スイーパーは「スライダーの亜種」だが、重要なのは名前ではなく“横の大きさ”。 大谷翔平のスイーパーは、Statcast上でも主力球種として扱われ、複数年にわたって使用率が高いまま、空振りと決め球性能が落ちにくい。 本稿では「スイーパーって結局どんな球?」を、定義→球種データ→年別の結果の順に、数字でまとめる。
スイーパーとは:スライダーの亜種で「横が大きい」
MLBの用語定義では、スイーパーはスライダーのバリエーションで、伝統的なスライダー(タイトな変化)に比べて水平(横方向)の変化が大きいのが特徴とされる。
まず結論:大谷のスイーパーが「やばい」根拠(数字で)
- 高使用率のまま成立:2022年37.4%、2023年35.1%(投手視点の球種使用率)。
- 被打率が低い:2023年スイーパー被打率.140。
- 空振りと決め球の両立:2022〜2023でWhiff%が約37〜38%、PutAway%が約30%。
- 象徴的な1球:WBC決勝の“トラウト斬り”は、約87mphのスイーパーで「約17インチ」曲がった1球として語られる。
年別:投手としての成績(ざっくり全体像)
球種の話でも、土台となる登板量は押さえておく。下はMLBレギュラーシーズンの投手成績サマリー。
| 年 | 登板 | 勝敗 | ERA | 投球回 | 奪三振 | WHIP |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2022 | 28 | 15-9 | 2.33 | 166.0 | 219 | 1.01 |
| 2023 | 23 | 10-5 | 3.14 | 132.0 | 167 | 1.06 |
| 2025 | 14 | 1-1 | 2.87 | 47.0 | 62 | 1.04 |
※2025年は投球回が少ないため、球種別の数字は「短いスパンの値」として扱うのが安全。
スイーパーの「球種別結果」(Statcast:Run Value / Whiff / PutAway)
ここが本題。スイーパー単体の「打たれにくさ」「空振り」「決め球性能」を、同じ指標で並べる。
| 年 | 投球数 | 使用率 | 被打率 | 被SLG | 被wOBA | Whiff% | K% | PutAway% | Run Value | RV/100 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2022 | 983 | 37.4% | .165 | .274 | .232 | 38.1% | 32.7% | 30.1% | 24 | 2.5 |
| 2023 | 736 | 35.1% | .140 | .333 | .267 | 36.9% | 37.3% | 30.8% | 9 | 1.2 |
| 2025 | 172 | 22.8% | .229 | .354 | .273 | 41.8% | 36.0% | 35.3% | 3 | 1.9 |
読み方はシンプルで、(1)使用率が高いのに、(2)被打率が落ちやすい、さらに(3)PutAway%が30%前後で「2ストライクから終わらせる」役割も担っている。 大谷のスイーパーは、派手に曲がる“見栄え”だけでなく、数字の上でも“軸の球種”として成立している。
“どんな変化球?”をもう一段具体化:球速とムーブメントの目安
スイーパーは「横が大きい」球だが、実戦では球速帯も含めて打者のタイミングを崩す。 Statcastのスピン系テーブル(Spin Direction)から、スイーパーの代表値を置いておく。
| 年 | 平均球速(mph) | Active Spin % | Total Movement(in) |
|---|---|---|---|
| 2022 | 85.3 | 50 | 15.4 |
| 2023 | 83.7 | 58 | 17.2 |
| 2025 | 85.0 | 48 | 14.2 |
“横の大きさ”は、単に「曲がる」だけでなく、ストライクに見えるラインからボールへ逃げる/ボールに見えるラインからストライクへ入る、その両方を可能にする。 スイーパーが「スライダーの一種」ではなく別カテゴリとして語られるのは、打者が処理するべき“横ズレ量”が前提ごと変わるからだ。
まとめ:大谷のスイーパーは「流行の球」ではなく「勝ち筋の球」
- 定義通り、スイーパーは横変化が大きいスライダー亜種。
- 大谷の場合、2022〜2023で使用率35%超の主力球種として投げ続け、球種別スタッツも強い。
- Whiff%とPutAway%が両立し、“空振りを取る球”であり“終わらせる球”にもなっている。



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