ホルヘ・ベニテスがNPB球団に興味。日本ハムに“第二のザバラ”はハマるのか?

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マイナーで三振を量産してきた左腕ホルヘ・ベニテス(Jorge Benitez)が、NPB行きに興味を示していると海外の有志アカウントが伝えています。 元マリナーズ傘下の救援左腕で、2025年はドジャース傘下2Aタルサでプレー。シーズン終了後にFAとなり、現在はプエルトリコの冬季リーグ・クリオーロス・デ・カグアスで投げている状況です。

プロフィールやスタッツを見ると、「強いボールだがコントロールが不安なパワーリリーフ」という点で、かつて日本ハムに在籍したアニュラス・ザバラとかなり似たタイプ。 ここではベニテスの経歴と特徴、日本ハムの助っ人補強事情、そしてNPBで“ピンズド”になりそうな球団を整理していきます。


ホルヘ・ベニテスのプロフィールと経歴

  • 名前:ホルヘ・オスカー・ベニテス(Jorge Oscar Benitez)
  • 生年月日:1999年6月2日(26歳)
  • 出身:プエルトリコ・サンフアン
  • 身長/体重:188cm/約70kg(6-2、155ポンド表記)
  • 投打:左投左打
  • ポジション:救援投手
  • ドラフト:2017年ドラフト9巡目(マリナーズ)
  • 主な所属:マリナーズ傘下 → レッドソックス傘下 → ドジャース傘下(タルサ・ドリラーズ)

マリナーズに入団後は先発も経験しつつ、早い段階でリリーフに本格転向。 2022年にはアリゾナ秋季リーグ(AFL)で「Rising Stars」に選出されるなど、素材型の有望株として評価されてきました。

2023年オフにレッドソックスとマイナー契約を結び、2024年シーズン途中にドジャース傘下へ移籍。2025年は2Aタルサでシーズンを戦い、オフに再びFAとなっています。

また、海外の外国人選手情報アカウントによると、本人がNPB球団でプレーすることに関心を示しているとの投稿もあり、実際に日本行きの可能性が取り沙汰され始めています。


ここ3年の成績と“ノーコン剛腕”ぶり

2023年:2Aで防御率2.14、K/9=11.29のブレイク

マリナーズ傘下時代の2023年、ベニテスは2Aアーカンソーで40試合登板、防御率2.14とブレイク。59イニングで74奪三振・39四球と、 K/9=11.29、BB/9=5.95というスタッツを残しています。

  • 59回 74奪三振 39四球 防御率2.14
  • K/9=11.29(9回あたり約11.3奪三振)
  • BB/9=5.95(9回あたり約6個の四球)

数字だけ見ると、「三振はエリート級に取れるが、とにかく四球が多い」典型的なパワーレリーフです。

2024年:3Aで炎上、ドジャース傘下に移籍

2024年はレッドソックス傘下3Aウースターで26試合登板、防御率8.07と苦戦。
35回2/3で43奪三振・35四球(K/9=10.85・BB/9=8.83)と、三振は取る一方で四球がさらに増えました。

シーズン途中でレッドソックスからリリースされ、ドジャース傘下2Aタルサへ。移籍直後の2024年タルサでは8試合で防御率10.80と結果を残せず、 「素材はあるが、制球が安定しない左腕」というラベルが強まった一年でした。

2025年:2Aタルサで立て直し、K/9はやや落ちつつも復調

2025年はドジャース傘下2Aタルサで37試合登板、防御率4.30。 46イニングで41奪三振・34四球と、K/9=8.0・BB/9=6.7と依然として四球は多いものの、前年よりは落ち着いた内容になりました。

  • 2025年(2Aタルサ):37試合 2勝2敗1セーブ、防御率4.30、46回 41奪三振 34四球 WHIP 1.37
  • マイナー通算:222試合 17勝21敗16セーブ、防御率4.78、378回2/3 421奪三振 WHIP 1.54

マイナー通算で421奪三振/378回2/3(K/9およそ10.0)というハイペースで三振を奪う一方、 四球の多さと防御率のブレ(良い年は2点台、悪い年は8点台)が、まさに「コントロール次第でメジャーもNPBも狙える素材型」という印象です。


球種と特徴:92〜95マイルの速球+チェンジアップ+スライダー

低いスリークォーターからの“いやらしい角度”

スカウティングレポートによると、ベニテスは低めのスリークォーター(3/4)気味の腕の振りから投げる左腕。 「jerky(ぎこちない)」とも評されるフォームですが、そのぶん打者からはボールが見づらく、角度と欺瞞性で勝負するタイプとされています。:contentReference[oaicite:12]{index=12}

球種構成

  • 速球(フォーシーム/ツーシーム):92〜95mph(約148〜153km/h) ・左打者には空振りを奪えるボールと評価。プラス評価を受けることも多い。
  • チェンジアップ:82〜84mph(約132〜135km/h) ・右打者に有効な球種。終盤にストンと落ちるような変化で、平均的以上の評価。
  • スライダー:79〜81mph(約127〜130km/h) ・左打者に対するメインの変化球。横に大きく曲がるスイープ気味のボールで、フリンジ〜平均クラスの評価。

総合評価としては、「左打者には非常に強いが、右打者にはチェンジアップ次第」というタイプ。 コマンドが安定すれば、NPBでもワンポイント以上の役割が期待できる素材と言えます。


ザバラとの類似点:球質・年齢・スタッツ

ザバラのプロフィールと“NPB版ノーコン剛腕”像

アニュラス・ザバラは日本ハムが2023年オフに獲得した右腕で、平均球速158km/h超・最速162km/hというNPB屈指の剛腕として知られていました。

  • 2023年3A(タ軍傘下):53試合 防御率4.25、被打率.210、K/9=14.1、BB/9=7.7(与四死球率非常に高い)
  • 2024年 日本ハム:16試合 防御率1.20、15回で15奪三振・8四球
  • 2025年 日本ハム:2試合 防御率3.86(一軍登板はわずか)

やきゅまる氏の分析でも、ザバラは「与四死球が非常に多いが、3Aでは奪三振率が非常に高いパワーピッチャー」とされ、
ストレート平均球速159.8km/h、変化球も高速帯という“球は一級品、制球は三流”タイプだったことが示されています。

ベニテスとザバラの共通点

これをベニテスと並べると、以下のような共通点が見えてきます。

  • 年齢:どちらもNPB移籍候補時点で26〜27歳前後の若いリリーフ
  • 球速: ・ザバラ:平均159〜160km/h、最速162km/hの超剛球右腕:contentReference[oaicite:21]{index=21} ・ベニテス:92〜95mph(148〜153km/h)とNPB基準では十分速い左腕
  • スタッツ: ・どちらもマイナーで二桁K/9を記録する一方、BB/9が6〜8台に達する「ノーコン剛腕」
  • リスク・リターン: ・年俸レンジ的に“当たれば勝ちパターン、外れればファームで再調整”のギャンブル型助っ人

ザバラは1年目(2024年)こそ一軍で防御率1.20と結果を残したものの、2年目は2試合登板のみで退団という結末になりました。 ベニテスもまた、「制球が整えばビッグリターン、整わなければファーム行き」という点で、非常に似たプロファイルだと言えます。


日本ハムの助っ人補強の遅れと“ピンズド感”

近年はストーブリーグの主役 → ここ2オフは静かな補強

日本ハムは新庄監督就任後、FA山﨑福也、トレード黒木優太、そしてレイエス、スティーブンソン、ザバラ、マーフィー、バーヘイゲンら 多数の助っ人を一気に獲得してストーブリーグを賑わせてきた球団です。

しかし2024-25オフは、台湾MVP右腕・古林睿煬、育成の清宮虎多朗、現役ドラフトで吉田賢吾を加えた程度で、 「目立った補強もなく静かなオフ」と報じられ、外国人枠の投手補強は後ろ倒しになっていました。

さらに2025年シーズン終了後には、ザバラとバーヘイゲンの退団が発表され、残留が決まっている外国人投手はレイエス、マルティネス、古林、孫易磊のみという状況に。{index=27} 補強評価をまとめたブログなどでも、「レイエス以外の助っ人投手は上積みが小さく、来季こそ積極補強を」といった論調が目立っています。

最大の補強ポイント=左のリリーフ

日本ハムの投手陣は先発の層が厚く、右のリリーフも田中正義、齋藤友貴哉らで盤石になりつつありますが、 一方で「一番の補強ポイントは左のリリーフ」と指摘するコラムもあります。

2025年は上原健太や宮西尚生が左の中継ぎとしてブルペンを支えましたが、二人ともベテラン域に入りつつあり、 若くて奪三振能力の高い左腕リリーフを外部から加えたいニーズは明らかです。

この状況を踏まえると、「左で三振を取れて、リスク込みの安価な助っ人候補」であるベニテスは、 まさに日本ハムにとってピンズドの補強ターゲットになり得る存在と言えます。


NPBで“ピンズド”になりそうな球団候補

① 北海道日本ハムファイターズ:ザバラ路線の“第二弾”として

上で見てきた通り、ベニテスは「奪三振型・ノーコン・パワーアーム」という点でザバラと酷似しています。 日本ハムはすでにザバラという“プロトタイプ”を試しており、「制球リスク込みで、球威と三振能力を買う」という補強哲学を持っている球団です。

また、日本ハムはドーム球場(エスコン)&鉄壁に近い外野守備を背景に、「打たせて取る」よりも「空振りでねじ伏せる」タイプの投手を好む傾向もあります。 制球に課題があるベニテスにとって、広い外野と空調管理されたドーム環境はプラス要素になりやすいと考えられます。

起用イメージとしては、

  • まずは左のワンポイント〜ビハインドのロング気味リリーフ
  • 制球が落ち着けば、7〜8回の左キラー兼セットアッパー
  • 右打者にはチェンジアップを多用し、対左には速球+スライダーで三振狙い

といった段階的な育成起用がイメージしやすく、「新たなザバラ枠」として噂になってもおかしくない選手です。

② 横浜DeNAベイスターズ:救援防御率リーグ6位、左の中継ぎ不足

セ・リーグの中では、DeNAも「左の中継ぎ不足」が課題として挙げられています。 ドラフト座談会形式の記事でも、2025年のDeNAについて救援防御率がリーグ6位で、特に左の中継ぎが少ない点が弱点として指摘されています。

クローザーは日本人投手で固めつつ、「左の変則リリーフ」を一枚加えたい状況であれば、 低スリークォーターで角度のあるベニテスは、横浜スタジアムの左打者対策としても面白いカードになり得ます。

③ 埼玉西武ライオンズ:左リリーフの枚数アップ要員として

西武もここ数年、左の中継ぎ不足がしばしば話題に上る球団です。 ファンブログなどでも「足りない左腕中継ぎを埋められるか」「待望の左打者キラー誕生となるか」といった文脈で、育成左腕やシンクレアへの期待が語られています。

すでに160km/h級の羽田慎之介など、高出力左腕の育成路線を進めている球団でもあるため、 同じく制球に課題を抱えつつ三振を量産するベニテスを「助っ人版・素材型リリーフ」として獲得するシナリオは十分あり得ます。


まとめ:ベニテスは“ザバラの左投げ版”になれるか

  • ホルヘ・ベニテスは1999年生まれの左腕リリーフで、マリナーズ〜レッドソックス〜ドジャース傘下でプレー。
  • 2023年2Aでは防御率2.14・K/9=11.29・BB/9=5.95と、三振の多さと制球難が同居する成績。
  • スカウティングレポートでは92〜95mphの速球+チェンジアップ+スライダーを持つ、低スリークォーターの「左のノーコン剛腕」と評価されている。
  • NPBでは、日本ハムの元助っ人アニュラス・ザバラと、年齢・球質・スタッツ面で多くの共通点がある。
  • 日本ハムはザバラ&バーヘイゲン退団で外国人投手の枠が空き、補強ポイントは「左のリリーフ」とされており、ベニテスはまさにピンズド候補になり得る。
  • 他にも、DeNAや西武など左リリーフを補強したい球団にとって、制球リスク込みで検討する価値のある素材型助っ人と言える。

もちろん現時点では、「NPBに興味を持っている」段階の選手であり、どこかの球団と具体的交渉に入っているという情報はありません。 それでも、三振能力に全振りしたような26歳の左腕リリーフは、NPBではなかなか手に入りにくいタイプです。

ザバラが見せた「球威だけならメジャー級」というインパクトを、今度は左腕・ベニテスがNPBで再現できるのか。 そして、日本ハムが“補強のラストピース”として再びノーコン剛腕に賭けるのか——。 今オフの助っ人市場を見るうえで、注目しておいて損はない投手だと思います。


参考文献・出典

  • MiLB.com「Jorge Benitez Stats, Age, Position, Height, Weight, Fantasy & News」
  • SoxProspects.com「Jorge Benitez | Scouting Report & Pitching Stats」
  • Lookout Landing「Seattle Mariners 2023 Top Prospects List」内 Jorge Benitez評
  • Baseball America・Blogging the Red Sox 等によるBenitezの球速・球種に関する記述
  • X(旧Twitter)アカウント NPE_Fgn_players 他による「Jorge BenitezがNPBに興味」投稿
  • 「第426回 〖日本ハム〗2024年新外国人アニュラス・ザバラ投手の投球分析」(やきゅまるブログ)
  • NPB公式サイト「A.ザバラ 個人年度別成績」
  • パ・リーグ.com「ザバラがエスコン最速162キロ」「近年ストーブリーグの主役だった日本ハム 目立った補強もなく静かなオフ!?」
  • スポーツ報知・パ・リーグ.com「日本ハム、ザバラ&バーヘイゲン退団」関連記事
  • CoCoKARAnext「〖日本ハム〗勝負の2025シーズン、注目される『2人の左腕リリーバー』の歩み」ほか、日本ハムの左リリーフ事情を扱ったコラム
  • Baseball Channelほか「セ・リーグ各球団のドラフト本音座談会(DeNAの課題:救援陣と左の中継ぎ不足)」
  • ライオンズ系ブログ「足りない左腕中継ぎを埋められるか」「ライオンズ待望の左打者キラー誕生となるか」ほか、西武の左リリーフ事情を扱った記事

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