野球ゲーム史に残る伝説級クソゲーとして、いまだ名前が挙がる『メジャーWii パーフェクトクローザー』。 人気漫画『MAJOR』を題材にしながら、発売当時からバグまみれ・野球として成立していない挙動でネットを騒然とさせ、ついには「2008年クソゲーオブザイヤー据え置き機部門大賞」まで受賞した一本です。
この記事では、この“ダメジャー”“パーフェクトクソーザー”とまで呼ばれたゲームについて、
- どんなゲームだったのか(基本データ・企画の方向性)
- なぜここまで伝説になったのか(バグ・挙動まとめ)
- 実際の売り上げ・ビジネス的な意味
- RTAや配信文化の中での“再評価”
をざっくり振り返っていきます。
『メジャーWii パーフェクトクローザー』ってどんなゲーム?
アニメ『MAJOR』第4シリーズが題材のWii用野球ゲーム
『メジャーWii パーフェクトクローザー』は、2008年12月11日にタカラトミーから発売されたWii専用ソフト。 原作は満田拓也の野球漫画『MAJOR』で、アニメ第4シリーズ(吾郎のメジャー挑戦編)をベースにした野球ゲームです。
- 機種:Wii
- ジャンル:フルアクション3Dベースボール
- 発売元:タカラトミー
- 開発:ドリームファクトリー
- 発売日:2008年12月11日
- プレイ人数:1人、CERO:A(全年齢)
前作『メジャーWii 投げろ!ジャイロボール!!』の続編的位置づけで、
キャッチコピーは「追求したのは、本格野球ゲーム」。……だったのですが、蓋を開けてみると「本格」とは真逆の方向へ全力疾走した作品として語り継がれることになります。
発売時の評価:ファミ通クロスレビュー15点&クソゲーオブザイヤー大賞
ファミ通クロスレビューでは、4 / 4 / 4 / 3 の計15点(40点満点)とかなりの低評価。その後、ネット掲示板発祥の企画「クソゲーオブザイヤー」2008年据え置き部門で大賞を受賞し、 『デスクリムゾン』『星をみるひと』クラスと並べて語られる“殿堂入り候補”とまで評されました。
なぜ「伝説級クソゲー」になったのか:バグと謎挙動のオンパレード
① 野球のルールがそもそも成立していない
KOTY系まとめや実況動画で繰り返し語られるのが、「ルールレベルで野球になっていない」という点です。代表的な仕様・バグを挙げると、
- どんな球を投げてもほぼストライク判定になる
- ストレートだけ投げていてもスタミナが減らない
- 走塁はほぼオートで、勝手に盗塁して勝手にアウトになる
- ヒット性の当たりでもランナーがなぜかスタートしない
- 外野に抜けそうな打球が、ワープしたかのように野手のグラブに収まりアウトになる
審判の姿自体が画面に映らないため、プレイヤーからすると「見えない何かが適当に判定している」ようにすら感じられる作り。 KOTY wikiでは「投球・打撃・走塁・守備、その全てがメジャー級のクソ」とまで総括されています。
② ポリゴンとモーションが崩壊:首反転、後ろ向きバッティング…
J-CASTニュースの記事が全国区で話題にしたのが、ポリゴンとモーションの崩壊っぷりです。映像やプレイ報告から確認されている“怪現象”は、例えばこんなもの。
- バッターがバックネット側を向いて構え、そのまま後ろ向きでスイング → それでも打球は前方に飛んでヒットになる
- 投手・打者の首が180度以上ねじれて反転したまま固まる「首反転投法」
- 体が空中で二つ折りになったり、下半身だけ消えるなどポリゴン破綻が頻発
- フェンス際の打球を追いかけた外野手が、フェンスをすり抜けて画面外に消える
プレイヤーからは「野球じゃなくてホラー」「自分の知ってる野球と別の競技」といったツッコミが飛び交い、 逆にそのシュールさを面白がる声まで出る始末でした。
③ 試合が止まる・先に進まない致命的フリーズ
ただ笑っていられないのが、進行不能級のフリーズ・バグです。 Insideの紹介記事では「ランナーを出すとフリーズ」「よくある外野ゴロ(にならない)」といった事例が、RTA動画とともに紹介されています。
- 特定条件下で守備側がキャッチャー以外まったく動かなくなり、
長打コースの打球を捕手が全力で追いかけに行く - ランナーが出塁した瞬間にゲームが固まり、そのまま本体の電源を切るしかない
- 試合結果とストーリー進行が食い違い、負けているのに優勝ムービーが流れるなどシナリオ崩壊も頻発
極端な例として、フリーズ時の負荷で「Wii本体まで壊れたのでは」と噂されるケースもネットでは語られており、 “本体破壊バグ”がネタ半分・恐怖半分で語り継がれています(真偽は環境依存とされる)。
④ RTA界で発見された「ストーリーモード9割スキップ」バグ
発売から年数がたったあとも、『メジャーWii パーフェクトクローザー』はRTA(リアルタイムアタック)界隈で再ブレイクします。 2020年には「ストーリーモードの約9割をスキップできるバグ」が発見され、 本来40分前後かかっていたクリアタイムが、3分台まで短縮されました。
手順はざっくり言うと、
- ストーリー最終戦直前のセーブデータを用意
- 別モード(投球練習など)を一度遊んで終了
- その状態で「はじめから」を選ぶ
というシンプルなもの。それだけでいきなり最終戦からゲームが始まるため、イベントの9割が吹き飛びます。 RTA in Japan などのイベントでこのバグを活用したRTAが披露され、「そうはならんやろ」と再び話題になりました。
売り上げと“ビジネス的クソゲー”としての側面
初週売上は約2700本と言われるローンチ
当時のゲーム系ブログやKOTYスレの書き込みによると、 ファミ通集計ベースでの初週売上はおよそ2700本とされています。 同じ年の他のクソゲー候補よりも被害者(購入者)は少なかったとも言われ、 「知名度のわりに実際に遊んだ人はかなり限られていた」タイプの作品でした。
その一方で、クソゲーオブザイヤー受賞や動画サイトでのプレイ動画拡散により、 中古市場では今なお一定の人気があり、プレミア価格で並ぶこともあるソフトになっています。
開発規模の小ささとスケジュール問題
アニヲタWikiなどのまとめでは、開発元ドリームファクトリーから送り込まれたプログラマーはわずか3人だったとされており、 権利関係やスケジュールの問題で十分な開発期間を確保できなかったのではないか——と推測されています。
もちろん、開発事情はあくまで推測の域を出ませんが、
- アニメ第4シリーズ放送中に合わせたタイトな発売タイミング
- 続編としての企画(前作『投げろ!ジャイロボール!!』からの短いスパン)
- バグチェックが明らかに間に合っていない完成度
を総合すると、「IP付きゲームにありがちな、無理なスケジュールの被害者」という側面も見えてきます。
クソゲーから“愛されゲー”へ:RTAと再評価の流れ
発売直後こそ、J-CASTがメーカーに「バグは調査中」と問い合わせるほどの社会現象的な扱われ方をした本作ですが、その後はゲーム実況やRTAの題材として、じわじわと「愛されるクソゲー」ポジションに落ち着いていきます。
- RTA in Japan や個人配信で、バグやフリーズを活かしたネタプレイが人気コンテンツに
- ニュースサイトやコラムで「バグだらけの名作クソゲー」として特集される
- 音楽だけは妙に良い、とサントラ目当てで語る人もいる
「野球ゲームとしては壊滅的だけど、バグと理不尽さ込みで楽しむなら最高」という評価軸が生まれ、 今では“クソゲー文化”を象徴する一本として、他の伝説級タイトルと並んで名前が挙がる存在になりました。
まとめ:なぜ『メジャーWii パーフェクトクローザー』は語り継がれるのか
- 人気漫画『MAJOR』を原作とするWii用野球ゲームとして、2008年12月に発売。
- ファミ通クロスレビュー15点、2008年クソゲーオブザイヤー据え置き機部門大賞と、評価は正真正銘の「クソ」寄り。
- 野球ルールが成り立たない判定、崩壊したポリゴン、頻発するフリーズなど、あらゆるレイヤーで破綻していた。
- 初週売上はファミ通集計で約2700本とされ、商業的にも苦戦する一方、現在は中古市場でプレミア化。
- RTA界隈で「9割ストーリーすっ飛ばしバグ」が発見されるなど、発売から十年以上たっても新しい遊び方が発掘され続けている。
真面目に野球ゲームを遊びたい人には絶対おすすめできない一方で、 「バグを眺めて笑いたい」「伝説クラスのクソゲーを体験してみたい」という好事家にとっては、 今なお一度は触れてみたい一本。それが『メジャーWii パーフェクトクローザー』です。
参考文献・出典
- 『メジャーWii パーフェクトクローザー』 Wikipedia項目(作品概要・発売データ・バグ報道の整理)
- クソゲーまとめWiki / クソゲーオブザイヤー据置Wiki「MAJORDREAM メジャーWii パーフェクトクローザー」「2008年次点」「2009年 総評」ほか
- J-CASTニュース「後ろを向いてバットを振る!! お粗末野球ゲームにネット騒然」(2008年12月19日)
- iNSIDE「名高いクソゲー『メジャー パーフェクトクローザー』RTAに爆笑!『ランナーを出すとフリーズ』『よくある外野ゴロ』…?」
- ねとらぼ「【好きなゲームが世間のクソゲーな人インタビュー】RTA走者に聞く『メジャー Wii パーフェクトクローザー』の面白さ」
- ホクト★セブンスターBLOG「クソゲーと評判の『メジャーwiiパーフェクトクローザー』が初週で2700本の売上をしていることが判明した」
- Yahoo!知恵袋「パーフェクトクローザーというゲームは首が反転したり…」ほかプレイヤーによるバグ報告
- マグミクス「バグだらけの『クソゲーオブザイヤー受賞作』愛あるイジりで、まさかの再評価?」
- ゲーム音楽ベスト100 Wiki「メジャーWii パーフェクトクローザー」(作品概要・BGM評価)
- 楽天市場・Amazon の商品ページ・レビュー(中古市場での流通・評価)



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