背面投法は現実的にできるのか?公式戦での実例・ルール(違反になり得るポイント)を整理

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「背面投法(背面投げ)」は、投球動作の途中で腕を背中側に回し、打者から見えにくいタイミングでボールをリリースする“曲芸級”の投げ方です。結論から言うと、

  • 実際に公式試合で使われた例はある(ただし極めてレア)
  • ルール上は「条件を外すと即・反則」になりやすい(特に「打者に正対」「クイックピッチ」周り)
  • 現代野球で常用するのは現実的ではない(制球・再現性・審判判断リスクが高い)

…という整理になります。


背面投法は「公式戦で使われた」ことがある(超少数)

日本で最も有名な実例は、1969年6月15日の巨人戦で中日・小川健太郎が王貞治に対して背面投げを用いたというエピソードです。週刊ベースボール回顧のコラムでも「誰も見たことがない珍しい投げ方」を公式戦で使ったと紹介されています。[1] 別の週ベ回顧記事でも、同試合を前提に「大胆不敵な背面投げ」だったと描写されています。[2]

また米国の事例として有名なのがヤンキース左腕トミー・バーン。少なくとも日本語版の「背面投げ」項目では、バーンが1956年のオープン戦で背面投げを行った、という説明が載っています(※オープン戦=公式戦扱いかはリーグ規定によるため、厳密には“公的な試合で披露された例”として理解するのが安全)。[3]

いずれにしても、背面投法は「存在はするが、常用されない」タイプの投球です。Full-Countも「ヤンキースのトミー・バーン、日本では中日の小川健太郎が実際に試合で使用したことが有名」とまとめています。[4]


ルール的にOK?最大の争点は「打者に正対」「クイックピッチ」「投球板」

ここが一番大事です。背面投法そのものを名指しで禁止する条文は通常ありませんが、関連ルールに引っかかりやすいため、実戦では“合法判定のハードル”が高いです。

①「打者に正対していない」状態で投げるのは反則になり得る

MLB公式規則(Official Baseball Rules)では、セットポジションは「打者に正対して」行うと定義され、[5] さらに「打者に正対していないまま投球した」場合は投手の反則(Pitcher Illegal Action)として列挙されています。[6]

つまり、“完全に背を向けたままリリース”のような形だと、審判が「正対していない投球」と判断する余地が大きく、反則を取られても不思議ではありません

②「クイックピッチ」扱いも危険(打者が構える前に投げるとアウト)

同じくMLB公式規則には、クイックピッチ(打者が打撃姿勢を整える前の投球)は危険で許してはならない、走者がいればボーク/いなければボール、という明確な説明があります。[6]

背面投法は“意表を突く”ほど、このクイックピッチの領域に近づきます。つまり、奇策であるほど反則にされやすいという矛盾を抱えます。

③投球板(プレート)と投球動作の整合性

背面投法に限らず、投球は投球板との関係(触れている/外している)が非常に重要です。公式規則でも、投球板に触れていない状態で投球に関連する動作をすることが反則として列挙されています。[6] 背面投法は体勢が崩れやすいため、ここも事故ポイントになります。


じゃあ「背面投法が成立する形」はどんなイメージ?(現実的な線引き)

ルール文言を踏まえると、成立させるには概ね次の条件が必要です(※最終的には審判判断)。

  • セット/ワインドアップに入る時点で打者に正対している(規則上の前提)[5]
  • 打者が打撃姿勢を取る前に投げない(クイックピッチ回避[6]
  • 投球板との接触・離脱のルールを守り、投球関連動作の反則を避ける[6]
  • (極めて重要)リリース時の姿勢が審判に「打者に正対していない投球」と判断されない範囲に収める[6]

この最後の部分が難しく、背面投法は「できる/できない」よりも、“合法ゾーンが狭い”投球と言えます。


なぜ流行らない?「強い球」よりも「ルール・再現性・リスク」で負けるから

背面投法がロマンの割に定着しない理由は、ざっくり3つです。

  • 再現性が低い:投球フォームの基礎(下半身→体幹→腕の連動)から外れやすく、制球が安定しにくい
  • 情報戦で不利:1回の奇襲は効いても、映像が出回れば対策されやすい
  • 審判判断リスク:「正対」「クイックピッチ」等の解釈で反則を取られる可能性が常に付きまとう[6]

結果として、背面投法は「勝つための主戦術」になりにくく、“ここ一番のトリック”として語り継がれる形になりがちです。小川健太郎の背面投げが今でも語られるのも、まさにその象徴です。[1]


まとめ:背面投法は「できる」けど「常用は現実的ではない」。合法性は“正対・クイックピッチ・投球板”がカギ

  • 公式戦級の事例として、中日・小川健太郎が1969年の巨人戦で背面投げを用いた話が有名[1]
  • ルール面では、セットポジションは「打者に正対」が前提[5]
  • 「打者に正対していない投球」や「クイックピッチ」は反則(走者ありはボーク/なしはボール等)[6]
  • ゆえに背面投法は“成立する範囲が狭い”ため、実戦での常用は難しい

参考・引用元

  1. 週刊ベースボールONLINE(回顧):中日・小川健太郎が王貞治相手に背面投げを使用した旨の紹介
  2. 週刊ベースボールONLINE:小川健太郎の背面投げを扱った回顧記事
  3. Wikipedia:背面投げ(トミー・バーンがオープン戦で披露した旨の記載)
  4. Full-Count:背面投法(トミー・バーン/小川健太郎の事例紹介)
  5. Official Baseball Rules(MLB公式規則PDF):5.07(a)(2) Set Position “stands facing the batter …”
  6. Official Baseball Rules(MLB公式規則PDF):6.02(a)(5) Quick Pitch / 6.02(a)(6) “not facing the batter” など投手の反則行為

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