算でも主砲級の長打力を維持していました。
「MLBでは三振が多くてレギュラーに定着しきれないが、3Aでは常にOPS.800〜.900を叩き出す」タイプで、NPBに来る典型的な“パワー過多でMLBでは評価が割れる助っ人”のプロファイルと言ってよさそうです。
岡本和真の穴を埋められるのか?
岡本のこれまでの存在感
岡本和真は2018年以降、ほぼ毎年30本前後の本塁打を放ってきた巨人の4番。2023年までに通算本塁打は200本を超え、2025年終了時点では通算打率.277、通算本塁打は250本近いスラッガーとしてNPBを代表する右の大砲になっています。2024年シーズンも143試合で打率.280、27本塁打、83打点と、数字・存在感ともに「看板打者」そのものでした。
2025年にはケガの影響もありながら、69試合で打率.327、15本塁打と、短い出場ながら驚異的な打撃成績を記録。その岡本がポスティングでMLB移籍交渉中という状況で、「打線の軸をどうするか」=「ポスト岡本を誰に託すか」が巨人の最大の課題になっています。
スタッツ比較で見る「岡本とダルベック」の違い
ざっくりとした比較イメージは以下の通りです(いずれも過去の実績ベース)。
- パワー:
・岡本…NPBでシーズン30〜40本を複数回。日本球界トップクラスのパワー。
・ダルベック…MLBで30本は未到達だが、ルーキーイヤー25本、マイナーでは通算150本。
⇒ 「生の飛距離」はほぼ同格クラスの大砲と言ってよい。 - 打率・コンタクト力:
・岡本…通算打率.270台、三振も多いが四球も選べる「中距離+長距離」のバランス型。
・ダルベック…MLB通算打率.222で三振率が非常に高い「長打特化型」。
⇒ 安定感・打率面では岡本が明確に上。 - 守備・ポジション:
・岡本…三塁・一塁を高いレベルで守れる。
・ダルベック…メジャーでは一塁メイン、サブで三塁。守備は平均〜ややプラス評価の年もあるが、内野全体を動かせるタイプではない。
⇒ 「サードの柱」としての守備力まで含めると、岡本の代役はやや荷が重い。
つまり、「岡本の完全な代わり」ではなく、「打線のどこかで同等の長打を供給してくれる存在」として期待するのが現実的です。 4番固定というよりは、状況によって5番や6番に置いても十分に破壊力のあるバッター、というイメージに近いでしょう。
歴代助っ人スラッガーとの比較
巨人の歴代助っ人を振り返ると、特に「大成功」と評価されるのは、主に以下の4人です。
- ウォーレン・クロマティ
1984〜1990年在籍。
通算779試合で打率.321、171本塁打、558打点。
特に1989年には打率.378で首位打者&MVPを獲得し、「史上最も4割に近づいた男」として知られる。 - アレックス・ラミレス
巨人在籍は2008〜2011年。
球団在籍中だけで666安打、148本塁打、430打点。
2009年は打率.322で首位打者&MVP、2010年は49本塁打・129打点で本塁打王&打点王(右打者として球団本塁打記録)。 - 李承燁(イ・スンヨプ)
2006〜2010年在籍。
2006年に打率.323、41本塁打、108打点と「凄まじい1年」を残し、2007年以降も合計100本塁打以上を放った。 - タフィ・ローズ
2004〜2005年在籍。
2004年は打率.287、45本塁打、99打点、2005年も27本塁打を記録し、2年で72本塁打。
近鉄時代から通算するとNPBで最多クラスの本塁打を放った助っ人の一人。
この4人に共通するのは、
- シーズン40本前後の本塁打を複数回打っている
- OPS.900前後の「リーグトップ級打者」のシーズンがある
- 数年にわたって主軸として起用され続けた
という点です。
ダルベックのMLB・マイナーでの成績を基準にすると、
- 「単年で40本塁打クラス」はかなり上振れが必要
- 「30本塁打+OPS.850前後」なら十分射程圏内
というイメージになります。つまり、クロマティやラミレス級の“球団史に残る大助っ人”になるハードルはかなり高いものの、 タフィ・ローズの巨人時代のような「2〜3年で70本前後」のインパクトなら、打順と起用法次第で現実味があると言えそうです。
巨人打線の中での起用イメージと成功条件
起用ポジション:一塁レギュラー+時々三塁
岡本がMLBへ完全移籍した場合、三塁をどう埋めるかは別の日本人選手(もしくは他の助っ人)に任される可能性が高く、
ダルベックは一塁レギュラー+2〜3番手の三塁手という立ち位置になりそうです。
守備負担を軽くして打撃に専念させる意味でも、
- 基本は一塁かDHでのスタメン
- 外国人枠やチーム事情で三塁を守る試合もある
といった運用が現実的でしょう。
成功のカギ①:三振のコントロール
MLBではキャリア通算で三振390・四球82と、三振が圧倒的に多いタイプです。 NPBではストライクゾーンの傾向や投手の球質が変わるため三振率が多少改善する可能性はありますが、 「打率.230でも30本塁打を打てばOK」という割り切りができるかどうかが球団側のポイントになりそうです。
巨人としては、出塁率やチャンスメイクは日本人野手が担い、 ダルベックには「とにかく失投を逃さずスタンドに運ぶ」仕事を任せる形が理想でしょう。
成功のカギ②:東京ドームとの相性
東京ドームは言うまでもなく本塁打が出やすい打者有利球場の一つで、 高角度のフライボールを量産するダルベックとの相性は悪くありません。 右打者でもバックスクリーン~レフトポール方向に十分スタンドインしやすく、 「3Aクラスの本塁打ペースをそのままNPBに持ち込めるタイプ」と見て良さそうです。
成功のカギ③:対右投手への適応
MLBでは典型的な「右投手に苦しみがちで、左投手には強い右打者」という評価もあり、 NPBでも右投手の多さを考えると、カーブ・スライダー・フォークへの対応が鍵になります。 日本の配球・変化球にどこまで早く順応できるかによって、 「年間25本前後で終わるのか」「35本級のインパクトを残せるのか」が大きく変わってくるでしょう。
まとめ:真の「ポスト岡本」になれるかは、コンタクト改善次第
- 巨人はボビー・ダルベックとの契約合意を発表。3Aでは長年OPS.800~.900、年間20〜30本塁打を打ってきた右の長距離砲である。
- MLBでは打率.222、47本塁打と「長打力は本物だが、三振の多さでレギュラーに定着しきれなかった」タイプ。
- 岡本和真は通算打率.270台&シーズン30本級を連発してきた球界屈指のスラッガーで、打率・安定感を含めた総合力では現時点でも岡本が上と見るのが自然。
- 歴代助っ人のクロマティ、ラミレス、李承燁、ローズらは「40本級のシーズン+複数年の主軸」を実現した“怪物クラス”。ダルベックがそこに並ぶには相当な上振れが必要だが、30本級の「中軸助っ人」になるポテンシャルは十分ある。
- 「ポスト岡本」というより、“岡本の後継4番候補の一人+長打担当のキーマン”として、東京ドームとNPBの投手環境が追い風になれば、大当たり助っ人へ化ける可能性は十分にありそうだ。
岡本が去ったあとの巨人打線は、どうしても得点力ダウンが懸念されます。 その中でダルベックが、高い三振リスクと引き換えに40本近いホームランを供給できるのか。 2026年シーズンの巨人は、この新助っ人の出来が優勝争いの行方を大きく左右することになりそうです。
参考文献・出典
- 読売ジャイアンツ公式サイト「新外国人選手との契約合意について(ボビー・ダルベック)」
- MLB公式・Baseball-Reference・FanGraphs・MiLB.com 各種成績ページ(Bobby Dalbec MLB/AAA成績)
- Baseball America「Bobby Dalbec Career Stats」ほか、マイナー通算成績データ
- 日本野球機構(NPB)公式「岡本和真 個人年度別成績」ほか、成績・通算記録
- Baseball Channel「読売ジャイアンツ(巨人)、歴代助っ人外国人選手ランキング」ほか、クロマティ/ラミレス/李承燁/ローズらの成績紹介記事
※本文中の数字は上記公的データベースおよび報道をもとにしたもので、統計サイトによって若干の差異がある場合があります。



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