トロント・ブルージェイズに所属していた左腕イーストン・ルーカス投手が、NPB球団と契約する見通しだと報じられています。ブルージェイズは11月下旬にルーカスをウエーバー公示し、海外球団と契約するための自由契約と説明。全米野球記者協会の記者も「2026年にNPBへ移籍する見込み」と伝えており、日本球界参戦はかなり現実味を帯びてきました。
では、ルーカスとはどんな投手なのか。これまでの経歴やMLB・マイナーの成績、球種・投球スタイルを整理したうえで、「NPBでどれくらい活躍できそうか」を考えてみます。
イーストン・ルーカスのプロフィール
- 氏名:イーストン・ジェームズ・ルーカス(Easton James Lucas)
- 生年月日:1996年9月23日(29歳)
- 出身地:アメリカ・カリフォルニア州 サウザンドオークス
- 投打:左投左打
- 身長/体重:約193cm・81kg(6フィート4インチ・180ポンド)
- ポジション:投手(先発・リリーフ両方の経験あり)
- 出身大学:ペッパーダイン大学(Pepperdine University)
- ドラフト:2019年MLBドラフト14巡目(全体411位)でマイアミ・マーリンズから指名
大柄な長身サウスポーで、元々は大学でも先発を務めていたタイプ。プロ入り後はリリーフ中心でしたが、ブルージェイズでは先発としても起用されており、「先発もできる150キロ台中盤の左腕」という、NPB的にはかなりニーズの高いプロフィールです。
これまでのキャリアの流れ
大学時代〜マーリンズ・オリオールズ時代
ペッパーダイン大学では4年時に76回2/3イニングで71奪三振、5勝4敗、防御率3点台後半とエース格として活躍し、2019年ドラフトでマーリンズから14巡目指名されています。
プロ1年目はルーキー級GCLマーリンズとショートシーズンA・バタビアでプレーし、13試合(うち9先発)で防御率3.63とまずまずのスタート。
その後、2019年12月にジョナサン・ビヤーとのトレードでオリオールズに移籍。ビヤーは当時MLBでも実績十分の内野手で、その見返りとしてルーカスが指名された形でした。
オリオールズ傘下では2021年にハイAアバディーンで27試合登板、防御率3.96、50奪三振。2022年はAAボウイで32試合登板、防御率4.76・65奪三振と、中継ぎ左腕として着実にステップアップしていきます。
アスレチックス〜タイガース〜ブルージェイズ
2023年7月、ルーカスは藤浪晋太郎とのトレードでオークランド・アスレチックスへ移籍。アスレチックス傘下3Aラスベガスで投げた後、9月にメジャー昇格し、6試合登板で防御率8.10と苦戦しながらもMLBデビューを果たしました。
2024年はアスレチックス、タイガース、ブルージェイズと3球団を渡り歩き、メジャーでは8試合登板で防御率10点台と結果を残せず。ただし、3Aレベルではラスベガスなど3球団合計で38試合(うち4先発)、68回2/3で73奪三振、防御率2.75と上位マイナーでは高い支配力を見せています。
2024年途中にタイガースからウェーバーでブルージェイズへ移籍し、その後も主に3Aとメジャーを往復。2025年はブルージェイズで先発転向し、故障者が出たローテの穴を埋める形でスタートを任されました。
MLBでの成績:数字だけ見ると「ローテ下位〜谷間級」
MLB通算成績
ルーカスのMLB通算成績(〜2025年シーズン)は以下の通りです。
| 年 | 所属 | 登板 | 先発 | 勝敗 | 防御率 | 投球回 | 奪三振 | WHIP |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | アスレチックス | 6 | 0 | 0勝0敗 | 8.10 | 6回2/3 | 7 | 2.10 |
| 2024 | アスレチックス/タイガース/ブルージェイズ | 8 | 0 | 1勝0敗 | 10.80 | 11回2/3 | 10 | 2.23 |
| 2025 | ブルージェイズ | 6 | 5 | 3勝3敗 | 6.66 | 24回1/3 | 23 | 1.52 |
| 通算 | 3球団 | 20 | 5 | 4勝3敗 | 8.02 | 42回2/3 | 40 | 1.80 |
通算防御率は8.02と数字だけ見ると厳しいですが、サンプルは42回2/3と少なく、2025年には先発として3勝3敗、防御率6.66まで改善。K/9(9回あたり奪三振)は通算8.4、BB/9は5前後と四球がやや多めで、いわゆる「制球が荒れ気味のパワーレフティ」というタイプです。
2025年ブルージェイズでは「6試合中5先発・24回1/3で3勝3敗、防御率6.66、23奪三振、12与四球」と、成績自体は平均的MLB先発としては苦しいものの、ローテの谷間を埋める役割は果たしていました。
マイナーでのスタッツ:上位マイナーでは「かなり優秀」
MLBでの数字は目立ちませんが、ルーカスの評価を語るうえで重要なのが3Aを中心としたマイナー成績です。
主なマイナー成績(抜粋)
- 2019年(ルーキー+Aショート):13試合 1勝2敗、防御率3.63、34回2/3で41奪三振。
- 2021年(A+アバディーン):27試合、防御率3.96、38回2/3で50奪三振。
- 2022年(AAボウイ):32試合、防御率4.76、56回2/3で65奪三振。
- 2023年(AA+AAA合計):36試合、防御率3.86、46回2/3で51奪三振。
- 2024年(3A・3球団合計):38試合(うち4先発)、68回2/3で73奪三振、防御率2.75、WHIP1.12。
- 2025年(3A・2球団):19試合(うち13先発)、69回2/3で74奪三振、防御率3.62。ブルージェイズ傘下バッファローでは53回1/3で防御率4.05。
3Aレベルでの防御率2〜3点台、K/9も9前後と「AAAエース〜ローテ級」の数字を出しており、MLBとAAAの間に大きなギャップがある典型的なタイプと言えます。NPBに来る助っ人左腕としては、「メジャー実績は薄いが、AAAではかなり優秀」というおなじみのパターンです。
球種と投球スタイル:最速156キロ+多彩な変化球
球速と球種構成
ルーカスの武器は、最速156キロのストレートと多彩な変化球です。報道では「最速156キロの直球を軸に、チェンジアップ、スライダー、スイーパー、カットボールを投げ分ける」と紹介されています。
スタットキャストのデータから見る2025年の平均球速は、おおよそ以下の通りです(mph→km/h換算)。
- フォーシーム:93.8mph ≒ 151km/h
- チェンジアップ:87.4mph ≒ 141km/h
- カットボール:91.5mph ≒ 147km/h
- スライダー:86.4mph ≒ 139km/h
- スイーパー:81.1mph ≒ 131km/h
平均球速だけ見れば、NPBの先発左腕としても十分にパワー型。縦変化系のチェンジアップと、横変化の大きいスイーパーを持っており、右打者にはチェンジアップ、左打者にはスイーパー/スライダーという組み立てが基本形になりそうです。
コマンドと被弾リスク
一方で課題は制球と一発病。2025年は24回1/3で12四球・5被本塁打と、四球も被弾もやや多めです。
ただし、ボールが明らかに通用しないというよりは「ストライクゾーンでの勝負が荒くなり、甘く入った球を一発運ばれる」タイプに近く、ボールとマウンドが合うNPBでは四球と被弾がある程度改善する余地も感じられます。
NPBでの起用イメージと適性
先発ローテ左腕として
2025年ブルージェイズでは5試合が先発登板であり、MLBでも「先発要員」として起用されていました。3Aでも2024年以降は先発登板数が増えており、NPBでもローテーションの4〜5番手クラスとして使われるのが自然なイメージです。
150キロ超の速球と多彩な変化球、さらに身長193cmの角度を考えると、ある程度球数制限をしながらも5〜6回を任せる「ショートスターター型」の先発としてハマりやすいタイプと言えるでしょう。
「先発もできる左のパワー中継ぎ」として
ルーカスは元々リリーフとしてプロキャリアを積んできた投手で、1イニング全力なら球速アップも見込めます。MLBでは先発起用時でも球速がそこまで落ちていないので、NPB球団によっては
- 基本は中継ぎ〜ロングリリーフ
- 先発が苦しい時期だけスポット先発
といった「スイングマン的運用」を選ぶ可能性もあります。
左腕不足球団との相性
日本メディアでも「先発左腕不足の球団が獲得するのでは」と見られており、「ローテに計算できる左腕がいない球団」ほどフィットしやすいタイプです。現時点で具体的な移籍先球団名は出ていませんが、
- 左腕の先発が1人しかいない
- 先発候補が右腕に偏っている
- 外国人枠に先発型左腕がいない
こうした球団にとっては、ローテ再編の軸になりうる一枚でしょう。
NPBでどこまでやれる? タイプ的な「成功イメージ」
数字とスタイルから総合的に見ると、ルーカスは「メジャーでは結果が出なかったが、NPBなら先発ローテに収まる可能性のあるパワー左腕」という評価になります。
ポジティブ材料
- 最速156キロ&平均150キロ前後の速球という純粋な球速はNPBでもトップクラスの左腕。
- チェンジアップ・スライダー・スイーパー・カットと球種が多く、先発として二巡・三巡にも対応可能。
- AAAでは2年続けて防御率2〜3点台、イニングもそこそこ食えている。
- 29歳と若く、NPBで2〜3年かけて完成形に近づける年齢帯。
ネガティブ材料・リスク
- MLBでの防御率は3年通算8点台とかなり悪く、「大化け」よりも「ある程度の改善」を期待する現実的なライン。
- 四球と被本塁打がやや多く、球場が狭いパ・セの本拠地だと被弾リスクは残る。
- 日本球への適応、登板間隔の違い、配球の組み立てなど、ソフト面のフィット次第で成績が上下しやすいタイプ。
これらを踏まえると、NPB1年目の現実的な期待値としては、
- 先発なら:10〜15先発、投球回120イニング前後、防御率3点台中盤〜4点台前半を目指したいライン
- 中継ぎ中心なら:ホールドを稼ぎつつ、対左に強いセットアッパー的役割
といったところがベースラインになりそうです。もちろん、制球がもう一段階安定したり、NPB球にフィットして被弾が減れば、タイトル争いに絡むような数字を残す可能性もゼロではありません。
おまけ:投球を可視化してみた
足の動きとかは限界ありますが、かなりダイナミックな投球フォームですね。クイックとか盗塁対策とかが気になるところ。
まとめ:数字以上に「素材型」の魅力が大きい左腕
イーストン・ルーカスは、MLBでの表面的な成績だけを見ると平凡〜苦戦気味の投手ですが、150キロ台中盤のストレートと多彩な変化球、AAAでの安定した実績を考えると、NPBでは十分「ローテ候補」として期待できる素材型サウスポーです。
まだ移籍先球団や具体的な契約内容は明らかになっていませんが、「先発左腕が欲しい球団」にとってはかなり魅力的な存在。どのチームのユニフォームを着て日本のマウンドに立つのかに注目していきたいところです。
※追記:阪神に決まりましたね。ファルケンボーグとかサファテみたいになってくれるかな?左の先発タイプだから違うか。



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