2026年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に向けて、北海道日本ハムファイターズの水谷瞬外野手が「イギリス代表候補」になっているというニュースが出てきました。
父が旧英国領ナイジェリア出身であることから、ルーツを通じてイギリス代表の資格を満たす可能性があると報じられています。
イギリス代表監督ブラッド・マルセリーノ氏は、フロリダでの取材で「手続きを進めている」とコメントしたとされ、水谷本人も単独取材に応じるなど、
単なる噂ではなく、実際に書類上の確認作業が進行中の段階と見られます。 ここでは、
- 水谷瞬のこれまでの成績とプロフィール
- イギリス代表(グレートブリテン)側の狙いと他の有力候補
- そもそもWBCの「代表資格」はどう決まるのか
といったポイントを、できるだけ事実ベースで整理していきます。
水谷瞬とは? 経歴と直近シーズン成績
プロフィールとこれまでの歩み
- 名前:水谷 瞬(みずたに・しゅん/本名:水谷ジェッシー瞬)
- 生年月日:2001年3月9日(24歳)
- 出身:愛知県津島市
- 身長/体重:193cm/100kg
- 投打:右投右打
- ポジション:外野手
- 経歴:石見智翠館高 → ソフトバンク(2018年ドラフト5位)→ 日本ハム(現役ドラフトで移籍)
NPB公式やパ・リーグTVの選手ページによると、長身かつパワーとスピードを兼ね備えた外野手で、
2024年には交流戦で打率.438をマークしインターネットメディアでは「交流戦MVP」「インパクト抜群の新戦力」として取り上げられました。
2024〜2025年の成績
NPB公式の年度別成績(2025年終了時点)をベースにすると、水谷の直近2年は以下のとおりです。
- 2024年(日本ハム)
- 97試合
- 打率:.287
- 本塁打:9本
- 打点:39
- 長打率:.443
- 出塁率:.335
- 2025年(日本ハム)
- 87試合
- 打率:.277
- 本塁打:12本
- 打点:41
- 長打率:.473
- OPS:.795前後
20代前半でこの打撃成績に、193cmというスケールの大きさが加わるため、NPB全体でも「伸びしろ含めた期待値が高い外野手」と言ってよいポジションにいます。 さらに2024年には交流戦MVP級の活躍とオールスター選出、インターリーグの表彰も受けており、
「日本でもう一段ブレイクする手前」でWBC代表候補の話が浮上した形です。
なぜ「イギリス代表候補」になったのか
父のルーツが旧英国領ナイジェリア
報道やコラムでは、水谷の父親が旧英国領ナイジェリア出身である点が強調されています。 ナイジェリアはかつてイギリスの植民地であり、こうした旧英国領の出身者やその子どもは、
イギリスや「グレートブリテン」代表としての市民権・パスポート取得の資格を持ち得るケースがあります。
WBCの代表資格は、「現在の国籍」だけでなく「親の出身地」「取得可能な市民権」といった要素も含めて柔軟に認められており、 水谷の場合も、父のルーツを根拠にイギリス代表としての資格を確認している段階とされています。
監督コメント:「手続きを進めている」
イギリス代表監督ブラッド・マルセリーノ氏は、フロリダでの取材で
「現在、手続きを進めている段階。もし資格が確認されれば、彼がチームに入るのは本当に素晴らしいことだ」
といった趣旨のコメントをしたと報じられています。 水谷本人も、当初は自分がイギリス代表の資格を持つ可能性を知らなかったものの、
その後は前向きな姿勢を示しているとされ、侍ジャパンかイギリスかという選択も含めて、今後の動向が注目されています。
現時点では、あくまで「候補」「手続き中」の段階であり、
最終的なロスター入りが正式決定したわけではない点には注意が必要です。
イギリス代表の有名選手・候補たち
「イギリス代表=野球のイメージが薄い」という人も多いと思いますが、
実際にはMLBクラスの選手や有望株が複数名名を連ねており、特に2023年大会以降は戦力強化が進んでいます。
これまでの主力:ハリー・フォード、トレイシー・トンプソン
- ハリー・フォード(C)
・シアトル・マリナーズ傘下のトッププロスペクトで、2023年WBCではイギリス代表の中軸打者として活躍。 - トレイシー・トンプソン(OF)
・2023年大会でイギリス代表として出場し、米国戦でイギリス代表初のWBC本塁打を記録した外野手。
このあたりの選手たちが、「第1世代のWBCイギリス代表の顔」と言える存在でした。
2026年大会に向けた“ビッグネーム”候補
2026年大会に向けては、さらに知名度の高い選手が代表入りを検討・報道されています。
- ジャズ・チザムJr.(ニューヨーク・ヤンキース)
・元マーリンズのオールスター内野手/外野手。 ・バハマ出身で、旧英国領であるバハマのルーツからイギリス代表の資格を持ち、2016年のWBC予選では既にイギリス代表で出場経験あり。2026年大会では「健康で球団の許可が出ればイギリス代表として出場したい」と報じられており、すでに予備ロスター入りが伝えられています。 - アロルディス・チャップマン(ボストン・レッドソックス/救援投手)
・MLBを代表する剛腕クローザー。 ・キューバ出身ながら、母方のジャマイカ系ルーツを通じてイギリス代表の資格があるとされ、2026年WBCではイギリス代表の予備ロスター入り・出場意思が複数メディアで報じられています。
この2人に加え、バハマやイギリス海外領土出身の有望株(例:レンジャーズ傘下セバスチャン・ウォルコットら)を加えた「ドリームプラン」を予想する記事も出ており、
イギリス代表は「WBC2023の勢いをベースに、2026年で一段レベルアップを狙う段階」に入っています。
ここにNPBで躍動する右の長距離砲・水谷瞬が加われば、 「チャップマン(投)×チザム&水谷(打)」という、非常にキャラクターの立ったチームになる可能性があります。
そもそもWBC代表の条件は? ルールを簡単整理
「なんでナイジェリア出身の父からイギリス代表になるの?」 と感じる人もいると思うので、ここでWBCの代表資格ルールを最低限だけ押さえておきます。
WBCの代表資格ルール(要約)
MLB公式の大会規定やWBC関連記事では、プレーヤーがある国の代表として出場できる条件として、おおむね次のような項目が挙げられています。
- その国・地域の国籍(パスポート)を持っている
- 法的にその国・地域の市民権やパスポート取得資格がある(実際に取得していなくてもOKな場合がある)
- その国・地域に永住権を持っている
- その国・地域で生まれた
- 親のいずれかが、その国・地域の
- 市民(もしくは以前そうだった)
- または、その国・地域で生まれている
- 過去にその国の代表としてWBC本大会や予選に出場した実績がある
このように、「血のつながり」「出生地」「市民権の潜在資格」など、かなり幅広い条件で代表入りが認められています。 そのため、
- ジャズ・チザムJr.(バハマ出身 → イギリス代表)
- ランディ・アロサレーナ(キューバ出身 → メキシコ代表)
- ラーズ・ヌートバー(米国出身 → 日本代表)
といったように、生まれた場所と代表する国が違うケースが多く見られます。
イギリス代表が「旧英国領」を重視する理由
イギリス代表は人口規模の小さい本国だけでなく、バハマや英領バージン諸島など旧英国領の選手を幅広く招集することで戦力を強化してきました。 ナイジェリアもかつてイギリスの植民地であったため、
「父が旧英国領の出身である」という水谷のケースは、WBCの代表資格ルールとイギリス側の戦略の両面から見て、
十分に検討に値するカードと言えます。
もし水谷がイギリス代表入りしたら、どんな役割になる?
成績とチーム事情を踏まえると、イギリス代表が水谷に期待する役割はおおよそ次のようなイメージになりそうです。
- クリーンナップ〜下位打線の長打要員
・NPBでの本塁打と長打率の伸びを考えると、右の中長距離砲としてクリーンナップ候補。 - コーナー外野(レフト/ライト)のレギュラー候補
・193cmの体格と走力を活かし、守備では広いレンジと強肩を期待されるポジション。 - 「NPB発」のインパクト枠
・MLB組中心のラインアップに、日本球界で勢いのある選手を加え、
相手バッテリーに「見慣れないタイプ」としてプレッシャーを与える存在になり得ます。
もちろん最終ロスター入りや起用法はまだ白紙ですが、 「チャップマンらMLB勢+チザム+NPBの水谷」という組み合わせになれば、
イギリス代表の打線と注目度は一気に跳ね上がることになります。
まとめ:ルーツが開く“もうひとつの代表”という選択肢
- 水谷瞬は、2024〜25年にかけて日本ハムで打率.280前後・2年計21本塁打を放つなど、NPBで急成長中の外野手。
- 父が旧英国領ナイジェリア出身であることから、WBCの代表資格ルール上、イギリス代表の出場資格を満たす可能性があると報じられている。
- イギリス代表は、2023年大会でハリー・フォードやトレイシー・トンプソンらが中心となり、2026年に向けてはジャズ・チザムJr.やアロルディス・チャップマンといったビッグネームの加入も取り沙汰されている。
- WBCの代表資格は、国籍だけでなく、親の出身地や市民権の潜在資格なども含めて柔軟に認められる仕組みで、日本以外の代表を選ぶ選手も珍しくない。
- 水谷が実際にイギリス代表としてプレーするかどうかはまだ「手続き中」だが、実現すればNPBファンにとってもWBCを楽しむ新しい視点になりそうです。
侍ジャパンか、イギリス代表か。 どのユニフォームを選ぶにしても、水谷瞬という選手が「世界を意識するステージ」に立ちつつあることは間違いありません。 今後の続報と、2026年春の最終ロスター発表を楽しみに待ちたいところです。
参考文献・出典
- NPB公式サイト「水谷 瞬 個人年度別成績」
- パ・リーグ.com「【公式】水谷瞬(北海道日本ハム)|個人成績」
- Baseball-Reference Bullpen「Shun Mizutani」
- MLB.com「Great Britain Roster & Staff – World Baseball Classic 2023」
- Baseball America「2023 Great Britain World Baseball Classic Roster」
- Olympics.com「2023 World Baseball Classic: All team rosters and managers」
- Wikipedia「Jazz Chisholm Jr.」および関連報道(Francys Romero らによる2026年WBC出場報道)
- ClutchPointsほか「Aroldis Chapman included on Great Britain’s preliminary 2026 WBC roster」関連報道
- MLB.com「2023 World Baseball Classic rules and regulations – Player Eligibility」
- Wikipedia「World Baseball Classic – Eligibility」
- 各種日本語ニュース・ブログ「日本ハム・水谷瞬、WBCイギリス代表入りか!?父がナイジェリア出身、監督『手続き進めている』」ほか関連まとめ記事
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