カーソン・マッカスカーを楽天が獲得。203cmの長身スラッガーはNPBで活躍できるのか?

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2025年12月14日、東北楽天ゴールデンイーグルスが前ミネソタ・ツインズの外野手、カーソン・マッカスカー(Carson McCusker)と契約合意したと発表しました。
身長203cm・体重113kgというNPBでも規格外サイズの右打ち外野手で、今季は3Aセントポール・セインツで 106試合・打率.246・22本塁打・70打点・OPS.795という成績を残しています。

一方で、3Aでは打席の約3分の1が三振という「三振か長打か」の典型的なパワーヒッターでもあり、NPBでどこまでアジャストできるかは未知数です。ここでは、マッカスカーの経歴とスタッツを整理しつつ、過去の似たタイプの助っ人外国人との比較から、楽天での活躍可能性を考えていきます。


プロフィールとキャリアの歩み

  • 名前:カーソン・マイケル・マッカスカー(Carson Michael McCusker)
  • 生年月日:1998年5月22日(27歳)
  • 出身:アメリカ・ネバダ州スパークス
  • 身長/体重:203cm/113kg(6フィート8インチ/250ポンド)
  • 投打:右投右打
  • ポジション:主に両翼(LF/RF)、指名打者
  • 経歴:スペインスプリングス高 → Folsom Lake College → オクラホマ州立大 → 独立L・トライシティ・バレキャッツ → ツインズ傘下 → ツインズ → 楽天

マッカスカーはドラフト下位指名経験はあるものの、MLB球団との本契約には至らず、独立リーグのトライシティ・バレキャッツからプロキャリアを立て直した選手です。ここで打率.433・17本塁打・51打点というインパクト十分の成績を残し、2023年にツインズとマイナー契約を結びました。以降はツインズ傘下で着実に数字を積み上げ、2025年5月に念願のメジャーデビューを果たしています。


直近のスタッツを整理する

2025年:MLBと3Aでの成績

直近シーズン(2025年)の主な数字は以下の通りです。

所属試合打率本塁打打点OPS備考
MLB(ツインズ)16.17201.372メジャー初昇格も結果は伸びず
3Aセントポール106.2462270.795チーム最多本塁打&打点

MLBの数字だけを見ると物足りませんが、本拠地は常に3Aであり、ツインズにとっては「パワーが必要になったタイミングで呼び戻す右の大砲候補」という扱いでした。{index=5} 3Aではチームトップの22本塁打・70打点を記録し、「中距離打者」ではなく明確な長距離砲タイプであることが数字から分かります。

マイナー通算の顔つき

マイナー通算では打率.265・55本塁打・OPS.829と、平均より少し上の打率に、明確な長打力を乗せたタイプです。ただし三振の多さも一貫しており、特に3Aでは

  • 2025年3A:438打席・三振148・四球36K%約33.8%(打席の3分の1以上が三振)

というように、「当たればデカいが、空振りも多い」という典型的なパワーヒッター像が見えてきます。


どんなタイプの打者なのか?

① 三振と引き換えに長打を量産するタイプ

3Aで打率.246・OPS.795という数字は、打率だけを見ると平凡ですが、ほぼフルシーズンで22本塁打という本数は「中距離打者」ではなく長距離砲寄りと見るべきです。加えて三振率が34%近く、四球率は1ケタ台半ば程度とみられるため、「ボール球もある程度振っていくフリースインガー型」と考えられます。

NPBの感覚で言うと、

  • 打率は.230〜.250前後
  • 四球はそこまで多くない
  • その代わりに20本前後の本塁打ポテンシャルあり

というタイプ像を持っておくとシーズン中に「数字のブレ」に振り回されずに済みそうです。

② 203cmのリーチと角度でスタンドに運ぶ

6フィート8インチ(約203cm)の長身から繰り出されるスイングは、いわゆる「アッパー気味に振り下ろして打球角度をつける」タイプのパワーヒッターとして紹介されています。 ミネソタの地元メディアでも、3Aでの「長打連発」とともに「ミルウォーキーに連れていきたくなる飛距離」といったニュアンスで伝えられており、長打の質も評価されています。

ただし、リーチが長い分だけインハイや体近いボールへの対応、変化球への空振りが課題になりやすいのも事実で、NPBではそこをどうカバーするかが鍵になります。

③ 守備はコーナー外野+DHが基本線か

守備位置はマイナー・メジャー通じてライト/レフトが中心で、センターを任されていたわけではありません。203cmというサイズを考えると、楽天では

  • ライトorレフトの先発
  • 指名打者との併用

といった起用が現実的でしょう。外野守備で大きく足を引っ張らなければ、「打力をどれだけ乗せられるか」に評価の比重がほぼ集中するタイプです。


過去の「似たスタッツの助っ人」たちとの比較

ここからは、「3Aで20本前後、打率.240〜.280、三振多めの右の大砲」という軸で、過去NPBにやってきた助っ人とざっくり比較してみます。

比較① ジャバリ・ブラッシュ(元楽天)

楽天ファンにとって最もイメージしやすいのが、同じく長身の右の大砲ジャバリ・ブラッシュです。 ブラッシュは来日前の3Aエルパソで.285/出塁率.419/長打率.617・20本塁打・OPS 1.036と「3Aでは無双レベル」の成績を残していました。

NPBでは楽天で通算

  • 165試合・打率.255・35本塁打・OPS.888相当(出塁率.391+長打率.497)

と、2019年は4番として打線の中心を担う活躍を見せました。 マッカスカーとの違いは、来日前の3A OPSが1.0を超えるかどうかという部分で、ブラッシュの方が「一段上の長打モンスター」だった点は押さえておきたいところです。

比較② ホセ・マルモレホス(元楽天)

逆に「3Aでは無双に近いが、NPBでは数字が伸びなかった例」として挙げられるのがホセ・マルモレホス。 彼は2021年の3Aで打率.338・高いOPS 1.111と首位打者級の成績を残して楽天入りしましたが、NPBでは

  • 58試合・打率.208・7本塁打・OPS.620台にとどまり、1年で退団しています。

マルモレホスはマッカスカーよりミート力に勝るタイプでしたが、それでもNPB球場や投手へのアジャストに苦しみました。 この例からは、「3Aの数字がそのままNPB成績を保証してくれるわけではない」という当たり前の事実も再確認できます。

比較③ アダム・ウォーカー(巨人→ソフトバンク)

もう一人、タイプ的にかなり近いのがアダム・ウォーカーです。 ウォーカーは3Aロチェスターで.243/.305/.479・27本塁打・OPS.784と、「打率.240台・OPS.7割台後半・長打は十分・三振山盛り」というラインを残していました。実際に2016年の3Aでは三振率38%前後と、マッカスカー以上の空振り率が指摘されています。

NPBでは巨人・ソフトバンクで通算

  • 201試合・打率.258・30本塁打と、OPSも.760台後半〜.790程度と推定され、「かなり当たれば戦力」「波はあるが長打要員として十分」という評価に落ち着いています。

このウォーカーのケースは、3AでOPS.7割台後半・三振率3〜4割台というプロファイルが、NPBでは

  • 主力〜準主力クラスの打力
  • シーズン20本前後の本塁打

に収れんしている、という一つの「目安」として参考になりそうです。

マッカスカーの「着地予想レンジ」

これら3選手を雑にまとめると、

  • ブラッシュ級(3A OPS 1.0超):NPBでもOPS.850〜.900級に到達例あり
  • ウォーカー級(3A OPS .78前後・K%3〜4割):NPBでOPS .750〜.800、20本前後は十分期待
  • マルモレホス(3Aではさらに上、NPBで失速):環境適応に失敗すると、打率2割前半・一桁本塁打に沈むケースも

という感じになります。 マッカスカーの3A OPS.795・三振率34%前後というプロファイルは、感覚的には「ウォーカー寄り」。 極端にハマればブラッシュに近いインパクトもあり得る一方、NPBの変化球や配球に対応できないとマルモレホス寄りの結果に終わるリスクもあります。


楽天打線の中での起用イメージ

① 対左投手の「右の大砲」枠

楽天は近年、左打ちの主力が多く、右の長距離砲が浅村ぐらいに偏る構図が続いてきました。 マッカスカーは典型的な右のパワーバットであり、対左投手のスタメン候補として

  • 「5番・ライト/レフト」
  • あるいは「6番・DH」での起用

がまずは現実的なラインでしょう。

② 三振の多さをどう許容するか

三振が多い打者は、チームとして「その三振を許容する代わりに何を期待するか」の設計が重要になります。 マッカスカーの場合、

  • 打率.230〜.250
  • 四球そこそこ
  • 20本塁打前後+チャンスでの一発

くらいを「成功ライン」として設定できれば、三振の多さもそこまでストレスにはならないかもしれません。 逆に、「コンタクトもできてほしい」まで求めてしまうと、評価が厳しくなりがちなタイプです。

③ ボール球をどこまで見極められるか

3A時代からの課題として、ゾーン外のボール球へのスイングが少なくないことが指摘されています。NPB投手はMLBよりも「ボールゾーンへの変化球」で勝負してくる傾向が強いため、

  • 見送り三振はある程度仕方ない前提で、早いカウントの甘い球を確実に仕留める
  • 打てないコースは割り切る「ゾーンの絞り方」を身につける

といったアプローチができるかどうかが、1年目からの成否を分けそうです。


まとめ:ウォーカー級の「当たれば戦力」か、それ以上か

  • マッカスカーは203cm/113kgの超大型外野手で、3Aで22本塁打・OPS.795と明確な長打力を示している。
  • 一方で三振率は約34%と高く、「三振か長打か」のパワーヒッター型である。
  • 過去の似たプロファイルとしては、ジャバリ・ブラッシュ(成功例)アダム・ウォーカー(準成功例)ホセ・マルモレホス(失速例)が挙げられる。
  • スタッツ的にはウォーカー寄りで、「当たれば20本前後・OPS.750〜.800」くらいが現実的な期待値。
  • 楽天にとっては不足していた右の長距離砲の補強であり、対左投手中心の起用でハマれば打線の迫力は一気に増す。

数字だけ見ると、マッカスカーは「リスクはそれなりにあるが、当たればかなりおいしいタイプ」の助っ人です。 ブラッシュほどのインパクトをいきなり求めるのは酷ですが、ウォーカー級の成績(打率.250前後・20本前後)に乗せることができれば、楽天の得点力不足解消に大きく貢献できるでしょう。

三振を気にしすぎず、「長打前提のロマン砲」として楽しむくらいのスタンスで見守ると、2026年シーズンがかなり面白くなりそうです。


参考文献・出典

  • NPB公式サイト「個人成績」「外国人選手 成績データ」など
  • ESPN「Carson McCusker Stats」ほかMLB公式選手ページ
  • MiLB.com「Carson McCusker – MiLB Career Stats」
  • Times Union「Carson McCusker, former ValleyCat, promoted to Minnesota Twins」
  • Reuters/各種米メディアのツインズ関連ゲームノート
  • 日刊スポーツ「【楽天】前ツインズのカーソン・マッカスカー獲得 203センチ113キロ」
  • やきゅまる「アダム・ウォーカー打撃分析」ほかウォーカー関連コラム
  • NPB公式・楽天公式サイト「ジャバリ・ブラッシュ」「ホセ・マルモレホス」選手ページ
  • Baseball-Reference/The Baseball Cube「Jabari Blash」「Jose Marmolejos」「Adam Brett Walker」各種マイナー成績ページ

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