ドミニカ共和国のプロ冬季リーグ・LIDOMは、2025-26シーズンも10月中旬に開幕し、12月下旬までレギュラーシーズン50試合という日程で進行中です。
LIDOMは「冬のMLB/NPB/KBO就活市場」としての側面が強く、MLB経験者やマイナーFA、メキシカンリーグ組がアピールの場に使うリーグ。ここからNPB入りした助っ人も毎年のように出ているため、日本の補強目線でもチェックする価値はかなり高いリーグです。
打者編:2025-26年冬に暴れている主な野手
ライメル・タピア(Estrellas)――首位打者候補の元MLB外野手
ライメル・タピアは、2025-26年シーズンのLIDOMで首位打者争いの中心にいる左打ち外野手です。
- 打率:3割半ば
- 安打数:リーグトップクラス
- 塁打数:リーグ上位
高打率を維持しつつ長打もある「ミート型+そこそこパワー」というスタイルで、メキシカンリーグとLIDOMをまたいで結果を出しています。MLBではレギュラーから一歩外れたポジションにいることもあり、今後のキャリア選択次第ではNPB入りも十分あり得るタイプです。
NPB目線のポイント
- 30代前半の外野手
- 左打ちで高打率&二桁本塁打に届きそうな打力
- MLBよりも中南米リーグ寄りのキャリアになりつつある
いわゆる「1~2番も打てる外国人外野手」として、日本球団が好みそうなプロファイルと言ってよさそうです。
ブライアン・デラ・クルーズ(Toros)――MLB20本塁打級の中軸打者
ブライアン・デラ・クルーズは、LIDOMで打点王レースを引っ張る右のスラッガーです。
- 打点:リーグトップクラス
- 打率・長打率ともに高水準
- MLBではシーズン20本塁打超の実績
MLBでもレギュラークラスとして試合に出ている現役バリバリの選手で、まだ20代後半。すぐにNPBへ、というよりはMLBの契約状況次第で30歳前後に「次の選択肢」として日本が浮上してくるイメージの選手です。
ギルベルト・セレスティーノ(Toros)――出塁と走塁が光る外野手
ギルベルト・セレスティーノは、盗塁数と得点数でリーグトップ級の数字を残しているスピード系外野手です。
- 盗塁:リーグ最多クラス
- 得点:リーグトップクラス
- 出塁率も高く、リードオフタイプ
ツインズ傘下からMLBデビューした経歴を持ち、守備・走塁を含めたトータルバランス型。まだ20代半ばの若さで、当面はMLB/マイナーでのチャンスを優先するはずですが、将来的にNPBで「俊足巧打の外野手」として名前が挙がってもおかしくないタイプです。
フランチー・コルデロ(Leones/西武)――すでにNPBでプレーするOPS上位打者
フランチー・コルデロは、LIDOMのOPSランキング上位に入っている左打ち外野手です。すでに埼玉西武ライオンズと契約しており、NPBでもプレーしています。
LIDOMでは、
- 打率:.280前後
- 出塁率:.360前後
- 長打率:.480前後
といった数字を残し、長打力と選球眼を兼ね備えた中軸候補として結果を出しています。「NPBの助っ人が冬はドミニカで調整している」代表的な例と言える選手です。
メル・ロハス Jr.(Licey)――元・阪神のKBO MVP、今も中軸で健在
メル・ロハス Jr.は、阪神タイガース時代やKBOでの大活躍で日本のファンにもおなじみのスイッチヒッター。現在もLIDOMでOPS上位に入り、中軸打者としてプレーしています。
すでにNPB経験があるため、今後再来日があるかどうかも含めて、動向を追う価値のある一人です。
投手編:NPB向きっぽいピッチャーたち
アーロン・サンチェス(Toros)――防御率1点台の元MLBオールスター
アーロン・サンチェスは、今季のLIDOMで防御率と投球回の両方でリーグトップクラスの成績を残している先発右腕です。
- 防御率:1点台前半
- 投球回:リーグ最多クラス
- 毎週のように「週間MVP投手」に選ばれるレベルの安定感
ブルージェイズ時代にはMLBオールスターにも選出された実績があり、2020年代は主にマイナーや他リーグで先発として登板。今冬のLIDOMは、まさに「再評価の場」になっています。
NPB目線のポイント
- 30代前半の先発右腕
- イニングをしっかり食えるタイプ
- MLBロースターからは一歩外れており、海外リーグも視野に入りやすい立場
典型的な「助っ人ローテーション投手候補」で、NPB球団がリストアップしていてもおかしくない存在です。
オスカー・デラ・クルーズ(Estrellas)――奪三振王ペースの長身先発
オスカー・デラ・クルーズは、奪三振数でリーグトップクラスにいる長身の先発右腕です。
- 奪三振:リーグ最多クラス
- 先発としてイニングをしっかり投げている
カブスやメッツ傘下でプロスペクトとして評価されたあと、メキシカンリーグや独立リーグでもプレーしてきた選手で、190cmを超えるサイズからパワーピッチを繰り出すタイプです。
MLBの40人枠には入っておらず、メキシカンリーグ&LIDOMでアピールする立場のため、
- 助っ人先発として年俸バランスが取りやすい
- 三振を取れるパワー系という分かりやすい武器がある
という点で、NPB球団から見ても狙いやすい素材と言えます。
ジャン・カルロス・メヒア(Licey)――セーブ王候補のクローザータイプ
ジャン・カルロス・メヒアは、セーブ数でリーグトップクラスの数字を残しているリリーフ右腕です。元ガーディアンズ、ブルワーズ傘下の投手で、MLB登板経験も持っています。
ストレートの球威は一級品で、150キロ台の速球とスライダーで空振りを奪うスタイル。制球面には課題があるものの、「ボールの強さ」は間違いないタイプです。
クローザーやセットアッパーを探しているNPB球団にとっては、「短期勝負でハマれば大きい」リリーフ候補と言えます。
グラント・ギャビン(Leones)――セットアッパー候補の右腕
グラント・ギャビンは、LIDOMで週間MVP投手に選ばれるなど、リリーフとして存在感を見せている右腕です。ロイヤルズ傘下などでマイナー経験を積み、その後は独立リーグや海外リーグを渡り歩いています。
球種構成は、
- ストレート(中~高めの球速)
- スライダー中心の変化球
と、典型的な「パワー系セットアッパー」タイプ。30歳前後で年俸レンジも現実的とみられ、NPBで“掘り出し物リリーフ”を探す球団にフィットしそうなタイプです。
NPBに来そうなタイプを整理してみる
A. すでにNPBでプレーしている/NPB経験組
- フランチー・コルデロ(西武)
- メル・ロハス Jr.(元・阪神)
このあたりは、すでに「NPB⇔LIDOMを行き来する助っ人」の代表例。今後も同じルートをたどる選手は増えていきそうです。
B. 近い将来、日本に来てもおかしくない層
- ライメル・タピア
→ 高打率・そこそこ長打の左打ち外野手。1~2番タイプの外国人外野補強には理想的なプロファイル。 - オスカー・デラ・クルーズ
→ 奪三振型の長身先発。ローテの一角あるいはロングマンとしてNPB球団が狙いそうなタイプ。 - グラント・ギャビン
→ セットアッパー候補のリリーフ右腕。中継ぎ補強の“お試し枠”として名前が挙がりそう。 - アーロン・サンチェス
→ 元MLBオールスターの先発。条件次第ではNPBローテの目玉助っ人候補になり得る。
C. 当面はMLB優先で、日本行きはやや先になりそうな層
- ブライアン・デラ・クルーズ:MLBで20本塁打クラスの現役レギュラー
- ギルベルト・セレスティーノ:まだ若く、MLB/マイナーでのポジション争い継続中
このクラスは今すぐNPBに来る可能性は高くないものの、30歳手前でキャリアの転換点を迎えたタイミングで、日本が選択肢に入るかもしれません。
まとめ:LIDOMはやっぱり“NPB予備軍”の宝庫
- 2025-26年のドミニカ・ウィンターリーグでは、タピアの首位打者級の活躍、デラ・クルーズの打点量産、サンチェスの防御率1点台など、元MLB組が格の違いを見せている。
- 一方で、オスカー・デラ・クルーズやグラント・ギャビンのように、メキシカンリーグや独立リーグを経てLIDOMで結果を出している投手も多く、NPBスカウト目線では「掘り出し候補」の宝庫と言える。
- フランチー・コルデロやメル・ロハス Jr.のように、NPBとLIDOMを往復する助っ人も増えており、今後もNPBとドミニカリーグの人材の行き来はさらに活発になっていきそうだ。
「今オフにNPBが連れてきそうな選手」という視点で見ていくと、ライメル・タピアやオスカー・デラ・クルーズ、グラント・ギャビン、アーロン・サンチェスあたりは、実績と立場の両面で要チェックな存在です。来季の新外国人リストで、彼らの名前を見つけることになるかもしれません。



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