2026年1月、中国で新たなプロ野球リーグ「CPB(Chinese Professional Baseball、中国棒球城市聯賽)」がいよいよ開幕しました。
これまで中国本土の野球と言えば、アマチュア色の強い「中国棒球聯賽(CBL)」が中心でしたが、CPBは企業フランチャイズ制を前提とした本格的プロリーグ構想として位置づけられています。
ここでは、CPBとはどんなリーグなのか/NPB在籍経験のある選手はいるのか/どうやって試合を視聴できるのかを、現時点で出ている一次情報をベースに整理していきます。
CPBとはどんなリーグ? 既存リーグとの違い
「都市+企業」フランチャイズ型の新プロリーグ構想
CPBは正式名称を「中国棒球城市聯賽」とし、英語名をChinese Professional Baseball(略称CPB)とする新リーグです。2025年9月のアジア選手権期間中に正式発足が発表され、2026年から短期リーグ→2028年以降に本格的なホーム&アウェー制リーグへ移行するロードマップが示されています。
従来の「中国棒球聯賽(CBL)」が省代表チーム中心+協会主導のリーグだったのに対し、CPBは
- 都市名を冠したクラブチーム
- 企業スポンサー主導の運営
- ドラフトや外国人選手補強など、ビジネス色の強い仕組み
を掲げており、よりNPBやKBOに近いプロリーグの形を目指しているのが特徴です。
CPBL(台湾プロ野球)とはまったく別物
略称が似ているため混同されがちですが、台湾の「CPBL(Chinese Professional Baseball League)」とは完全に別リーグです。 CPBLは1989年発足の台湾唯一のプロ野球リーグで、6球団による長期シーズンを運営する成熟リーグ。一方のCPBは、2026年スタートの中国本土の新興リーグです。
リーグの仕組みと参加チーム
2026年は「立春聯賽」からスタート
CPBは2026年シーズンを、まずは冬〜春の短期大会「立春聯賽(Spring Game)」として開幕。
WBSCや中国メディアの情報によると、
- 開幕:2026年1月1日(元日)
- 形式:短期リーグ(約1か月)+プレーオフ
- 試合会場:メインは深圳・中山公園野球場、副会場として中山市国際棒壘球中心などを使用
とされており、まずは「集中開催のショートリーグ」から始め、2028年をめどに本格プロ化を目指す方針が示されています。
参加球団と本拠地
発足時の創設5球団としては、
- 長沙旺旺ハッピー(湖南省・長沙)
- 厦門ドルフィンズ(福建省・厦門)
- 深圳ブルーソックス(広東省・深圳)
- 福州シーナイツ(福建省・福州)
- 上海ドラゴンズ(上海市)
が名義上の1期メンバー。ただし2026年の立春聯賽は、長沙旺旺ハッピーが参加を一時見送り、4球団開催(深圳・福州・厦門・上海)となっています。
公式サイト「cpbofficial.com」では、“Chinese Professional Baseball 2026 – Spring Game” の順位表や日程が公開されており、深圳ブルーソックス、上海ドラゴンズ、厦門ドルフィンズ、福州シーナイツの4チームを前提とした立春聯賽のフォーマットが確認できます。
ロースター構成と「台湾枠」の揺れ
CPBは各球団のロースター30人制を基本とし、当初は「台湾・香港・マカオ出身10人以上」という規定が報じられました。この条項は台湾側で「統一戦線的な意図がある」と批判され、のちに実際のリーグ運営では適用しない方針が示されたとされています。
とはいえ、2026年立春聯賽の登録選手をみると、約30人前後のうち相当数を台湾出身選手が占めている球団が多いと台湾メディアが伝えており、「中国本土+台湾・その他外国人」の混成リーグという性格が強くなっています。
どんな選手がプレーしている?
CPBLスターや元代表クラスのベテランが続々
CPBでもっとも話題を集めているのが、台湾プロ野球(CPBL)からの移籍組です。 たとえば、
- 林益全(リン・イーチェン):統一ライオンズの看板打者として活躍してきたスラッガーが、上海ドラゴンズ入り。練習風景もすでに現地メディアで報じられています。
- 黄勇傳:元統一ライオンズの内野手が福州シーナイツに加入し、プレシーズンマッチで猛打賞を記録。
- 王詩聰:元富邦悍將の一塁手/外野手で、長沙旺旺ハッピーから指名を受けた「CPBL出身者第1号」として話題になりました。
このほか、厦門ドルフィンズなど各球団が、複数の前CPBL選手を補強したことも報じられており、 「CPBLで居場所を失った選手の“第二のキャリアの場”」としての側面も強くなっています。
MLB傘下・KBO・高レベルマイナー経験者も
外国人枠には、MLBやKBO、2A〜3Aクラスの経験者も含まれているとされています。台湾メディアによれば、「日職一軍または高階マイナー(2A・3A)以上の経験者も含まれる、過去に例を見ない陣容」と評されており、単なる独立リーグ以上の戦力レベルを目指していることがうかがえます。
実際、英語圏メディアやファンコミュニティのロースター整理では、元MLB投手のエンリケ・ブルゴス(Enrique Burgos)や外野手ディロン・トーマス(Dillon Thomas)などの名前も挙がっており、 「中国×台湾×世界の余剰戦力」の寄せ集めではなく、ある程度ブランド力のある選手も呼び込もうとしていることが分かります。
日本人選手は?
日本からは、社会人・独立リーグ出身者を中心に選手募集が行われていることが確認されています。 日本のエージェント会社が、厦門ドルフィンズ向けに日本人選手の紹介を受け付けていたり、CPBを「中国新プロ野球」として紹介しつつ、2026年1月〜2月の「中国都市野球リーグ」に向けた選手公募を行っていました。
ただし、「この日本人がCPBと正式契約した」とまで確認できる一次報道は、2026年1月2日時点ではまだ多くありません。 2026年シーズンは、おそらく
- 一部の日本人独立リーグ/社会人出身選手
- CPBL出身の台湾人選手
- MLB・マイナー・KBO経験を持つ外国人選手
- 中国代表クラスを中心とした中国本土の選手
という構成でスタートし、今後数年かけて日本との人材の行き来が増えていく形になるとみられます。
NPB在籍経験のある選手はいるのか?
「NPB経験者も含まれる」との報道はあるが、具体名は限定的
先述の通り、台湾メディアはCPBの戦力について、「日職(NPB)一軍、あるいは高階マイナー経験者も含まれる」と報じています。しかし、現時点で公開ロースターやニュースではっきり「元○○(NPB球団)」と名指しされた選手は、CPBLや海外リーグほど多くはありません。
これは、
- 多くの「元NPB候補」があくまで交渉段階である
- CPB側の公式情報発信がまだ限定的で、詳細な選手経歴が英語・日本語では追いづらい
といった事情が重なっているためと考えられます。
「中国×NPB」のこれまでの接点
「NPB経験者がCPBにいるか」という話からは少し外れますが、中国本土出身選手がNPBに在籍した前例はすでにいくつかあります。
- 王靖超:中国・天津ライオンズ出身で、横浜ベイスターズに育成選手として在籍(2009〜2010年)。のちに再び中国リーグでプレーし、現在はコーチも務めています。
- 許桂源:ボルチモア・オリオールズ傘下を経て広島東洋カープと育成契約を結んだ外野手で、中国代表としてWBCにも出場。
こうした「中国↔NPB」ルートの前例がすでにあることから、今後CPBで活躍した中国人選手がNPB入りを目指すケースも十分考えられますし、逆にNPBで出場機会を失った外国人選手がCPBに流れるルートも時間とともに増えていくはずです。
結論としては、2026年立春聯賽開幕時点では、「NPB在籍経験者が目立つリーグ」ではなく、主にCPBL出身者とマイナー/MLB経験者が中心と見るのが現実的です。
CPBの試合はどこで見られる? 視聴方法
中国系配信プラットフォームが中心
2026年立春聯賽の中継については、台湾・中国メディアや日本語の観戦案内から、中国の動画配信サービスでのライブ配信が確認されています。
- 優酷(Youku):スポーツページ(sports.youku.com)で、CPB立春聯賽の試合がライブ配信されると案内されています。
- 抖音(Douyin):一部試合はショート動画系プラットフォームの抖音でもライブ配信/ハイライトが視聴可能と報じられています。
現時点で、
- 日本語実況・解説付きの公式配信
- DAZNやCS放送など、日本向けの中継パートナー
は発表されておらず、基本的には中国国内向け配信を各自視聴する形になります。
視聴のポイント
日本から視聴する場合、
- 優酷・抖音のアカウント作成(+必要ならアプリのインストール)
- 一部コンテンツは地域制限の可能性があるため、PCブラウザ/スマホアプリ両方を試す
- 試合情報や配信リンクは、公式サイト(cpbofficial.com)やCPB関連のSNS、台湾メディアのCPB関連記事をチェック
といったあたりを押さえておくと、比較的スムーズに中継へたどり着きやすくなります。
まとめ:CPBは「中国版プロ野球」の実験場。NPBとの人材往来にも注目
- CPBは中国本土の都市+企業フランチャイズ制を掲げた新プロ野球リーグ構想で、2026年から短期リーグ、2028年から本格プロ化を目指す長期プロジェクト。
- リーグ発足時は長沙・厦門・深圳・福州・上海の5球団が名義上の創設メンバーだが、2026年立春聯賽は長沙の参加見送りで4球団開催となる予定。
- ロースターにはCPBL出身のスター/ベテラン勢が多数参戦し、MLB・マイナー・KBO経験者も含まれるなど、「独立リーグ以上プロ未満」のレベルを狙った布陣。
- NPB在籍経験者も含まれると報じられているものの、現時点で具体的な名前は多くなく、CPBL出身者の比重がかなり高いのが実態。
- 日本からの視聴は、優酷(Youku)や抖音(Douyin)といった中国系配信プラットフォーム経由が中心で、日本語公式中継はまだ整備途上。
まだ始まったばかりのリーグですが、「中国本土のプロ野球市場」+「台湾・日本・韓国との人材シャッフル」という意味で、アジア野球全体への影響は小さくありません。 今後、CPBからNPBへ、あるいはNPBからCPBへといった往来が本格化していくのか——その最初の一歩を見届けるシーズンになりそうです。
参考文献・出典
- 中国で新プロ野球リーグ「CPB」発足に関する中国研究サイトの記事(中国で新プロ野球リーグ「CPB」発足 台湾選手大量誘致への懸念)
- WBSC公式サイト「Chinese Professional Baseball opening night / inaugural draft」関連記事
- cpbofficial.com「Chinese Professional Baseball 2026 – Spring Game 立春联赛」スタンディング・日程ページ
- 聯合報・自由時報など台湾メディアのCPB関連記事(林益全・黄勇傳・王詩聰のCPB移籍報道、台灣選手28人参加報道など)
- Sports Marketing Asia Pacific「中国都市野球リーグ(CPB)について」選手募集告知ページ
- X(旧Twitter)上の「中国の新プロ野球リーグCPB」関連ポスト各種(リーグ概要・参加球団・開幕カード・配信先案内)
- 中国棒球聯賽(CBL)および中華職業棒球大聯盟(CPBL)に関するWikipedia・公式サイト
- 王靖超・許桂源など、中国出身選手のNPB在籍歴に関する各種資料



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